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『ギリシャは「秩序あるユーロ離脱」が望ましい(2)』 ― 武藤敏郎氏

2012年06月07日(木)

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― 日本でもギリシャのような危機が発生する可能性があるのでしょうか。

日本の財政状況については、ギリシャより債務残高の対GDP(国内総生産)比率が高い事実を踏まえると、国債バブルが崩壊に陥るのは「時間の問題」だと思います。しかしながら、その時間が重要な問題であり、「1年以内に起こるか」というと答えはノーです。

なぜかというと、日本の国債消化に「ホームバイアス」が存在するからです。外国人の保有比率は一ケタ%にとどまり、90%以上を国内の投資家が保有しています。また、日本の金融資産は増加額が減少しているとはいえ、残高が増えていることは増えています。

ただ、国債発行の純増額と金融資産の増加額を比べると、これまでは金融資産の増加分のほうが大きかったのですが、つい最近になってこの額が逆転しました。ですから、これまでとはホームバイアスの意味合いが多少変わってきています。それでも、現時点では国債消化に問題があるということではありません。

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また、国債の先物市場を見ると、3〜4割を外国人が占めています。その外国人が国債市場全体を動かすかといえば、今のところ仕掛けていこうとする動きはありません。

こうした中で、野田政権は消費税率を5%から10%に引き上げる法案を国会に提出しました。賛否両論がありますが、今国会で実現する可能性は十分にあると考えています。海外から見ると10%でも低い水準ですから、日本には引き上げの余力があります。このため、「日本には政策対応力がまだまだある」というように見られています。

しかし、「ある」と思われていた政策対応能力が「実はなかった」、あるいは「政治は何も決められなかった」という事態が起こると、問題が早めに顕在化してくる可能性があります。

仮に消費税を10%に引き上げても、2015年のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字は対GDP比で3%程度になります。3%という数字は欧米から見るとギリギリのラインです。プライマリーバランスの赤字が続くということは、債務が残高ベースでは増えていくということですから、2014〜15年の国債発行残高は対GDP比で250%にも達するだろうと予測されています。

もし主要国が向こう数年間で財政再建に取りかかり、諸外国の財政指標に少しずつ改善する兆しが出てきているのに、日本だけが悪化しているとすればマーケットがアタックしてくる可能性を排除できません。

― 最終的に消費税は何%まで引き上げる必要があるとお考えでしょうか。

社会保障をどのようなレベルまで持っていくかにもよります。政府が発表しているように2020年までにプライマリーバランスを均衡させるということだけを考慮すると、消費税率は15〜16%にならざるを得ないと思います。

ただ、我が国の高齢化がピークを迎える2050年には、高齢化率が40%に達していると予測されています。2020年代の高齢化率はまだ20%台です。現在の社会保障の水準を維持した上でこの上昇分を補うためには、更なる増税が必要ですから、最終的には20%台の前半の消費税率になるのではないでしょうか。

― 「歳出を削減すれば、消費税率を抑えられる」という主張もありますが。

歳出削減は必要です。ただ、歳出削減は過去20数年議論されてきたにもかかわらず、未だに解決されていません。しっかりとした歳出削減を行うとすれば、国民に何かしらの負担を強いるような形になるはずです。本当はそこまでやらないといけません。

ところが、これまでは「歳出カット」を言いながら、実際には高校授業料を無償化してみたり、高速道路を無料化してみたり、逆の政策が行われてきたように思えます。強いてあげるとすれば、公務員の給与カットぐらいでしょうか。

歳出削減は必要ですし、やらなければいけないと考えています。しかし、政治に限界があることも認識する必要があります。削減し過ぎれば、社会として本当にそれでいいのかという問題もあります。この問題は終わりのない永遠の課題と言えます。

― 日銀の金融政策についてはどのようにご覧になっていますか。

日銀は異例のゼロ金利政策や量的緩和策などを行ってきた中で、更なる努力に取り組んでいると思います。中央銀行をよく知っている人から見ると、これまでのタブーを取り払ったような対策を打っているという評価もできるでしょう。

しかし、非常に微妙な政策変化ですから、金融政策について詳しくない人にはなかなか通じないという問題があります。また、手順や発表ぶりといったコミュニケーションは十分ではないといった印象を持ちます。

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今の状況を金融政策だけで脱却できるのかといえば、その他の政策も併せなければ無理だと思います。本来であれば財政政策の出番ですが、それには限界があります。そうなると、残されるのは規制緩和と構造改革です。
規制緩和と構造改革を進めていくべきだと考えていますが、この部分については一時期に比べて大分熱意が冷めてきているように思います。グローバルマーケットに対応していくためにも、そういった規制を取り払っていく必要があるのですが…。
また、日本から海外に出ていくばかりではなく、外国から企業や経営者が入ってくるという、国内でのグローバリーゼ―ションを受け入れていく覚悟が必要です。労働力についても、日本から海外に出ていくことばかり推奨し、外国から入ってくることには閉鎖的な社会の維持はできないでしょう。

― 日本の未来を担う若い世代に元気がないように見えますが。

私は学校法人開成学園の理事長も務めています。今の中高生を見ていて、内向きだとか無気力だとは思いません。好奇心が旺盛で色々なことに関心を持っている若者が多いように見えます。

問題は、日本の社会のほうにあるのではないでしょうか。今の社会には、前を向いて進んで行こうとする若者を十分にサポートする体制が整っているのでしょうか。あるいは、若者が進んで来た道を変えてやり直せる社会かといえば、必ずしもそうではないように思います。「有名大学を出て一流企業に入ることが人生の成功」というような一律的な考え方は、せっかく若者が持っている企業家精神を阻害しかねません。

「日本の若者に元気がない」と聞きますが、社会や家庭が若者の活力を刺激して背中を後押しするという形を作っていくことこそ、今の日本に最も重要な課題ではないでしょうか。

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