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堀内昭利

「為替との勝負、未だ終わらず」 ― 堀内 昭利 氏 [後編]

2010年06月23日(水)

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(中編はこちらから)

■ディーラーと管理職、この相反するもの

 相場の世界にはとんでもなくできる人たちがいる。どうひっくり返ってもかなわない達人たちがいる。それは圧倒的に欧米にいる。日本の金融機関でそれほど優れた人が現れないのは、昔から金太郎飴的教育だからだ。そして日本は出てくる者はつぶしてしまう。だから邦銀では為替のスタープレイヤーはいらないし、第一育てる必要もないと思っている。

邦銀のディーラーが一生懸命やっていても、ただ、日本の金融機関自体がリスクに対する考え方が違う。貸し出しはパーになるかもしれないので、為替のビジネスに比べたらはるかにリスクが高い。しかし、日本の銀行の上層部は、為替の方がリスクが高いと思っている。そのリスク感覚が違うのだ。

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私がこの欧米人たちに負けたくないと言うのも、相手が強いからだ。彼らの多くはこの仕事に強烈なプロ意識を持っており、私が銀行を辞めてからも、付き合いが変わらないのがこの外国人たちだ。個人というものを極めて大事にする。

92年待望の支店長に昇格した。管理職とディーラー、この2つは相反するものだ。根っからの現場のディーラーには上層部の政治ゲームや出世争いなど得意なわけがない。マーケットでの実力を経営での実力と勘違いするからだろう。私も自分の部屋をもらい現場から離れるにしたがって、市場の放つ匂いが感じ取れなくなり、勝てなくなっていく。

94年になってドルが次第に落ちてきたが、当時、自分はドル円の100円以下は信じていなかった。だから、102〜3円で50本(5,000万ドル)ロングにした。このときはソロスファンドのドル売りは強烈で、アッと言う間にドル円は急落して行く。しかし、私は95円くらいまでドルを買い続けた。

自分はロングのときは駄目だったら、ドテン売りに回る。いつもこれをやるときはだれにも負けないタイミングでやっていたのだが、このときは完全に出遅れてしまった。この勝負はもう負け戦だと分かっていて、どこで撤退するかの見極めが大事であるにも関わらず、リングにタオルを投げなかった。負けているときに全力を尽くしてはならない。退却も大事なのだ。

そして、もうひとつ、このときは第三者的に物事を見ることができなかった。相場が動いている最中は熱狂していてもその裏で非常に冷めた部分を持っているのは、前出の優れたディーラーたちの共通点でもある。

結局、私は本店から強制退場処分を言い渡されていて、ドル円が80円を割れていく95年の大相場に向けて思いっきり戦うことができなかった。80円は大底と予想していたので勝負できなかったのは、今でも大変悔しい。

■FX投資家へのアドバイス

 まず最初にFXをやっていくことの目的がはっきりしなくてはいけない。儲けることなのか、相場を楽しむことなのか。仮に、5,000万儲けた人がいるとすると、その人がさらに大きく稼いでいく。これで10億儲けたいことが目的なのかどうかはわからないが、それで全部の儲けを素っ飛ばすような勝負をしてしまってはいけない。

私は地獄を幾度となく見てきている。でも、35年間やっている。これが大きい。勝ち残る、勝ち続けるという継続性がすべてだ。そのためには、ディシプリン(自己規律)を持ち自己管理をしなくてはならない。自分も若いときは無茶をやってきたが、そこから得た結論というのは、ディシプリンしかない。

一生懸命に良いディーラーになりたい、稼ぎたいと思っている人たちが、私より経験年数が少ないのに、私より相場を見る時間が少なければどうするのか。35年やっている私が長時間見ていて、なおかつ、唸っていてわからないのだ。そんな生半可な気持ちではできないという点からも、相場で飯を食いたいと思っている人の95%がマーケットから去らなくてはならないと思っている。

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個人投資家もそこまでのレベルを目指さすくらいの気持ちでやらなくてはならない。逆を言えばそういうふうに目指すから楽しい。ただ儲ける手段だったら、株でもカジノでも宝くじでもいい。何も為替の道を選ぶ必要はないはずだ。

多くの人が大相場になると怖くて手を出さず、どうでもいいゲリラ戦のよう小相場に手を出す。小相場の方が簡単で儲けられるという錯覚をもたらすからだろう。ところが大きく稼げるのは大相場だ。ゲリラ戦では負けても小銭なので何ども失敗を繰り返し、再起不能となる。最初は、怖くて何もできないかもしれないが、こういうことを経験してくるうちに、段々と手が出るようになる。一生懸命やるべきは怖そうな大相場なのだ。

完璧を求めるのは正しい姿だが、完璧をまっとうすることはほとんど不可能だ。しかし、相場を張る中でそのような経験をしていく、そのような考えをするということが大事。それこそが「相場を張る醍醐味」なのだということを自覚してもらいたい。「相場道」を極めることが、相場の醍醐味を味わうということを頭に入れておきたい。

FXをする人たちへのアドバイスはもっとたくさんある。新著『チャーリー中山の投資哲学と堀内昭利の相場戦陣訓−FX投資のための[直伝]心得帳』は、30年以上為替をやってきた私とチャーリーの集大成であり、プロ向けでなく、何度説教してもわかってくれない一般のFX投資家に対する最後の啓蒙活動として、こういったことをできる限りを記すよう心がけた。為替相場で生き残るために役立ててもらえることを願ってやまない。

■「煩悩」はすべて為替に

 生まれ変わってもまた為替ディーラーになる。何のためらいもない。好きだから同じ人生でもいいとさえ思っている。でもそこまで好きでやったって勝てないのだ。続けてはいるけれど、生き残ってはいるけれど、巨万の富を生んだわけではない。ここ5年程、巨万の富を生むことになんの意味があるのだろうかと疑問に思うようになり、儲けたい、大儲けしたいと考えないようになったら負けなくなってきた。

以前は、負け戦は認められなかったのに、今では素直に認めることができるようになっている。そのせいか、最近ではドツボにはまることははるかに減ってきた。

現在の私の煩悩はもうすべて相場に結びついている。利食わないで我慢できるか、損切りはいつできるか、なぜここでカットできなかったのか、なぜここで攻められなかったのか、なぜ自分はこういう勝負ができなかったのか。四六時中こんなことばかり考えている。

相場と長く対峙していると、哲学的な発想になっていってしまうのは仕方がない。やはり相場は、アダム・スミスの『国富論』にある「神々の見えざる手」によって動かされている気がしてならない。最近では、すべての相場は堂々巡りのように感じられる。

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年齢を重ねてきて、相場に対する考え方に変化が現れてきている。トレーディングスタイルにしても、相場は緊張感の持続や集中力が大事だが、年齢と共に緩んでくる。だから以前のように短期の1〜2時間のトレードはできなくなってきていて、3日〜1週間単位の勝負になってきている。

だが、昔も今も、ひとつだけ変らないのは、すべての時間の90%は相場のことを考えているということだ。他の人はたぶん50%とか30%くらいしか考えていないかもしれない。そこが他の人と違うのではないかと思う。

一度しかない人生でそこまで情熱を注ぎ込めるものに出会えたということに大変感謝している。私自身、過去を振り返って、よくぞあのような心身ボロボロの悲惨な状況から、立ち直ってディーラーを続けてこられたと思う。どうしてだったのか、改めて考えてみると、その理由はやはりたったひとつしかない。厳粛に目の前に立ちはだかる為替の世界と勝負することがどうしようもなく好きだからなのである。

(全編終了)

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====【出版のお知らせ】===================================================
「チャーリー中山の投資哲学と堀内昭利の相場戦陣訓」
FX投資のための[直伝]心得帳
チャーリー中山/堀内昭利 著  長尾数馬 責任編集
実業之日本社より2010年6月17日発売予定

『この本は30年以上為替をやってきた私とチャーリーの集大成だ。
 そして、FX個人投資家に対する私たちの最後の啓蒙になるだろう』−堀内昭利

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*2010年05月10日の取材に基づいて記事を構成
 (取材/文:香澄ケイト)

【前編】為替ディーラーに賭す
【中編】相場の猛者たちと切磋琢磨
【後編】90%為替にかける情熱は不変

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