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『薄氷を踏みながらも前進か?』 ― 田代岳氏

2013年08月30日(金)

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相場の流れを見るときに、市場が何をテーマにしているか探ることは欠かせない作業といえる。為替の場合は日々の2〜3円の動きは揺らぎともいえ目先の需給で決まることが多い。
しかし10〜20円級の大きな動きは、必ずファンダメンタルズの変化など、市場がある程度の期間テーマとするものの変化が起こる。

相場の長い流れを見ることはこのテーマを市場がどのように評価するか、どのように織り込むか評価することに他ならない。かの大経済学者ケインズは、相場は美人投票と表現したが、まさに市場参加者が各々のテーマについて評価を下す美人投票しているといってもよいだろう。
そうであるならば、最近の為替市場や株式市場がどのようなテーマに沿って動いているかを探ってみよう。

去年までの市場は主に欧州問題をテーマにして、欧州危機といわれるものに対して株安、円高に反応するいわゆるリスクオフ、リスクオンで市場を語ることが容易だったといえる。リスクオフというのは、市場が悲観的になり株安、円高の流れ、リスクオンというのは市場が楽観的になり株高、円安の流れを指す。
そして昨年11月以降は、衆議院解散総選挙、安倍・自民党政権の成立、アベノミクスで日本が久々に大きな材料となり日本株の上昇と円安という流れになった。

5月のバーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長の資産買い入れ枠縮小発言以来、市場はFRBの次の一手が大きなテーマとして浮上してきている。
リーマンショック以降に各国中央銀行は、まずは金利を低下させ、ゼロ金利付近まで低下させた後は、量的緩和という非伝統的な手段に活用してきた。その中で先進国では米国がいち早く経済を回復することができたために、むしろ量的緩和の副作用のほうが問題になり、量的緩和をどのように終わらせるかが次の重要なテーマになっている。

FRBの中では、今年後半から行っている毎月850億ドルの資産買い入れ枠を徐々に縮小させていき、来年中ごろまでには資産買い入れを終わらせることができればと考えているメンバーが多いようだ。しかし、メンバーの中でも9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で資産買い入れ枠縮小に着手し、できるだけ早く資産買入れを終わらせたいタカ派的なメンバーと、経済指標などを注視しながら慎重に資産買入れ枠を縮小したいハト派的なメンバーに割れている。
5月のバーナンキ議長の発言に反応したのは新興国のマーケットだ。世界的な中央銀行の緩和策で市場にあふれたマネーは、より高い利回りを求めて新興市場になだれ込み、ここのところの新興国の株高、債券高を演出してきた。

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【米国債と新興国債の債券利回りの差】(出所:オーストラリア準備銀行(RBA))

上のグラフは、米国債と欧州、ラテンアメリカ、アジアのそれぞれの新興国の債券利回り格差を表しており、同年限の米国債とこれらの新興国の債券の利回り格差がどれだけあるかが確認できる。

新興国の債券は通常は信用力が低いために先進国の債券よりも利回りが高い。そのため米国債との利回り格差があるのが普通なのだが、その利回り格差も縮んだり広がったりする。縮むときは、今回のようにバブル気味になり新興国に資金が流れ込み債券が買われて、債券利回りの低下が起こるために米国債との利回りが縮小する。逆に利回り格差が広がるときは、バブルなどがはじけ新興国から資金が流出し、新興国の債券が売られて債券利回りが上昇することで拡大する。

グラフを見てみると1997年、2001年、2008年に債券利回り差は拡大している。この時に何が起こったか? 1997年はアジア通貨危機、2001年は米国のITバブル崩壊、2008年はリーマンショックがあった。いずれも金融市場が大きく混乱して、信用力が相対的に低い新興国の債券が売られ、先進国に資金が還流するときに起っている。

要するに米国債と新興国の債券利回り格差が縮小(新興国に信金流入、バブルの可能性)した後は、危機が発生して新興国から資金が流出して利回り格差が拡大するという現象をこの20年で何度も繰り返している。

そして2012〜13年にかけては米国債と新興国との債券利回り格差が3%付近に縮小してきたので、もしかしたらバブルが起こっていたのかもしれない。
更に5月のバーナンキ発言で、FRBの量的緩和が縮小されるかもしれないという思惑から、新興国の資金流出の加速が始まった。

今回の新興国の資金流出では、インドネシア、インド、トルコ、ブラジルなどが特に通貨の下落を伴い資金流出が拡大している。
FRBが資産買い入れ枠を縮小したとしても、ゼロ金利をすぐに解除して利上げをするわけではない。利上げ時期は2015年以降と予想されている。(これも経済状況次第だが)資産買い入れ枠を縮小したとしても、市場に供給された資金をすぐに吸収に回るわけでなく、かなり長い間、資金はそのまま放置される可能性が高い。
にもかかわらず市場の反応は激しいものになった。現在はまさにFRBの資産買入れ枠縮小というテーマを市場が織り込みに行っている状況といえるだろう。

新興市場の動きが落ち着き、米国10年債利回りが3%付近で落ち着ければ、そして米国株がそれほど14,000〜15,000ドルのレベルを維持できれば、市場は落ち着いていくのではないかと思われる。

しかし新興市場からの資金流出が続き、市場が動揺すると、株安になり、また資金はドルやユーロ、円などに向かうために、あくまでドル高と綱引きだが、円安の流れも一旦頭打ちになる可能性もある。

9月にはG20、日本の消費税の決定、FOMCとテーマが多いが、FOMCの決定と新興国の動きが最大のテーマになろう。

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