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伊庭剛

「終わりなきマーケットをイメージし続ける」 ―伊庭剛 氏 [後編]

2011年08月31日(水)

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(中編はこちらから)

■イメージプレイの大切さ

 またニュースなどへの反応も、ただ単に上げ下げだけではなく、このニュースだとこのくらい行きそうだなとか、今のこの相場つきだったらこのくらい行くはずだというイメージを膨らませながらポジションを持ってみて、実際の相場を冷静に見る。その過程では、気持ち良いのか悪いのかの肌感覚に任せることになる。外れているときはもちろん、当たっていても自分がなんだか気持ち悪いなと思うなら、自分の肌感覚に合わない別の理由で相場が動いているということに気付けばいい。

上がる下がるの相場は当たっているとしても、自分の相場観は外れていることになると、理由がわからないからどこまで上がる相場なのか予想ができなくなる。それが一番気持ちが悪い。上がると思って買ったけれど、ドーンと落ちてやられたとしても、自分が思っていた理由ではないものが出て下がればそれは仕方がない。シナリオが変わってしまっているのだからある程度納得が行く。だから、自分でも、とりあえず結果オーライで儲かったときよりは、納得してやられたときのほうが、気持ちがスッキリできるくらいの相場観なりポジションなりを持つように心がけている。

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また嫌とか良いとかは、ただ漠然と嫌とか良いだけでなく、どの程度嫌かどの程度良いかといった感覚が大事だ。例えば上がると思って持った相場がずるずる下がって行ったとして、下がり始めた瞬間嫌だなと思ったのと、20銭下がって嫌だなと思ったのと、1円下がって嫌だなと思うのはその嫌さがそれぞれ違う。誰しも損切るという行為は嫌だし、いやまだ行くと自分に一生懸命言い聞かせたくなるのが人情だと思うが、必ず嫌だなと思っている瞬間はあるはずだ。

若手のディーラーのみならず、セミナーなどでお話をする機会のある個人投資家の方々には、自分の肌感覚で感じたことを小さくてもいいからポジションに記録しておくように勧めている。例えばポジションを10本持ったとして、なんだかおかしいと思ったら、たった1本だけでもいいから止める。もちろん、その逆ならそこに1本足すこともまた然り。

こういった肌感覚は感覚だから、すぐに忘れてしまいやすいので、あのときはこういう気持ちだった、このくらい嫌だった、このくらいしか嫌じゃなかった、このくらい気持ち良かったなど、後で振り返るときの栞(しおり)というか道しるべとするために役立つと思う。記憶を記録するためだ。相場だから、また似たような状況というのは必ず到来する。同じパターンで慌てることのないように引出しを増やすことも大切となる。

昔は現在ほど情報が豊富ではなく、限られた情報の中で、何をするかというと、いろいろなニュースや値動きを見て、昨日の相場は多分こうだったのだろうと自分でイメージを創るしかなかった。自ずと想像力がたくましくなり、将来の予想(イメージ)をする力が必要とされる時代であった。

最近はネットの普及により、答えらしきものが氾濫している。それが当たり前になってしまっていて、読んでしまうと、もうわかったような気分になってしまう。オイルが上がったからドルが下がったという誰かのコメントを読んでしまうと、そうかなと思ってしまう。そうすると、後は、オイルだけ見ようとして、残りのことを自分で考えなくなってしまう。でもしょせんは他人の感覚。自分でイメージすることの大切さを問いたい。

■コンセンサスの中での自分の位置

 大変便利なことに、最近では、世の中のポジション状況が一部発表されている。氾濫する情報が集約された、これはまさに最大公約数のポジションであると思う。つまり市場のコンセンサスをある程度把握することができる。

世の中のコンセンサスといわれる相場観がどこにあって、そしてそれに対して自分のイメージが、真ん中なのか、タカ派なのかハト派なのか、自分が今いる位置を客観的に見るようにする。昨今は、いろいろな情報があり、偏った情報だけではなく広範囲の情報が入手できるので、全体感は比較的はつかみやすい。あまり人に惑わされないように、自分は自分なりのイメージの世界を一応持ちながら、それが世の中(コンセンサス)からどれだけずれているのかを見るようにすることが大事だ。木だけを見て森を見ていないと、情報の洪水の中に飲み込まれてしまう。

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僕の場合は、比較的短期的な取引が多いので、時間軸が長いテクニカル分析やファンダメンタルズ分析は参考程度に眺めている。短期のテクニカルもその時々の相場の癖にあわせて時間軸を調整するし、ニュースや材料もそういったスパンに照らし合わせ、どの程度相場に影響するかを判断する。長期的なマクロ分析は2~3ヶ月の相場には効いて来るかもしれないけれど、目の前で乱高下する相場に立ち向かうためには有用ではない。

僕は大きなポジションを1~3カ月ずっと持ち続けるよりは、どちらかというと回転売買のほうが向いていると思う。元々短期集中型のせいか、日中バーッと集中して、チャチャチャッとトレードしたら帰るときはスクエアでもう何も考えずに帰りたい。ましてや熟睡中の夜中には起こさないでくれというタイプだ。相場は常にあるのだが、四六時中、食事のときも、寝るときも、小刻みに動く小さな数字をずっと見ていると、どんどん視野が狭まって来て、イメージプレイができなくなるし、相場観がずれてしまう気がする。

■マーケットに怒られないように

 まだまだ20数年そこそこの為替人生ではあるが、マーケットの変化を通じて世の中の変化、例えばイーコマースの発達やFXという個人投資家のマーケットの出現なども大いに感じている。かつては「為替って何?」といわれたものだが、今やミセスワタナベなる人物が経済誌に載る隆盛ぶりである。むしろ最近は、僕が為替関係の仕事だと言うと、えっ、FXですか、と言われたりもする。廃れていくマーケットではなく、どんどん為替市場が大きくなっていくことは、為替人としては大変うれしいことだ。

ただし、新たな参加者やインフラも含めたマーケットが大きくなるにつれ、同じニュースでも相場の動き方が以前とはかなり違ってきていることを実感している。従って、為替ディーラーも日々変化するマーケットに順応してどんどん変わっていかなくてはならないだろう。

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マーケットは、今はとても膠着しているけれど、これはその次の動きへのステップというか、何年~何十年後の次の相場に備えた動きなのだろう。もちろんこうした膠着商状も後から振り返れば一つの歴史になるのだろう。明日は明日の相場があるし、1年後は1年後の相場がある。それに対して考える(イメージする)ことはやめたくない。ここから先のマーケットのことは誰にも分からない。だからこそ相場はおもしろい。来年は絶対120円になるとわかっていたら、20年以上もこの仕事をやっていなかっただろう。

トレーニーの頃、師匠である中川淳さんに、マーケットは神様なのだと教えられた。どんなに自分の考えが正しく思えようが、前述の通り、マーケットの動きが全てなのだ。何が正解で何が不正解かを頭で考えるより、答えは簡単、マーケットのことはマーケットに聞けばよい。そして、その結果をいかに素直に受け入れられるかが分かれ目だと思う。仮に不幸にして損をしたとしても、自棄になるのではなく、なぜ違う方向に行ったのかという分析こそが重要で、勝利の美酒よりもむしろ結果的には自分のためになることが多かった気がする。

マーケットに終わりはない。いつまで経っても、神様には到底たどり着けないであろうが、それゆえに、チャレンジしがいがあると思っている。新人時代に上司や先輩に怒られないように努力した。今では、マーケットに怒られないように、日々の努力を怠らないようにしている。

(全編終了)

*2011年07月06日の取材に基づいて記事を構成
 (取材/文:香澄ケイト)

【前編】ディーラー修行の厳しさを知る
【中編】気持ち良いか悪いか、肌感覚を重視
【後編】わからない明日に常にチャレンジ

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>>「The FxACE(ザ・フェイス)」インタビューラインアップへ


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TheFxACE(ザ・フェイス)企画チーム / TheFxACE

為替ディーラーのご経歴を持つ方々に、ご自身の生き様や相場に対する考え方などをお伺いしていきます。

[取材/文]
香澄ケイト(かすみ・けいと)/外為ジャーナリスト

米国カリフォルニア州の大学、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国後、外資系証券会社で日本株/アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事。退職後、株の世界から一転して為替証拠金取引に関する活動を開始し、為替サイトなどでの執筆の他にラジオ日経への出演およびセミナー等の講師も努める。

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