外国為替取引ニュースサイト FOREX PRESS

会社概要

お問い合せ

ニュース受付

HOME > 為替コラム

先月

2012/9

123456789101112131415161718192021222324252627282930

来月

FXインサイト

『希求 平和への願い〜そして、相場変動〜』 ―上田眞理人氏

2012年09月13日(木)

画像(635x160)

あれから11回目の9月11日が無事過ぎた。

「十年一昔」というけれども、衝撃的な映像とともに伝えられた同時多発テロの記憶は米国人には無論のこと、世界中の人々の脳裏に忘れ難いものとして未だ深く刻まれているであろう。
当時、既にニューヨーク金融街の中心はミッドタウンに移っていたとはいえ、航空機が突っ込んだワールド・トレード・センター(WTC)が米国経済の象徴的存在であったことは間違いない。センターあるいはその周辺にはまだまだ多くの金融機関が存在していたから、日本人を含め、同地で働いていた外国人も数多く犠牲になった。

当時、筆者は某外資系銀行東京支店に外国為替ディーラーとして勤務していたが、かつてWTCの近くで働いていたこともあり、ただただ呆然とニュース映像を見つめていた。その記憶だけが残され、どんなポジショニング、あるいはディールを行っていたのか全く記憶にない。

■「自由」めぐり対照的な天安門とベルリンの壁、「テレビゲーム映像」の湾岸戦争

外為ディーラー生活は約20年に及ぶが、ニュースが映像とともにもたらされるという衝撃的な経験はさほど多くなく、初めて経験をしたのは1989年だろうか。自由が踏みにじられた6月の天安門事件、そして自由が勝ち取られた11月のベルリンの壁崩壊。誠に対照的な2つのトピックが同じ年に起こったということは、今でも感慨深い。

そして、1991年の湾岸戦争もまた、多くの外為ディーラーにとって忘れられないものだろう。日本も多額の戦費を負担するなど深くインボルブされたが、米国の軍事力がイラクを圧倒し戦争自体は思いのほか短期間で終結した。もっとも、フセイン体制崩壊には更に10年以上の歳月を要することになるのだが…。

この戦争でもう一つ印象的なことは、現地からのCNNテレビによるほぼ独占的な報道、不謹慎を重々承知の上で表現するなら、それが送り続けた「テレビゲーム的な映像」である。あの無機質な映像には、武器の、ひいては戦争の残虐性を覆い隠すような効果が感じられ、何とも不愉快な印象だけが残っている。

しかし、「9.11」の映像によって受けた衝撃は、それまでの映像の比ではない。世界中の人々の目の前のテレビやパソコンの画面で、あのWTCが崩壊している。そこに集う人々が争っているわけではなく、おそらく普通の日常生活を送る人々の働いているビルが崩壊していた。

ビルが崩れ落ちるという厳然たる事実は把握できても、それがイスラム過激派によるテロであり、米国経済の象徴ともいうべきWTCの狙い撃ちに大きな意味があることを理解するまで、筆者には随分時間がかかったような気がする。
強い決意でテロとの戦いに臨むという米国の姿勢が、多くの国によって受け容れられたのも宜なるかなという状況ではあった。しかし当然のことながら、「テロを仕掛けた側・イスラム過激派=悪、テロを仕掛けられた側・米国=善」という単純な図式はすぐに崩れてしまい、その対立はより一層深いものとなっていく。

無論、筆者も理念・理想だけで物事が解決できるとは思っていない。だが、双方が戦争ではないその他の手段により平和を模索する努力を怠っている、と言われても仕方ない状況が今日をもたらしている。どんな大義名分があろうとも、人の命が奪われることは正当化されるものではなく、それはどちらか一方に問いかけるものではないからである。

■「有事」が戦争を意味しない日、その到来を切に待ち望む

そして11年の歳月を経ても、テロや戦争はなくなるどころか、その犠牲者の数は止まることを知らない。今も、戦火で世界各地が燃えている。先月、日本のジャーナリストが銃撃されて命を落としたシリアも内戦状態にあり、やはり衝撃的な映像とともに政府軍の虐殺とされるニュースが報じられている。
2011年1月、チュニジアに端を発したジャスミン革命。民主化を求める民衆蜂起は、フェイスブックあるいはツイッターなどのインターネット媒体の進化に支えられ、瞬く間に他の中東独裁国家に広がった。このうねりの中で、シリアは悲惨な状況に陥っているわけである。大国の思惑もあり、なかなか希望の光が見えてこないが、今の苦しみがせめて「生みの苦しみ」であることを祈りたい。

世界的な金融緩和の中、過剰流動性がコモディティ市場に向かい、食料価格の急騰がアラブ民主化の波を惹起し、その一方でテロや内戦という暴力を招いた。そう顧みれば、まさしく政治と経済は不可分であると理解しつつ、また、「願う」ことが露ほどの力にもならないと覚悟しつつも、「平和」を願わずにはいられない。

かつて、衝撃的な映像とともにもたらされるニュースが外為相場を激しく揺り動かした。しかし、今年7〜8月のマーケットはことのほか動意薄であり、何かがきっかけとなり動いてくれればとも思った。しかし筆者は、たとえ「きれい事」と言われようと、特に「9.11」以降はどんな状況でも、不幸な出来事で大きく相場が動くことを望んだことはない。

「有事」が戦争を意味しない―。そんな時代がいつの日か来ることを切に願うだけである。そして、平和な世界でダイナミックに動いてこそ、外為取引の醍醐味はより魅力あるものになるに違いないと思う。

画像(635x130)
画像(635x100)



Posted by 大阪証券取引所

プロフィール

大阪証券取引所

コラム・インタビュー・レポート / 大阪証券取引所

大証FXサイトとの連動コンテンツ。アナリストによるマーケットレポートから、著名人インタビューまで。

検索

最近の記事

RSS1.0 [Login] powered by a-blog

当サイトは為替証拠金取引を中心とした外国為替の取引に関するニュースのみに特化しています。乱立する為替取引・サービス情報を一同に介し、わかり易くジャンル分けすることで投資家・投機家が欲しい情報を即座に入手できるようにと思ったのが立ち上げの主旨です。またこのホームページに掲載している内容が正確であるよう最善を尽くしておりますが、内容についての一切の責任を負うものではありません。その旨ご了承願います。

FOREX PRESS

キャピタル・エフ株式会社

2002/11/15より運営開始