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『総選挙後のドル・円相場』 ― 上田眞理人氏

2012年12月25日(火)

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2012年12月16日に行われた衆議院議員総選挙で、自民党は294議席を得て勝利、公明党31議席を加えると、全議席の2/3(320議席)を超える325議席の安定的多数に達し、26日に招集予定の特別国会で自公政権・安倍晋三首相誕生が確実となっている。

市場では、野田首相が年内解散・総選挙実施を決めた直後から、政権奪還を意識した安倍自民党総裁の「円高是正・デフレ脱却」を強調した政策「アベノミクス」を織り込んで、株買い・円売りが進んでいた。投票日直前の14日に円売りのピークを迎えたかに見えたが、予想以上の自民党の勝利、さらには自公合わせて325議席という結果となり、17日早朝に一段と円が売られた。ドル・円は、今年3月の1ドル=84円18銭を超え、昨年4月以来となる84円48銭を付け、ユーロ円も今年3月以来の111円32銭を付けた。しかし、市場参加者が増すにつれて利食いの円買いも入り、円安地合を維持しつつも、一旦セオリーに従って「Sell on rumor、 Buy on fact」の動きとなり、相場は落ち着きを取り戻した。

■足元の円安傾向は定着するのか?それとも…

さて、今後の市場のテーマは、この円安傾向が今後も持続するか否か? トレンドとして確かなものになりつつあるのか?であろう。

円安が総選挙前に加速したのは、前述したように、安倍政権に対する「失われた20年からの脱却期待」である。とすれば、この「期待」の鮮度が保たれる限り、円安は持続するという見通しが成り立つことになろう。

猪瀬直樹・新東京都知事が、自らの大量得票について「スピード感への期待」と述べたように、もたもたした民主党政権への失望感が今回の自民党の圧勝をもたらしたとすれば、安倍政権にその「スピード感」を期待する向きも多いと思われる。しかしながら、一方で、民主党政権のあまりの拙速に声を失った国民、ひいては市場が新政権に「適材適所による落ち着いた政策の遂行」を切望していることも、間違いないであろう。

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すなわち、安倍政権が「期待」の鮮度を失わないためには、まずは、自民党が政権公約で主張した「4つの再生」、特に「経済の再生」について、安倍次期首相が改めてその実現を明確に約束し、必要なステップを着実に踏んで行くことを示すことである。そして、遂行能力のある責任者が、野党も含むその他の政党の協力も得た上で、着実に政策を進めていく覚悟を示すことが望まれよう。
また、19〜20日は日銀の金融政策決定会合が開かれた。18日の安倍次期首相と白川方明日銀総裁との会談で暗黙のコンセンサスが得られたのか、年明け1月21〜22日に開催される次回会合で、インフレターゲット(物価目標)の導入について検討されるようである。本邦サイドのファクターは、ことごとく「円安」トレンドを後押ししており、市場の「期待」の賞味期限がすぐには来ないことを示しているといえよう。さすがに来年7月の参議院選挙まで待つほど市場が気長とは思わないが、桜の咲く頃まで安倍政権がブレることなく前に進んで行けるなら、「円安」トレンドは、確たるものとなると考える。

■看過できない、今般円安が持つ2つの「顔」

ところで、先ほどから「円安」と述べているが、今般の「円安」には二つの顔があることを看過してはなるまい。すなわち、一つは正しく本邦発の「円安」であり、もう一つは「ドル安」がもたらす「円安」である。

ともすればドル・円に目を奪われがちだが、この数週間の相場の動きを見ると、クロス円でも大いに円安が進んでいる。例えば、ユーロ・円は、11月の安値と12月17日の高値を比べると、実に約11%の円安となっている。これに対して、ドル・円は約7%円安に振れたに過ぎない。小康状態の欧州ソブリン危機を背景にいわゆる「リスクオン」のサイクルに入り、対ユーロでドル安が進んでおり、つまり「ドルも売られているが、円はもっと売られている」という状況が「ドル高・円安」を演出しているのである。 

ならば、円安傾向の持続性について議論するには、ドルサイドからのアプローチも必要であろう。すなわち、ドル安傾向は今後も持続するか否か?である。

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今、米国は「財政の崖」の回避に向け、与野党の協議が大詰めを迎えている。一時は、楽観的な見方に傾いていたものの、ここに来てベイナー下院議長(共和党)の提案をオバマ大統領が拒否する意向を示すなど、協議は後退とも伝えられている。再び緊張が高まっているかに見えるが、筆者は悲観的には見てはいない。

民主、共和党両党の主張にまだ隔たりはあるものの、当初の絶対的な対立から見れば、両者は大きく近づいている。現時点でも、合意に向けた妥協を否定しているわけではない。ここで合意できなければ、米経済ひいては世界経済に与える悪影響は危機的なものになる恐れがある。オバマ政権としても、ようやく改善を見せ始めた失業率が再び悪化する状況は是が非でも避けたいであろう。それを憂える米産業界のプレッシャーもかつてないほど強いと言われる中、オバマ政権のみならず、野党も意義ある妥協を目指すと思われ、難航する協議も近々決着を見ると、筆者は楽観的に考えている。

「財政の崖」の回避を前提に考えるならば、未だまだら模様ながら、2012年3Q以降発表された経済指標は米経済の回復を示唆しており、2013年にはさらに先行きの不透明感が払拭され、実体経済の回復が本物となる可能性も高いと思われる。そして、その実現ははるか彼方かもしれないが、巡航速度で進む米国への期待、ドルへの期待が膨らむと考える。すなわち、ドル安からドル高への転換、「リスクオン」サイクルでもドルが買われる状況への変化が、ようやく訪れると考える。

日米ともに、結局のところ、「政治(家)」が相場のカギを握ることになりそうである。政権に携わる方々には、理念と現実のバランスの妙を見せていただきたい。何事も、現実を直視しなければ解決はないが、理念をなくして人々に幸福をもたらす解決はないことも忘れてはなるまい。

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