■「ファッションを探せ」
為替相場はその時々の材料で上下しますが、この材料(私はこの材料をファッションと呼んでいます)は一時的なものであったり、普遍的であったりします。

相場に勝つには今のファッションを知り、次のファッションをいち早く探し出すことが求められます。過去のファッションから現在に至るまでのファッションにまつわる話を提供します。

■執筆者PROFILE
飯田和則 氏
ライブドアコモディティ
外国為替部 部長
日商岩井株式会社では、海外駐在を含めマーケット部門の経験は15年を越える。特に通貨オプションのディーリングでは「ガンマサプライヤー」の異名をとる東京市場屈指のディーラー。その後、米系銀行や大手商社で為替ディーリングに従事し、2002年5月より日商岩井フューチャーズ法人営業部長として、為替証拠金ビジネスを立ち上げる。

コラム / ファッションを探せ 第29回

今年のファッションを総括?

2005年12月26日

 
 師走に入り、皆様には何かと慌ただしい毎日をお過ごしのことと思います。今年はどんな年であったでしょうか?今年を振り返ってみれば、為替相場はドルを中心にドルブロック通貨が買われ、ユーロを始めとする欧州通貨は売られる、という構図でした。この二極化の中にあって、円は年後半の殆どを最弱通貨(或いはファンディング通貨)として「売り」の対象になっていた事に異論を挟む人は少ないでしょう。株価も景気も回復する中、日本のファンダメンタルズは格段の改善を見せています。にも拘らず、何故こんなにも円安の状況になっているのでしょうか?

今年は米中の景気拡大の恩恵から、日本経済は確かな足取りで回復し、海外投資家の日本株投資も10兆円規模に達し株価を大きく押し上げる原動力になりました。その結果、企業や個人投資家は含み益(或いは実現益)が増えリスク許容度が格段に高まり、リスクを敬遠することからリスクを取ることへと投資スタンスを変えてきたのです。つまり、日本の超低金利に長らく甘んじてきた投資家達はようやく目を覚まし、積極的に資産運用をしようという気運をもち始めたようです。リスク資産と呼ばれる金融商品は、投資信託、外貨預金、外国債券、日本株式、外国株式、金、商品ファンドなどがあります。これらに資金が流れると、どういう現象になるでしょうか?

それが今年のファッションですね。

(1) 原油や貴金属など商品相場の急騰
(2) 日経平均株価指数の高騰
(3) 円の独歩安

* (注:原油相場の高騰の原因は、中国などBRICsの需要増加やハリケーン災害など天災による石油精製施設へのダメージなど、別の要因からともいえます。)

それ以外に米国HIA法(雇用創出法の内国投資促進条項)により、米多国籍企業の本国へのドル送金で生まれたドル需要が年後半のドル高を演出したことも事実でしょう。勿論、米景気拡大から利上げが続いたことで金利差拡大によるドル買いも大きな要因であることは間違いありません。上記3つの他に、4番目として(4)ドル高を付け加えることにしましょう。

今年の特徴として、「金高」と「ドル高」という本来相容れない関係にあった両者が、両立してしまったことが挙げられます。金はインフレヘッジという通念があり、インフレになれば通貨の価値が減価するので「金とドルとの関係は反比例する」というのがこれまでの常識だった訳です。金もドルも上昇するという今年の相場はとても新鮮で新しい潮流といえます。

このように今年の相場は色々な要素が絡み合い、今までにない現象が生まれてきました。先に述べたように、日本の株高と円安の関係もそうですね。そして、殆どの市場がブルマーケットの様相です。ブルマーケットというのは、個人投資家にとって比較的入り易い環境であり、投資に対して相応のリターンが期待できる良い循環にあるのではないでしょうか?

今年のように多数の人を幸せにするというのは、相場の世界では珍しいことですが、果たして来年はどうなりますやら。今年同様、来年も個人投資家の皆様にとってはより良い年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

(追伸)こんなことを書き連ねていたら、昨日(14日)はこれまでの円売りのリベンジとでもいう様な、円高一辺倒の相場展開になってしまいました。ドル円のみならず、ポンド円や豪ドル円などのクロス円も大幅に下落してしまい、「一寸先は闇」とはよくいったものです。「獲らぬ狸の皮算用」とならないように、収益はきちんと懐にしまうことを心掛けましょう(12/15記)。

(飯田和則 / 2005年12月26日)


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