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『ECB利下げで日米欧の短期金利差に異変』 ― 柳澤浩 氏

2012年07月17日(火)

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■ECBは実質的にゼロ金利政策を採用

2012年7月5日、ECB(欧州中央銀行)が政策金利であるリファイナンス金利(=資金供給オペ向けの固定金利)を0.25%引き下げ、0.75%に利下げすると発表しました。併せて、預金ファシリティー金利(=市中銀行による中銀預金への付利金利)も0.25%引き下げ、ゼロ%にすると発表しています。

欧州の市中銀行にとって、リファイナンス金利はECBの資金供給オペ(7日物から最長3年物まで)に適用される利率(但し、3年物などは定期的に金利見直しがあるため、必ずしも完全固定ではありません)ですから、資金調達の基本レートになるわけです。
しかし現在のように、8,000億ユーロ(約78兆円)にも達する巨額の資金がECBの預金口座に放置されている状況下では、預金ファシリティー金利が銀行間のオーバー・ナイト金利などの基準金利となります。事実、EURONIAと呼ばれるユーロ圏のオーバー・ナイト実効指標金利は実質的な利下げ開始日となる7月11日に、前日までの0.15%台から0.01%台に下がっており、オーバー・ナイトの銀行間取引金利はほぼゼロ金利に達しています。

■実は、米国と日本は「ゼロ金利」にあらず

米FRB(連邦準備制度理事会)は現在、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利誘導目標をゼロ〜0.25%と定めています。そして、FRBも各地区連銀の預金口座に積まれている準備預金や超過準備預金に利息を支払うことを定めており、現在の付利金利はどちらも0.25%となっています。このため、米国の短期金利体系として、ゼロ%やマイナス金利が出現するのはTB(短期国債)だけであり、銀行間のFF金利は誘導目標のちょうど中心に当たる0.125%を挟んだ取引となることが多く、最近はほぼ0.15%程度での取引が続いています。

一方、日銀の政策金利は銀行間の無担保コール・レート(オーバー・ナイト物)であり、現在はこれをゼロ〜0.10%程度で推移するよう促すとされています。これを受けて、実際の銀行間市場で行われている取引レートは概ね0.07〜0.08%程度で推移しています(その平均レートを毎日日銀が集計して発表しています)。また、米国にならって、日銀も法定準備預金の所要額を超える超過準備預金には利息を付けることとしており、現在の付利金利は0.10%です。そして、この0.10%の付利金利が残存期間2年以下の短期国債利回りとほぼ一致して推移し、事実上、国債の最低利回りとなっています。

■実質的な短期金利、欧州が日米を下回り最低に

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実質的な短期金利ベースで比べてみると、今回のECB利下げの前は米国の実質的な短期金利が約0.15%、欧州も約0.15%に対し、日本は約0.10%でした。すなわち、「米国≒欧州>日本」 となっており、G3の中では日本が最低だったこが分かります。しかし、この順位はECBの利下げによって変化し、「米国>日本>欧州」 となってしまいました。

実は、今回のECB利下げにより、ユーロの短期金利がほぼゼロ%となってしまうことを理由に挙げ、米国の複数の大手金融機関がユーロ建てMMFの新規募集を中止すると発表しました。このため、米国からユーロの短期市場には新規の投資資金流入が難しくなり、これまで預けられていた資金に関しても、今後は解約されて米国に戻る可能性が高まりました。

一方、日本サイドでは弊社は勿論、多くのFX業者がユーロ/円の売り持ちにはスワップ・レートを支払い、買い持ちからはスワップ・レートを受け取る形に既になっています。つまり、これまでとは逆にユーロ売り・円買いのポジションで利息収入が得られる形に変わっているのです。

■最大の影響を受けるのは、各国中銀の外準運用

このように、個人レベルでも短期運用による利息の期待収益率が「米>日>欧」の順に変化したことが分かりますが、この影響を最も大きく受ける「投資家」は、間違いなく各国中銀の保有する外貨準備の運用になると思われます。

外貨準備を運用するにあたっては、どの国も先ずは安全性、その次に流動性を重視します。このため、どうしても国債での運用が基本となります。そして、流動性を考慮すると、運用期間に関しても一定の金額は長期債などに振り向けるものの、大部分は短期国債などでの運用になることが多くなるわけです。

元々、外貨準備を運用する通貨としては、基軸通貨である米ドルが最大になるのは当然ですが、ユーロ誕生以降はユーロが米ドルに次いで第2位の地位を築いています。しかし、ユーロの短期金利が日米両国を下回ったことから、一部の中銀が欧州から日本へと運用先を転換する可能性は高まります。このため今後は外貨準備の運用に関係してユーロ売り・円買いの流れがこれまで以上に強まると思われ、ユーロ/円の先安観が一段と強まると考えなければならないと思います。

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