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『春は円安…過去3年のアノマリー』 ― 柳澤浩 氏

2012年04月20日(金)

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「春は曙、ようよう白くなり行く山際…」―。有名な「枕草子」の冒頭部分ですが、ここ数年の外国為替市場を振り返ってみると、ドル円相場に関しては、2009年以来、「春は円安」の状況が続いています。記録を当たってみますと、年間のドル高値は2009年が4月6日の101円50銭、2010年が5月4日の94円99銭、そして2011年は4月6日の85円52銭。今年、2012年に関しても、現在までの年初来高値は3月15日の84円18銭となっています。

同じく枕草子の「秋は夕暮れ、夕日のさして…」ではありませんが、逆に秋になるとドル円は落ちやすくなります。年間のドル安値は2009年が11月27日の84円84銭、2010年は11月1日の80円22銭、2011年も10月31日の75円35銭であり、過去3年間は恐ろしい程に季節性が一致していました。

では、何故、この様な状況が生じたのでしょうか? その最大の要因は2008年秋に起こった「リーマンショック」であり、その直後に米連邦準備制度理事会(FRB)が実行した過去に例のないほどの積極的な金融緩和政策が挙げられます。

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FRBは2008年末に政策金利をゼロ近辺に引き下げ、日米の短期金利差はほぼ解消。そして、2009年春からはQE1と呼ばれる「量的緩和政策」を実施し、2010年後半にはその第2弾であるQE2、そして2011年秋からは「オペレーション・ツイスト」と立て続けに金融緩和政策を打ち出してきました。

この様な状況の下、ドルの余剰感が円のそれを上回る事態となり、ドル安・円高基調もずっと継続してきました。また、奇しくも2010年以降、米株式市場は春ごろにその年の高値を付ける状況となっており、ドルが買われやすい状況も続いていたのだと思われます。そして、米FRBは現在、「異例の低金利を2014年終盤まで維持する事が正当化される」と連邦公開市場委員会(FOMC=FRBの政策決定会合)声明文でうたっており、今のところ早期に金融引き締め策に移行する可能性はかなり低いと思われ、今年も状況的には昨年と大きく変わりそうにありません。

■3月までは米早期利上げ観測が優勢

2011年末以降、米国の経済指標とりわけ雇用指標の改善が継続し、米国の株式市場も活況を呈しましたので、FRBの利上げ前倒しの観測が強まっていました。これが米国債相場を下落に導いて長期金利の上昇を招くことになり、年初来のドル上昇を支えてきたといえるでしょう。

そして、3月13日に開かれたFOMCでは順調な米景気回復見通しに後押しされ、「失業率の顕著な低下」が指摘され、エネルギー価格上昇によるインフレに対する警戒までが示されていました。そうなると、「『異例の低金利』状態を解消する時期も今までよりも前倒しになる」と考えられるようになり、ラッカー・リッチモンド地区連銀総裁のようなタカ派のFRB高官からは、「2013年中には利上げが必要となる可能性が高いと現在は考えている」との発言も聞かれました。

このため、市場でも早期利上げを織り込む動きが見られ、ドルも堅調な推移となったのです。今思えば、丁度そのころにドル円が年初来高値を更新していたわけであり、米国の早期引き締め観測の高まりとドル上昇の同時進行が裏打ちされています。その後、公表されたこの会合の議事要旨では、「追加的な金融刺激策が必要」と考えているFOMCメンバーが「2〜3名」に減っていたことも明らかにされていました。

■雇用統計悪化、一転して追加緩和観測が台頭

しかし、4月6日に発表された米3月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回り、これまでの楽観的な景気観測が大きく後退することになりました。この統計発表後、市場は「FRBが『異例の低金利』を早期に解消することは再び難しくなった」と考えるようになり、米国債相場が急騰(長期金利が急低下)する一方で米株式市場は大きく調整する局面に転じています。そして、ドル円相場も、それまでサポートされていた82円の大台を割り込んで、80円台まで下落する動きが見られているのです。

また、この統計を受けてFRB高官からも再び追加緩和の必要性に関する発言が増え始めています。先ず4月11日、ロックハート・アトランタ地区連銀総裁は、「追加緩和が必要なら、不胎化を伴う国債買い入れが選択肢のひとつ」と発言しました。翌12日には、イエレン・FRB副議長が「米景気の回復ペースが予想より弱まれば、一段の金融緩和が正当化される可能性がある」と述べ、同日はもう一人の副議長であるダドリー・ニューヨーク地区連銀総裁も「もし、経済につまずきが生じて失業を低下させるに充分ではなく、インフレも落ち着きを見せているか、もしくは物価下落が見られればFRBは、『絶対に』追加緩和を検討する」と発言しました。

現在実施中の「オペレーション・ツイスト(短期債売りと長期債買いを同時に行うFRBの緩和的政策)」が6月には終了しますので、今はその後継的な緩和政策に関して何らかのヒントをFRBが市場に示す時期に当たっています。また、今のところ米住宅市場の改善ペースは非常に緩慢ですから、バーナンキFRB議長は住宅市場の下支えのためにも長期金利の上昇は好ましくないと考えている模様です。それ故、次回のFOMC(4月25日開催予定)では、FRBが何らかの追加緩和策を示す可能性は比較的高いものと思われます。

■日銀への過度の期待剥落で

一方、2月14日に日銀が「10兆円の資産買い入れ枠拡大」と「1%のインフレ目途(めど)設定」を発表しました。日銀としては過去に例の無いほどの積極的な追加緩和策となり、ドル円の押し上げに大きく貢献しました。

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しかし、4月3日に発表された3月のマネタリー・ベースが前年同月比0.2%減となっていたように、通貨供給量を恒常的に増加させ続けることの難しさも露呈し始めました。また、「1%のインフレ目途」との文言が外国人投資家には「インフレ・ターゲット」と理解されているようであり、「インフレ率が1%に上昇するまで、日銀は常に積極的な追加緩和策を発表し続ける」と誤解されているものと考えられます。

これに対し、日銀は4月10日の政策決定会合では政策の現状維持を発表しました。この事実からしても、毎回の決定会合で常に追加緩和策を打ち出すとの見方は全く現実的ではないことも明らかです。このため今後、日銀の追加緩和に対する外国人投資家の過度の期待は徐々に剥落すると見られ、日銀の追加緩和期待を受けて積み上がってきた海外投機筋を中心とした「ドル買い・円売り」のポジションもそれとともに解消されていくものと思われます。

こうして見ると、米国サイドでは早期利上げ観測が後退して何らかの追加緩和策継続が期待されており、ドル円の更なる大幅上昇が続くか否かはひとえに日銀の金融緩和政策に対する姿勢にかかっていると考えることができそうです。

このため、もし日銀が再び追加緩和に慎重な姿勢を見せる事態になれば、ドル円も下落基調を強める状況に逆戻りするかもしれません。さらに最近の米国株の軟調地合いがこのまま続く可能性もあり、ドル円が秋口に年初来安値を更新する可能性は今年も格段に高まったと考えるべきだと思われます。2012年も「春は円安、秋は円高…」となりそうな雰囲気が強まりながら、季節が巡っていきます。

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