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『ギリシャだけユーロ離脱の確率は60%、波及が35%』 ―小池正一郎氏

2012年06月26日(火)

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ギリシャ問題がスペインなど周辺国に波及していく気配が強まり、ユーロ危機は終息のめどが立たない状況が続く。長年にわたり東京やニューヨークで敏腕の為替デーラーとして活躍し、現在は国際金融・政治情報などをヘッジファンドや投資家に提供するキャノンバリーグループ(本社・ロンドン)日本代表の小池 正一郎氏にユーロの先行きについて見通しをお聞きした。インタビューの後半では、FX投資家が心掛けるべきポイントなどをアドバイスしていただいた。

― ギリシャの再選挙では緊縮財政派が勝利しましたが、欧州経済の現状についてどのようにお考えでしょうか。

ユーロ危機については、解決までに長い時間を要すると思います。ギリシャは国の規模としては小さいのですが、欧州にはギリシャに関わっている国がたくさんあります。ギリシャの債権を保有している国が、その値下がりに伴うバランスシート調整に対処するには相当な期間が必要です。

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ギリシャ再選挙についても、一つのイベントとしての回答は出たかもしれませんが、ユーロ危機やギリシャの財政再建に対する回答が出たわけではありません。ギリシャ問題の回答が何かというと、「処理プロセスが明確になる」「最終的に不良債権処理のめどがつく」ということです。しかし、全く道筋が付いていません。中央銀行が「資金を供給する」と強調しても、出血を止めているだけの話です。

そういう意味で今回のギリシャの選挙結果は、よい方向に進んだのではなく、ただ延命措置が講じられたに過ぎません。ギリシャに対して資金供給を続け、損失を膨らませながら解決を先延ばしするというやり方が本当によいのか、真剣に考えないといけないと思います。

ユーロ危機を終息に向かわせるには、ドイツがギリシャをどのように位置付けているのかが非常に大事なポイントになります。ドイツとしては、危機をギリシャで食い止めてスペインやイタリアには波及させたくないはずです。ギリシャに対して「ユーロを離脱したら大変な事になるぞ」と警告を発しながら、周辺諸国への危機の伝播を食い止めたいわけです。

― 最終的には、「ギリシャがユーロを離脱し、通貨をユーロから旧ドラクマに戻すしかない」という意見もありますが。

似たような過去の例としては、アルゼンチン危機がありました。統一通貨ではありませんが、アルゼンチンの通貨ペソは当時、5カ月間で75%も下落しました。また、モラトリアム(返済猶予)を行ったロシアでもルーブルが短期間に70%下落しました。ギリシャがユーロを離脱しドラクマに戻るとすれば、アルゼンチンやロシアのようにドラクマの価値が大幅に減価し、大変な混乱が起こることが予想されます。

― アルゼンチンの場合は通貨が減価したことで輸出が伸び、結果的に国力回復をもたらしました。しかし、ギリシャは輸出比率が低いため、通貨安のメリットがあまりないのでは。

私もそう思います。そもそも、ギリシャ問題をここまで引っ張り続けてはいけなかったのです。「ギリシャに新たに供給する資金が新たな不良債権と化す」という悪循環に陥っていますから。
今回の「ギリシャ悲劇」に4つの幕があるとすれば、まだ第3幕の段階だと思います。最後の第4幕では、ギリシャ離脱後のユーロの厳しい状況が想定されます。ギリシャがユーロから離脱しても、それで「終わり」ではないのです。ユーロは続いていくと思いますが、10年後も今と同じメンバーかというと疑問です。参加国の入れ替えが起きている可能性があります。

想定されるシナリオは3つぐらいありそうです。1つ目は、ギリシャだけが抜けて危機が終息するケース。2つ目は、スペインやイタリア、ポルトガルといった南欧の国が弱い通貨に戻り、ユーロから抜けてしまうケース。3つ目は、逆に強い通貨を持てるドイツやオランダ、ベルギーなどの国が抜けてしまうケースです。今後の展開を考えていく中でフランスの立ち位置が非常に重要になります。なぜならフランスについてはオランド新大統領が中間派で成長路線を入れてユーロを守るというスタンスを維持しながらも、(問題国への支援については)ある程度の節度を保つという考えを持っているからです。

実現確率で言うと、1番目のシナリオが60%、2番目のシナリオが35%、3番目のシナリオが5%というところでしょうか。危機がギリシャに留まらず、スペインやイタリアまで飛び火する可能性も考えておかなければなりません。スペインやイタリアが資金繰り難に陥っても、今のEU(欧州連合)が準備している資金枠では足りないし、ドイツの世論調査を見ると支援に消極的な層が拡大しているからです。

― こうした時期の投資では、どういう点に注意すべきなのでしょうか。

第一に、資産運用で為替や株式をトレーディングする際は、過去のしがらみを断ち切らなければいけません。

リーマンショック以前の投資スタイルは「BUY&HOLD」でよかったのです。金利がある世界では、買って持っておけば利益を上げられました。しかし今や「BUY、SELL&TRADE」という投資スタイルの時代を迎えています。現在のように確率が非常に小さいことでも起こり得る時代、別の言い方をすればブラックスワンと呼ばれる有事が常に起こるロングテールの時代には、「投資で損失を出しても、塩漬けにしていつか値上がりするまで待つ」というスタイルでは期待した収益は手に入れられません。

では何をすべきなのかというと、「面積で稼ぐ」しか方法がありません。面積とは、取引回数×収益。小さな利ザヤでも回数を増やすことで収益を大きくしていくわけです。その一つの例が急速に普及してきた千分の一秒で売買を繰り返すフラッシュ・トレードであり、「塵(ちり)も積もれば山となる」というスタイルです。

このようにマーケットが変質していることを、個人投資家も認識する必要があります。そして、この流れに対応していかなくてはなりません。マーケットに対して戦いを挑むのではなく、いかにして仲良くなるかが重要です。言葉を変えていうと、「トレンドに乗れ」ということになります。

また、「相場と戦っている」という表現を使う投資家もいますが、戦いを挑んでも1人対1億人では勝負になりません。1億人の中に入るという気持ちでマーケットに参加していくということが大切です。では、どうしたらトレンドに乗ることができるのか。これは慣れるしかありません。常にマーケットにいればトレンドを把握できるようになり、やがてそれに乗れるようになります。そのためには、小さい金額でも常に参加していくことが大事です。

― 「為替は株式や債券に比べて難しい」という個人投資家の声も聞きますが。

確かに、為替は難しいと思います。私は講演などで株式を野球に、為替をサッカーに例えて説明しています。野球では、攻撃と守りの局面が明確に分かれています。これに対し、サッカーでは攻守の区切りがありません。また、野球は限られた地域でのスポーツですが、サッカーは世界中で親しまれています。為替は株式と異なり全世界で取引されていますし、取引の時間が長く参加者の数も非常に多くなります。為替の取引には、グローバルな視点が欠かせません。

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為替マーケットに参加する際、心掛けておきたいポイントが二つあります。一つはトレードする時間を決めるということ。もう一つは、取引のルールを決め、ロスカットなどに代表される条件付きの注文を活用することです。

まず、一つ目のポイントを説明します。プロであれば常にマーケットを見ていることができますが、一般の投資家ではそうはいきません。ですから、1日の中でトレードする時間を決めた上で、マーケットに参加することが大切です。例えば、日本時間(米国夏時間)の午後9時〜12時です。米国の経済指標が発表されるのが午後9時半(同午前8時30分)で、為替相場が一番動く時間帯だといわれています。

2つ目のポイントでは、トレードを行う前に「行うトレードの最終的な処理方法をどうするか、すなわち利食いと損切りの水準」をあらかじめ決めておくことです。例えばドルを買う場合、どの程度の利益を目標とするのか。また、下がった場合に備えて、損失はどこで止めるかというルールを決めておき、さらにはそのルールを必ず守るというルールを持つことが非常に重要です。

― 通貨別に今後の展望をお聞かせいただきたいのですが。

先ず、ドル/円についてですが、ドルがそんなに強くなる感じはしないものの、円の弱さが少しずつ出てくるのではないかと思います。個人的には、年末にかけて1ドル=90円ぐらいのイメージを持っています。理由は、アノマリー(経験則)とファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の両方にあります。

アノマリーの部分では、今年は米大統領の任期最後の年ですが、変動相場制以降を振り返ると、民主党大統領の任期中に円が最高値を付けています。実際にオバマ政権でも昨年、円が最高値を記録しました。これは以前から指摘していたことでしたが、結果的に予想通りの展開になりました。
もう一つ、任期の最初は前任者の方向を引継ぎいだ後、2〜3年後に方向転換し、そのあとは最初と逆の方向で任期を終える、という傾向があります。過去の経験則から言えば、年末にかけては円安に進んでいくのではないかと予想できます。

ファンダメンタルズの部分では、マネーの流れに注目する必要があります。おカネは「成長性」、「安全性・信頼性」、「実質的な金利」の高い所へ向かいます。そう考えていくと、一番信頼性の高い国は今、日本あるいは米国です。米国は「成長性」については足踏みしている感がありますが、他の国に比べれば回復傾向にあると考えています。米国が世界のGDP(国内総生産)の4分の1を生み出していることでも分かるように、ドルの需要は継続性があり、ドルの弱さを強調する必要性は見つかりません。

一方、円について言えば、足下は円高傾向ですが、円の弱さは常に意識されています。日本の債務残高が非常に高い水準にあり、「国債の90%以上を日本国内で安定消化できている」といっても、財政債務残高は年々増加しており、厳しい状況が続いているわけです。消費税増税の問題に決着が付かないままだとしたら、将来海外投機筋からギリシャのような状況に追い込まれる危険性もあります。このような観点から、相対的にドルの方が強くなってくるのではないかと考えています。

― ユーロについてはいかがでしょうか。

ドル/ユーロについては、ユーロスタート時の為替レート1ユーロ=1.1840ドルが一つのメルクマールになると思います。1.1840を割るような事態になれば、更に底が抜けてしまうのではないかと懸念されます。そのように考えると、ユーロ/円については2000年に88円台を付けたことがあり、いずれこの水準を割り込む場面がでてくるのではないかと考えています。

― 豪ドルなど資源国通貨については、どう予測されますか。

資源国通貨については、メリットとリスクがあります。現在豪ドルをトレードする際のメリットとしては、「信頼性」が高いこと、資源国であるため「成長性」が高いこと、「金利」が高いことが挙げられます。

一方、リスクとしては、マーケットが非常に小さいということです。今は、狭い池の中でクジラが泳いでいる状況ではないかと思います。足下では世界中からマネーが集まっていますが、再びリーマンショックのような事態が起こると、一斉におカネが逃げていく可能性があることを頭に入れています。また、オーストラリアの一番の輸出相手国が中国であり全体の4分の一以上を占めていますので、中国経済が大幅に減速するとオーストラリアにも大きな影響があるという点は懸念材料になります。

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