外国為替取引ニュースサイト FOREX PRESS

会社概要

お問い合せ

ニュース受付

HOME > 為替コラム

先月

2017/6

123456789101112131415161718192021222324252627282930

来月

為替コラム

選択されているタグ : 

中澤豊

NTTスマートトレード株式会社 代表取締役社長 中澤豊氏(第4回)

2009年05月11日(月)

画像(635x200)
画像(635x36)


■ネットと金融の融合に着手

トロントから帰国した98年、日本経済は大変な状況にありました。そんな中、NTTグループでも、今までの通信だけのビジネス領域から一歩踏み出して新しい分野にも挑戦する必要があるという議論が起きていました。私は新事業開拓グループに所属して、インターネットを使って金融分野で何か新事業をやれという指示を受けました。私は、基本的にはサラリーマンなので、やれと言われたら、わかりました、とその方向で動き出すことにしています。

動き出しましたが、インターネット金融と言っても、いろいろあって何から手をつけていいか分かりません。当時すでに、ネット銀行やネット証券などが注目を集めていました。みんながそっちに行くんだったら、自分は別の何かを探そう、というのが自分のやり方です。金融業界の関係者からのヒアリングを続けていると、保険業界のネット対応は遅れていることが分かりました。ですが、誰に聞いても保険はネットでは売れない、と言われました。

保険というものは、他の金融商品のように、金利が付くとか、買った株が値上がりするとか、金銭的メリットが目に見えるものではありません。むしろ事故や病気といった万が一の出来事に対する備えで、普段あまり考えたくないことです。そこで保険外務員の方が、万が一に対する備えの重要性を説かないと売れない、つまり「善意の押し売り」が必要な金融商品だと言われていました。だからネットでは絶対売れない、と皆さんそうおっしゃるのです。

画像(200x133)

そこでちょっと闘争心に火がつきました。NTTもインターネットが出現した当初、インターネットと電話網では、通信の品質の差が大きいので、電話がインターネットに取って代わることはないといわれていました。しかし、実際には、インターネットがあっという間に普及し、固定電話がIP電話に取って代わられつつあります。料金についても、インターネットが基本的には定額制ということもあり、それまでの電話の従量制課金は、どんどん値下げに追い込まれ、今では定額に近くなりました。

このように、インターネットの影響力は、NTTグループの我々自身が一番肌で感じていましたので、保険業界の人は、インターネットの影響力を過小評価している、と感じました。当初はネットの保険会社の設立を考えましたが、それよりも保険の流通業(代理店)の方が、顧客にいろいろな保険商品を比較して選んでもらえるのでいいのではないかと思いました。製造業では、製造と販売が分離されています。例えば車を作るのはトヨタやホンダなどのメーカーですが、売るのは地域の販売店、ディーラーです。実は損害保険は、製造業と同様に製造と販売が分離されています。保険会社が保険商品をつくり(引き受け)、全国の保険代理店がそれを売る、という役割分担になっています。保険代理店は地縁、血縁を駆使して対面で保険売っていくので、高コストな営業体質でした。

インターネットの一番の特性は、契約者が自分から能動的に情報を取って、比較して、契約できる点にあります。販売コストは対面営業よりはるかに低く抑えられます。問題は、契約者が「能動的」に動くかどうかです。インターネットは、単なるパイプライン(導管)ではなく、人々の意識を従来の受け身の姿勢から能動的な姿勢に変えていく新しいメディアである、という確信がありました。それにインターネットであれば、全国どこでも隈なく、しかも、各社のものを比較して売ることができる。従来の保険代理店のビジネスモデルを変革できるのではないか、ということでNTTイフという保険代理店を立ち上げました。最初は、取締役企画部長として4年間し、その後、2年間、社長を務めました。

■NTTイフで企業経営の難しさを知る

理屈では、ネットなら比較できるし、自宅でも契約できるし、保険の押し売りを受けなくてもいいのだから、この会社が成功しないわけはないという自信がありました。しかし、営業を開始して、すぐにそれが思い違いであることを思い知らされました。そんなに簡単に顧客は従来のやり方を変えないのです。いくらネットが便利といっても、保険は毎日契約手続きをするわけではありません。

自動車保険でも年に1回で、医療保険や生命保険になれば、亡くなるなるまで見直さないことも珍しくありません。契約者の立場に立ってみれば、一年に一回くらい、紙に署名捺印して契約することなど、それほど面倒なことではなかったり、保険代理店の人が満期が近づくと来てくれたりすることが嬉しいという人も多いのです。そんな当たり前のことも分からずに事業を始めてしまったのです。

画像(200x133)

理屈だけでネットで比較して安ければ人が来るだろう、といった大雑把な考えで事業を始めてもダメで、事業開始のタイミングとか、お客さんの意識の変化・成熟度合い、競争相手なども考慮に入れる必要があること思い知らされました。たとえ現状に不満はあっても慣れ親しんでいるこれまでの方法を変えることには、人は抵抗があるのです。ちょっと便利、ちょっと安いくらいでは、顧客はこれまでのものから切り替えてくれません。「現状」というのはそれほど強いのです。新しいサービスの最大の敵は、同業他社ではなく、「現状」であると、この時つくづく思いました。結局NTTイフを黒字化させるまでに5年もかかってしまいました。この経験は私にとっては大変勉強になりましたが、苦労をかけた社員や出資者のことを考えると、経営者として、ものすごく反省する点は多かったと思います。会社を経営することは甘くないということを骨身にしみて体験しました。

■NTTスマートトレードの設立

NTTイフが、ようやく軌道に乗り始めたところで、次の新規事業としてFXの検討を始めました。当初は、多彩な金融商品をワンストップで提供するという考え方からNTTイフでFX事業を立ち上げることも考えたのですが、保険代理店としてのNTTイフのブランドイメージが確立し始めたこともあり、FX事業は別会社でスタートした方がいいだろうと思いました。

NTTイフの経営は、当時、一緒にやっていた部下に任せ、私はFX事業の会社に転進することにしました。それが現在のNTTスマートトレードです。2007年10月にNTTスマートトレードがスタートしました。

インターネットを使った個人を対象とした金融事業は、NTTグループでやっていませんでしたが、規制緩和が進んだこともあり可能性は非常に高いと感じていました。これまでの既存の金融機関が、提供できてない金融サービスはたくさんありますし、通信と金融の親和性のある分野では、事業拡大の可能性は高いと考えたのです。

金融事業の中でもFXは、まだまだ成長余地が大きく、大手が確立されていない点にも注目しました。たとえば、ネット証券の場合、大手4、5社に集約されます。こうした業界に後発組として参入しても、競争は厳しくなるだけです。FXのように業界全体が伸びていく時に参入していけば、流れに乗って、一定のところまで行けますし、その次の展開も見えてきます。とくに力強い競争相手がいない分野であれば、その可能性はさらに高まります。

FX事業が2005年に登録制になったことも、我々が参入に踏み切った一つのきっかけとなりました。登録制になったことで、FX業界の正常化の流れが加速することが期待されます。また、いくつかのFX会社様からも、NTTのような大企業が参入すれば、FXに対する社会的なイメージも良くなると歓迎する声が出ていました。

画像(200x133)

NTTという会社は、内部で新しい企画を立ち上げ、チャンレンジしていこうという懐の深いところがあります。NTTは、もともと電信・電話会社ですので、その影響もあるかもしれません。電信・電話という分野は、この100年間で、様々な技術革新がおきました。たとえば、交換機は、当初は手動交換機でしたので何万人も交換手がいましたが、自動交換機になると交換手がまったく要らなくなりました。。あるいは電信(テレックス)から固定電話、固定電話から携帯電話、さらにインターネットの普及と、技術革新にともなって、サービス内容、ビジネスモデルがどんどん変わってきました。我々は、旧電電公社の時代から、技術革新に振り回されてきた歴史を経験してきたのです。

ビジネスモデルが突如変わることで、今まで儲かっていた事業が不採算事業になることもあります。その前にこれまでの事業に代わる新しい事業が立ち上がっている必要があるのですが、財務的に余裕がなくなってから新事業を始めても遅いのです。余裕のあるうちに次の事業を探す姿勢がNTTグループの中にあります。当社の親会社でもあり、検索サイトgooを運営するNTTレゾナントという会社は、かなり早い時期からインターネット事業に進出しています

■3年後のFX業界

今後3年ぐらい後のFX業界は、もう少し落ち着いた、ごく普通の金融サービスとして社会に定着していると思います。。FXは、かなり一般的になってきたといっても、保険や証券に比べれば、まだまだ一部の人だけが利用しているサービスです。FXと似たような商品である銀行の外貨預金は、FXよりも為替手数料が高く、取引の利便性も高くないと思いますが、まだまだ多くの人は外貨預金で満足しています。ここでも「現状」は強いのです。、FXの商品性の良さをもっと知ってもらって、もっと幅広い層にFXという商品をご提供していきたいと考えています。

日本の外貨サービスは、制度面でに遅れており、例えば外貨送金の手数料は高止まりしています。外国では、銀行送金に代わる安い送金手段が普及しています。人の動きが国際的になり、多くの日本人が海外へ行くだけでなく、多くの外国人が日本にやってくるわけですから、金融サービスも、そうした動きに対応していくべきです。FX会社というより、「外貨金融サービス会社」というカテゴリーが、あと3年ぐらいするとできてくる気がします。我々の場合、銀行がカバーし切れていない中小法人に対して、より良いサービスが提供できれば、まだまだ新しい顧客は開拓できるし、今のFXとは違ったサービスを展開できるのではないかと思っています。

ただ、今のところ、FX業界全体の預かり金よりも外貨預金のほうが、はるかに多いのが現実です。FXは、まだまだ銀行の外貨預金ほど信頼されていないのです。しかし、商品としては外貨預金よりも優れていますし、コストの面での競争力もあります。今後、銀行の外貨預金のお金が、FXに移ってくる余地はあると思います。FXが顧客にアプローチできていない点を打破するのは、われわれの仕事だと考えています。為替取引で収益をあげる方だけでなく、外国に行く時に外貨を調達したり、留学している子供に送金をすることを希望される方などに、FXを利用した金融サービスを提供できる可能性は出てきていると思います。そういう意味でも、我々の方向性は、単なるFXではなく、外貨金融サービスに向かっていきたいと考えています。そして、せっかくなら、一部の方だけでなく、より多くの方にサービスを提供していきたいのです。

■100万円の使い道

自由になるお金が100万円あったら、いいアイディアを持った、事業意欲のある、野心に満ちた若い方に出資をするでしょう。私自身は、投資のプロというわけではないので、自分で100万円を運用したとしてもたかが知れています。返ってこなくてもよいお金であるならば、一か八かではありませんが、野心に満ちた若い事業家にかけた方が楽しいし、結果100万円が返ってこなくても納得できると思います。投資の極意があるとすれば、「儲かる」かどうかではなく、「納得できる」かどうかではないでしょうか。若い起業家が必死になって取り組む姿を出資者として近くで見ながら、自分も負けていられない、と思うだけでも意味があります。

画像(200x133)

FXでも何でも、投資というのは、半分くらい楽しくないと駄目だと思っています。そして投資資金は、返って来なくても良いお金でないと。投資は、半分はギャンブルです。でも、ギャンブル、すなわち冒険することへの憧れは人間誰しも持っています。余裕のある方なら、人生の中に上手に「ギャンブル」を組み入れることは大事ではないでしょか。株でも、FXでも、人への投資でもいいですが、結果が100%明らかな「銀行預金」だけでなく、不確定要素がある投資商品も選択肢に入れることで、人生も豊かになると思います。余裕があるのに「冒険」を一切しない人生は少し寂しい気がします。手前味噌になりますが、FXは、そういう意味で、他の金融商品に比べ透明性が高く、上手に使えば、人生を豊かにしてくれる投資商品だと思います。

(全編終了)


(第1回)あえて人と違う選択をしてバランスを取る
(第2回)ジャーナリスト志望が電電公社に
(第3回)国会担当から文化施設の設立 そしてメディア論の研究へ
(第4回)日本の外貨サービスの可能性を信じて

画像(630x120)

>>「ThePresidents」インタビューラインアップに戻る


関連タグ :

Posted by ThePresidents   パーマリンク

過去の記事へ

検索

タグリスト

最近の記事

最近のコメント

RSS1.0 [Login] powered by a-blog

当サイトは為替証拠金取引を中心とした外国為替の取引に関するニュースのみに特化しています。乱立する為替取引・サービス情報を一同に介し、わかり易くジャンル分けすることで投資家・投機家が欲しい情報を即座に入手できるようにと思ったのが立ち上げの主旨です。またこのホームページに掲載している内容が正確であるよう最善を尽くしておりますが、内容についての一切の責任を負うものではありません。その旨ご了承願います。

FOREX PRESS

キャピタル・エフ株式会社

2002/11/15より運営開始