為替コラム
FXオンライン・ジャパン株式会社 代表取締役社長 ジェームズ・ガウ氏(第4回)
2009年12月28日(月)


■IGグループとの意義深い提携
手数料無料化は、日本のFX業界を大きく変えた出来事だったと思います。日本の個人投資家は「どうして手数料を払うんだ?」と疑問を持つようになったのです。また、我々の手数料無料化が引き金となって、他のFX会社も追随するようになり、もっと顧客の興味を煽ることになり、FX業界全体の成長に一役買うことができたのだと思います。
我々は、最初から常にベストなテクノロジーをお客様に提供することに注力してきました。最初に手数料を無料化したパイオニアとしてのアドバンテージがあり、現在はベストポジションに居るとはいえ、その地位に安住などできません。それに日本のプラットフォームも向上してきており、より良いテクノロジーを得ることと次のステージに向けた成長を遂げるために、戦略的パートナーは必要不可欠なことでした。

パートナー候補として、上場会社を4社リストアップしました。1社は日本の会社、他の3社は欧米の会社でした。中でも、最も規模が大きく、高い技術を保有しているイギリスのIG グループと提携することを望んでいました。どうしてかと言うと、IGグループは、当社と、お客様へのサービス、透明性、公平性など、ビジネスに対する姿勢が似ているからです。
そして重要であるテクノロジーが非常に優れているということです。FXと CFDのビジネスを世界的に展開している彼らは、マーケットリーダーでありグローバルリーダーです。ちょうど彼らも日本での展開を視野に入れていたときだったので、偶然にも最良のタイミングでアプローチすることができました。
彼らは、当社が日本のパイオニアである点を評価してくれて、FXオンラインの株の87.5%を取得して筆頭株主となりました。交渉は困難を極め、約1年かかりました。驚くべきことに資本提携の契約が成立したのは、08年9月のリーマンショックからわずか1週間後だったということです。アジア初とも言えるこれほど巨額な提携が、あの金融恐慌の最中に成立したのは非常に意味のあることだったと思っています。
IG グループと提携したことで、09年3月から、CFDで日本最大の約6500銘柄を提供することができましたし、世界最先端の取引システムPureDeal、日本初となるバイナリーオプションの導入にも成功しました。これらもまた、日本の金融業界において画期的であったと自負しています。もし自分がユーザーならば、異なる会社でいくつかの口座を持っているよりも、当社のような会社でひとつの口座で取引できる方が、利便性が高いと考えます。
また、常に新しいシステムやツールを打ち出す理由は、顧客保護を最優先しているからです。通常のストップ注文では為替レートの変動の激しいときにスリッページが発生することがありますが、当社が日本で初めて導入したギャランティーストップを使用するとこれを防ぐことができます。
■3年後には業界NO.1が目標
現在、FX会社で提供しているサービスには誠実とはいえない部分がまだいくつかあると思っています。最も大きなものは約定率です。多くの会社が0.5、0.8、1ピップといったタイトスプレッドを宣伝していますが、実際は、約定拒否が10〜30%、場合によっては40%の確率であるようです。たとえ、広告で1銭と謳っていても、表示されるレートは見かけだけで、スリッページが発生して、不利なレートで約定されてしまうことだってあるのです。
当社のスプレッドはそこまでタイトスプレッドではありませんが、トレード可能なスプレッドで、高い約定率を誇っています。また、損益をリアルタイムで計算していない会社も多いようです。当社はリアルタイムで計算していますが、ロスカットの計算でタイムラグが有る場合、証拠金を超える損失になる可能性が高くなります。

現在、このようなことが横行していることを懸念して、いずれ金融庁は更なる規制をかけることでしょう。それによって不誠実な会社も含めて、FX会社の淘汰がなされていくのは自然なことです。FX業界に関して、基本的に強気の見方をしていますが、3年後には、わずか5つの大きな会社に集約されることになるかもしれません。FXオンラインはそのときどうしているかというと、NO.1にいると予想しています。
私が予想した以上に自分の夢は叶いました。日本のお客様に感謝したい気持ちで一杯です。しかし、まだ日本のお客様にすべきことはたくさんありますので、決して手綱は緩めるつもりはありません。
成功のカギはやり遂げようという強い意志、そしてタイミングだと思います。運もまた関係するでしょう。よく成功者が言っているのは、「The luck have to be on your side」(運を味方につけろ)です。私よりもっと才能があって、インテリジェントな人でも、運がなければワークしないのだと思います。
■もし100万円あったら何で運用するか

起業するという夢は叶いましたが、他にもまだ夢はあります。子供の頃からの夢である動物保護のために、アフリカで大きな施設を作りたいと思っています。もし100百万円あって投資をするなら、株式、コモディテイー、金利、通貨(特に資源国通貨、ただしドルは買い)で売りポジションを構築します。今、世界経済は、多少改善しているように見えますが、これに対して私は懐疑的でかなり悲観的に見ているのが理由です。
しかし、本当は100万円でキャンピングカーを買って、ようやく憧れの「インディー・ジョーンズ」のようにオーストラリア大陸を冒険してみたいと思っています。
(全編終了)
(第1回)地質学は「インディー・ジョーンズ」ではなかった
(第2回)日本でのビジネスを夢みる
(第3回)日本初手数料無料化のエポックメーカー
(第4回)大型提携で新たな飛躍を目指す
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