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“フィンテック”(Financial Technology)

2015年09月25日(金)

最近この言葉をよく目にする。Financial Technologyという意味だが、使う人によりそのニュアンスはそこそこ違うようで、読み手としても注意が必要なようである。そもそも15年以上前から金融は装置産業だと発言していた私にとって、フィンテックが大事だという言葉を聞くと、何をいまさらと思ってしまう。何もそう思っていた人は当時から私だけではない。極論を言えば、「システムを制する者 金融業界を制す」である。まあ、左の言葉は言いすぎで、言葉足らずな面も多々あるが、わかりやすくいえば、の話である。

コンピュータシステムが生まれたときに最初に飛びついたのが金融であることは想像するものたやすい。まずは電卓である。卓上計算に始まり、基幹システムでの決済業務、そして基幹システム間の連携決済へとグローバル化し、その後1990年代にインターネットというオープンネットワークが世界中を席巻したことで、1980年から90年代の汎用機中心のシステムからオープン系サーバー型が徐々に浸透しだした。しかし、その進化のジレンマは常にセキュリティであることは、これもだれでも簡単に想像できる。

金融がシステムをどうやって取込み、活用するかは生き残り戦略上の生命線だと思っている。当然彼らもそういう意識はあるわけで、いろいろと手を打ち出している。その一部として、フィンテック企業と提携するとか、これこれのスタートアップ企業に資本を入れるとかのニュースが最近多い。残念ながら銀行がダイレクトに異業種であるシステム会社を無造作に買えるかといえばそれは法規制上簡単ではない。その代り、大手の銀行や証券はグループ会社に、○○システムズとか●●総研といったシステム会社を持っている。本来ならそういうグループ会社が一手にシステムに関するすべてを開発から運用管理までやるのが望ましい。あるいは海外にあらたな魅力的な技術をもった会社があり、その技術が欲しいとなれば、それを買うのもこの会社で出来る。しかし、日本のメガでそういう動きはほとんど見たことはない。相変わらず見聞きする名前はH,F、I、などの昔ながらの汎用系のシステム会社からシステム資産を買い、運用は全部任せるスタイルが主流なように見える。

フィンテックの一部として最近ビットコインがはやっている。だが、銀行業界としては仮想通貨としてではなく、あくまでも“決済手段”としてである。暗号化の技術が、より簡単で、安全性が高く(漏えい性が低く)、低コストであるなら、それを自分のサービスに取り込むという発想は自然である。メジャー銀行はすでにビットコイン=暗号通貨を次世代の決済手段として真剣に研究している。それは、将来的に銀行サービスと競合する脅威であり、そうであるからこそ早くから協業もしくは同化の可能性を探ろうというアプローチであると私には見える。
ざっとニュースを拾っただけでも、バークレイズもドイチェも相当な資本をこの分野にすでに投入している。バークレイズは、Safelloというビットコイン取引所に投資しているらしく、ドイチェはDigitalize DBと銘打って1400億円を研究開発等に投じている。CITIも積極的にこの分野への参入を表明している。彼らにとって新たな、よりいろんな意味で現在のそれよりも高品質の決済サービスプラットフォームは是が非でも取り込みたいし、あわよくば自分がディファクトスタンダードになりたいのは当たり前で、その積極さは投下する資本額に現れている。とりあえずは、ビットコインで使われるブロックチェイン技術をビットコインを使って実証実験していくのだろう。ある銀行はビットコイン限定のチャリティ募金を行っている。何もブロックチェインのみにこだわるものでもない。より安価で、セキュリティが高く、透明性を担保できるものであるなら何でもいいのである。
末尾に、荒っぽいまとだが、とりあえず暗号通貨に対する動きをまとめてみた。

仮にそういう新技術がさらなる価格破壊をもたらすとき、既存の既得権益との摩擦が生まれるわけで、銀行決済問えば、SWIFT, TARGET, CLSといろいろある。彼らも当然先を越されまいと研究を行っているのは時々小さなニュースを見る限り垣間見える。さて、日本はどうしているのか。

お約束のようにこういう「創造的破壊」的行為においては常に後塵を拝する日本である。常に日本が世界先進国の金融から遅れを取る大きな一つの要因が、欧米はそういう既得権益を打ち負かす仕組みが組織インフラの中にあるということである。日本のバンキングはネットバンクを中心にかなり進化のスピードを上げているが、逆にそれが目立つ分メガバンクの進化の速度の遅さも目立つ。大事なノウハウや連続的、有機的な知識の継承は分散型組織ではなかなか醸造されないという話もかつてしたとおりである。金融は特に触れない、形のないものだけに、ひとりひとりの頭の中で全体像が立体的かつ時系列的に構築できるキーマンの存在が不可欠な商売である。

外資系でよく見たパターンとして、まず新たな技術は銀行が行内にエンジニアをやとって中で開発するステージ1。そして、ある程度成果が出ると、かれらエンジニアもそれなりに蓄えができる。そうなると彼らは起業する。銀行も中でその組織を囲うよりそっちの方が経済的メリットがあるから邪魔をしない。それがステージ2。起業するとそのノウハウが特定の銀行外に広まる。そして一般化、インフラ化する。これがステージ3。さらにそこから新たなアイデアを持つ連中がスピンアウトする。そしてまた彼らを取り込む銀行が出てきたりするが、最近は彼らを中に取り込まず、パートナーとして連携するパターンのほうが好まれるようだ。企業家側も今の世代は取り込まれることを嫌う。クラウドファンディングも可能な時代なので、あえてクジラの中に飲み込まれる必要もなくなっている。
外銀は、社員が5人の小さな会社とでもその技術にほれ込めば買いたいと言ってくる。あるいはその技術を独占するべく、出資を通してパートナー扱いにする。そういうことを5つ、6つとトライし、失敗し、その中から成功を共に“生み出して”いく。そういう広い意味での“仕組み”が日本の金融業界にもあったなら、日本の金融業界にも、もっと違う心躍る展開もあるかもしれない。素人ながら、私から見れば日本の金融システム業界は、H,F,I、Nといったレガシーな汎用系企業を先頭にその下に、中小のシステム開発会社(下請け、孫請け)がつらなり、ゼネコンさながらのヒエラルキーを作り上げているように見える。その頂点に立つ、およそシステムとは無縁な意思決定権限を持つキーマンのところへ、シリコンバレーで産声を上げた未来の技術をもった人たちや、それらをファンドとしてパッケージ化したファンドマネジャーたちが足しげく営業にやってくる。気にいると、ヒエラルキーのトップは上意下達で、この会社と提携するから後はよろしくと下請けに丸投げする。ヒエラルキーの最下層は孫請け、ひ孫請けのエンジニアである。頂点からの改革への情熱はそれがダイレクトに伝わるほど組織的熱伝導率は高くない。皮肉な言い方をすれば大体こういう絵が見える。

これからはネットバンクや地銀が大活躍する時代なのかもしれない。
− 企業の資金調達にもっとクラウドファンディングが簡単に使えるようになったり、クラウドレンディング(融資)なるものまで出てきたり、
− ATMを覗くと、決済通貨に、円、ドル、ユーロ、ビットコインとがが表示されるようになったり、
− 預金口座が最初からマルチカレンシーで発行され、為替の交換(外為取引)が預金口座で簡単にできるようになると、
銀行業界は果たしてどういう風景に変わっていくのだろう。企業側は会社経営上のキャッシュフローを融資する側にリアルタイムで情報提供することも技術的には可能である。それができるとより精緻な与信評価ができるようにもなる。問題はその情報のセキュリティである。ブロクチェインということばがここでも頭をよぎる。こういったチャレンジを果敢に実行できるほうが組織の生存率を高めることは明らかである。フィンテックという言葉が一過性のはやり言葉になることはまず間違いはないが、そこに含まれる創造的破壊の価値観やはたらきは永遠に変わらない。
さて、まずはやっぱりブロックチェインである。もういい加減飽きたテーマだが、やはりもう少し付き合わざるを得ないようである。とりあえずはどっか海外の取引所で口座を開いて(非居住者で開けるのかな・・)、ビットウォレットをダウンロードして、わざわざビットコインが使えるショップを海外で探して・・・特に欲しくもないものを買うか、六本木当たりのビットコインでお支払いOKとうたうレストランにでも行ってみるか。

メジャーバンクのビットコイン(暗号通貨)に対する取り組み
2015年9月24日時点

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Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、米国インテグラル社の日本支店に勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXにかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)がある。。

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