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『日銀の「緩和勝ち」と円安』 ― 柳澤浩氏

2013年01月22日(火)

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昨年11月14日に野田・前首相が衆議院の解散を表明。その時点では79円台で推移していたドル円が年明け後の1月14日に89.67円まで上昇。丁度、2ヶ月間で10円超の上昇幅を記録した。又、ユーロ円もドル円以上に急伸し、11月14日の101円付近から、2ヶ月間で、120円台を回復する程にまで上昇している。そのきっかけは、御承知の通り、総選挙に臨む自民党の安倍総裁(当時)が、日銀に対して、「大胆な金融緩和強化」を求める発言を行った事であったが、日銀も12月の金融政策決定会合で早くも、安倍氏に応える姿勢を示したため、年末年始を通じて、円安傾向が強まって現在に至っている。

■昨年春から夏までの日米欧金融政策

日銀は、昨年の2月14日に所謂、「バレンタイン緩和」を開始。その時点の米FRB(連邦準備制度理事会)の政策は「オペレーション・ツイスト」で、量的緩和は休止中であった。一方、当時の欧州の金融政策は、ECB(欧州中央銀行)が、LTRO(長期資金供給オペレーション)を一昨年12月に行ない、その影響から、周辺国国債利回りの上昇が抑制されている時期であり、2回目のLTROが行われる2月29日との狭間に当たっていた。このため、日銀の「バレンタイン緩和」が非常に時宜を得たものとなり、ドル円は77円台から84円台まで、ユーロ円は101円台から111円台へと大きく上昇する事となった。

その後、ドル円、ユーロ円ともに3月には頭打ちとなった。一方、金融政策面では、2月末にECBが第2回のLTROを行って大量の資金を金融機関向けに供給したが、対する日銀は、4月に5兆円の資産買入等基金増額を行って以来、9月19日まで様子見に転じてしまった。その間、6月にFRBは「OT2(オペレーション・ツイスト第2弾)」を開始し、7月にはECBが利下げを行って、預金ファシリティー金利をゼロ%に引き下げ、続いて、8月にはFRBが所謂、「QE(量的金融緩和)3」開始をほのめかし、9月からは実際に、「QE3」(毎月400億ドルのMBS(住宅ローン担保証券)の買入)に踏み切ったのである。

■日銀緩和負けで円高傾向へ逆戻り

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さて、この約半年間の外為市場動向を顧みると、ドル円は5月には再び80円の大台を割り込み、6月1日と8月1日に77円台まで下げ幅を拡大。そして、9月13日、FRBが「QE3」開始を決めたまさにその当日に、ドル円は昨年の安値である77.13円を記録した。一方、ユーロ円も5月下旬には再び100円の大台割れとなり、6月1日に95円台まで下落。その後、7月24日には、2000年11月以来の安値94.11円を記録する事となった。

この事実からは、昨年の夏ごろは、日銀が、FRBやECBとの金融緩和競争に負けてしまっていた状態、つまり、日銀の「緩和負け」状況が現出しており、それが、円高傾向を強めた大きな要因であったと考える事ができる。そして、逆に、この状況が日銀の背中を押したと見る事がでる。実際、9月19日の金融政策決定会合で、日銀は金融緩和政策の強化を再開した。

■日銀の緩和強化再開後は円安へ

9月の金融緩和強化再開により、10月に入るとドル円は比較的安定した値動きに転じた。10月になり、30日の政策決定会合に於いても日銀が資産買入等基金増額を決めるとの観測が強まると、ドル円は80円台を回復。そして、実際に11兆円の追加緩和を30日に発表して以来、ドル円は下がっても79円を割り込む事はなくなった。一方、ユーロ円もギリシャ情勢が一応の決着を見せた事も相俟って反発傾向を強め、10月中旬以降は、100円超のレベルを維持していた。そして、11月の野田・前首相の解散、安倍・総裁(当時)の「大胆な金融緩和強化要請」とそれに反応しての円安傾向の強まりへとつながって来ている。又、日銀は12月20日の政策決定会合でも資産買入等基金を更に10兆円増額し、ついには、「2%のインフレ目標」の検討を開始する事まで表明。ドル円はそれに呼応して85円台を回復し、ユーロ円も112円台まで上昇し、3月高値超えを果たした。

■現在は、ECBが緩和負け

さて、1月の日銀金融決定会合が近づいている。一方、今年最初の政策理事会を去る10日に終えたECBは、「利下げは検討せず」と表明した。昨年12月の理事会では、かなり多くの理事会メンバーから「利下げ」が要請されていた事と比べると、大きな変化と見る事ができよう。これにより、ECBの金融緩和局面は既に終了したとの観測も強まっており、今後も金融緩和強化を継続するはずの日銀と比べると、明らかECBが「緩和負け」している。この状況を鑑みると、ユーロ円は今後も堅調な地合いを維持し、130円を目指して、一段高となる可能性も考える事ができよう。

一方、FRBに関しては、1月から400億ドルの長期国債買入による量的緩和の強化を始めているため、現状は「緩和負け」にはなっていないが、緩和ペースを今後拡張する可能性は低い。この点では、今後、緩和強化が打ち出されるはずの日銀との間では、次第に「緩和負け」が意識される事になると思われる。更に、複数のFOMC(連邦公開市場委員会)メンバーから、「量的緩和の終了時期検討」が既に示された事も明らかとなっており、今後、米国の雇用情勢が更なる改善を示せば、緩和終了への思惑が強く意識される事になりそうだ。このため、日米の金融緩和度も開き気味となり、ドル円は堅調な地合いを継続しよう。このまま、春先には95円程度までは上昇が見られるのではないかと、最近、予想を引き上げた処だ。

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