為替コラム
ヘッジファンド(その2.為替ファンド)
2004年07月06日(火)
■為替ファンド
さすがアメリカは金融先進国である。無いものは無いといっても過言ではない。5月にニューヨークのあるヘッジファンドマネージャーを訪問したところ、為替のファンドオブファンズのローンチ(売り出し)を計画しているという。世界でたった一つの為替ファンドであると力説している。為替のファンド(Managed Account)は沢山あるが、リスクを最小限にして、絶対的なリターンを期待することは極めて難しい。何故なら、トレンドフォローのマネージャーは、相場が一方方向に傾くと大きく稼ぐ事ができるが、方向性が見えないとパフォーマンスは上がらない。キャリートレード(高金利通貨を買い持ちにして、金利差を稼ぐ取引)の運用者は、為替変動リスクをもろに被る事になる。デイトレーダーは大きく稼ぐことが難しい・・・このように為替ファンドと言っても運用手法が全くことなる。

■為替ファンドオブファンド
リスクを最小限にして絶対的な収益を狙うヘッジファンドマネージャーとして蓄積した投資手法と自社で開発した最適資産分散システムを活用して、投資手法が異なる複数の為替マネージャーに分散投資をして、為替ファンドオブファンド(為替FOF)を組成して安定的に絶対収益を上げようというものである。この為替FOFには、上記のマネージャーのほかに、オプショントレーダーやマクロ経済見通しに基づく取引を得意とするファンダメンタル重視の運用者などに多数の運用者、運用者の裁量に依存するディスクレショナリーとレーダーなどが含まれている。上記の表は、今後ローンチする予定の為替FOFの投資シュミレーションである。
■ヘッジファンドブーム
例え株式市場インデックスが暴落しても、インデックスに関係なく絶対的なパフォーマンスを狙うヘッジファンドは、長期安定的な投資収益を期待する欧米の年金勘定に広く受け入れられている。全体のポートフォリオの10%以上を組み入れている年金基金が多く、なかには20%まで組み入れている基金もあるという。日本の年金勘定でも約1年半前からポートフォリオに組み入れたれている。ここ数年ヘッジファンドはブームとなり、ヘッジファンドマネージャーも急増して、現在ファンド数は約8000といわれている。多数のマネージャーがいるとマーケットの歪を狙って投資するとしても収益チャンスはそれだけ少なくなる。そこで為替ファンドの登場である。
■なぜ為替ファンドオブファンドなのか?
為替市場は他の市場(株式市場、債券市場、クレジット市場・・ハイイールド市場、ディストレスド市場など)に比べて下記の点で優れている。
1. 流動性が高く収益チャンスが多い・・1日1兆ドルが取引される市場は為替市場だけ。
2. 豊富な取引経験をもつ運用者が多い・・最近の15年間に多くの高度な経験を有する為替ディーラー達が銀行や投資銀行からヘッジファンド業界に転職している。この為替FOFの運用者は平均15年以上の為替取引を経験している。多くのマネージャーが、1985年のプラザ合意、1987年の株式市場の大暴落、1998年のロシア危機そして記憶も新しい2001年11月のNYワールドトレードセンターのテロ事件という市場のサプライズを経験しているため、将来起こりうる市場のサプライズに対しても、冷静に対処できる。
3. 為替市場は相場変動率が少ない・・下図を参照していただきたい。株式市場(S&P500)と比較して為替市場はドル/円を除き、極めて相場変動率が少ないことがわかる。
なお、ドル/円が他の通貨に比べ大きく変動した日数が多いのが興味深い。(他の通貨に比較して日銀介入が最も多いのが原因か!!)

筆者はこの為替FOFのローンチ(売り出し)に関して、日本で一番最初に情報を入手した。いまはローンチ前なのでシードマネーインベスター(ローンチにあたり前以って投資に応じる投資家)大歓迎との事。シードマネーインベスターになると、この為替FOFマネージャーの色々なノウハウが取得できる特権もある。
Posted by 佐藤利光 パーマリンク
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