為替コラム
法規制実施による業者破産とレフコの経営破綻による教訓(2)
2006年02月27日(月)
■レフコ突然の破産申請
昨年8月、米国大手商品先物仲介会社レフコは米国ニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)を実施した。その際に長期にわたって回収が不可能な債権があるのもかかわらず粉飾決算操作を行っていたことが判明し、2ヵ月後の10月10日に元最高経営責任者(CEO)が刑事訴追された。そして10月17日に同社は連邦破産法適用を申請した。この一連のニュースに「まさかあのレフコが」と信じられない気持ちで聴いた人が多かったに違いない。特に、レフコのグループ会社のRefco FX Associate LLC(レフコFX)と外為証拠金取引をしている投資家の驚きと困惑はいかばかりであろうか。
■ポジションクローズ
この事実に接した時に口座開設者が最初にすべきことは、為替ポジションを全てクローズ(決済)し証拠金額を確定する事、そして口座残高をプリントして置く事である。為替ポジションをそのままにしておくと債権額が確定しないことばかりでなく、為替相場が急変動すれば、ポジションが強制クローズされてしまう恐れがあるからだ。
■口座凍結
レフコ社の破産法適用により、レフコ社とそのグループの口座が凍結されたし証拠金の入出金が出来なくなった。レフコFXの口座開設者は初心者でなくある程度の経験者が多い。そのため比較的多額の証拠金を預け、多額の為替取引を頻繁に繰り返している口座開設者も少なくないに違いない。口座凍結により為替売買による収益獲得チャンスが失われたこと、さらに果たして証拠金が全額返還されるのか、それとも一部だけなのかなど口座開設者の悩みが大きい。
■為替取引契約当事者
レフコFXの口座を同社日本法人のレフコFXジャパンや東京に本社があるNDCオンラインを通じて口座を開設した人が多いが、これらの会社は米国に本社があるレフコFXの紹介会社(IB)であり、為替取引契約の当事者では無い。契約当事者は米国のレフコFXである。そのため破産手続きは全て米国の破産裁判所で行われる、良く分からない外国の法律適用に不安な状況に違いない
■早期解決を期待
その後、レフコ社と米国オンライン外為証拠金業者のフォレックスキャピタルマーケット(FXCM)が、レフコFXの顧客口座を買取ることで同意し、覚書を調印した。連邦破産裁判所の承認が得られれば買収が完了する。現在、レフコ銀行債権団がこの買収に対して反対を表明しているため、裁判所の承認を得るにはまだ時間がかかりそうである。しかし、買収が承認されれば口座凍結が解除され自由に入出金ができるようになり、口座開設者は昨年10月からの苦悩の毎日からも救われる。筆者は、外為証拠金市場が健全に発展することを望む者の一人として、この不幸な事件が一日も早く証拠金が全額口座開設者に返還されるようになることを期待している。
■レフコFX破産の教訓
レフコFX破産の教訓として、登録業者あるいは株式上場会社というだけで取引業者を信用することは不十分であることが分かった。経営者が自己の利益を追求するのみで無く、顧客とともに外為証拠金市場の発展に向けて努力しているかどうかという観点から判断することがより重要だ。ライブドアの一件もある。経営者が自分の利益のみを考える会社は敬遠すべきである、業者は法律により証拠金を自己の資産と区別して管理するように義務づけられているが、業者の区分管理方法によっては、倒産した場合証拠金が全額返還されるかどうかは定かでないことも今回のレフコ破産で問題提起された。そして、契約当事者が日本法人か外国法人かを前もって確認しておくことが重要だ。業務形態がIBの場合は、窓口が日本の業者であっても、契約当事者が外国籍の業者であることがあるからだ。
Posted by 佐藤利光 パーマリンク
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