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『日米欧が直面した「ギャップ」の時代 (1)』 ―前原康宏 氏

2012年03月29日(木)

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2012年2月の日銀による追加金融緩和以降、円高に一服感が出て日経平均株価が1万円の大台を回復するなど、日本経済の先行きには薄日が射し込み始めたようにも見える。東日本大震災や未曽有の原発事故から1年が過ぎ,果たして景気回復の胎動は本物と受け止めてよいのか。国際派の日銀マンとして米欧で活躍後,現在は一橋大学国際・公共政策大学院でアジアに研究領域を拡げている前原康宏教授(金融論、国際経済学)に世界経済が直面する課題と見通しをお聞きした。

― 日経平均株価が1万円の大台を回復し、金融市場では日本経済の復活を期待する声も高まっていますが。

日本経済については、基本的な要因は変わっていないと考えています。「長い目で見た場合、日本の潜在成長率はどれぐらいか」という問題になりますが、日銀は1%パーセントを割り込む水準だろうと見ていますし、他の官庁でもそれぐらいではないかと言われています。

高齢化が進んで労働力人口が減少してくると、生産性が飛躍的に伸びない限り、恐らく低成長が続くだろうと考えられます。そのような前提で将来を展望してみると、「パイが大きくならない社会」の再配分という問題になるし、且つそれが世代間の再配分ということになります。これは構造的な問題であり、相当腰を据えてやらないと展望を切り開くことは難しいでしょう。

こうした中で小刻みに株価が上がったり、下がったりしています。日銀が実施した追加金融緩和や物価目標の導入はアナウンスメント効果、すなわち世の中に対するメッセージをより明確にしたという点では評価されますが、中身としてはこれまでと同じスタンスを続けていると思います。日銀はデフレを脱却したいという強い気持ちを持っていますし、そのためにはあらゆる手段を講じるというスタンスにも変わりありません。
気になるのは、その過程の中で日銀が国債の購入を増やさざるを得ず、それに蓋ができなくなる状態に陥る可能性があることです。日銀は財政ファイナンスには手を貸さないというスタンスですが、政治が増税かあるいは歳出削減を決断しない限り、そのツケはどこかに回ってきます。

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国債は誰かが買わざるを得ませんが、問題なく消化するためには「国内で」ということになります。ですから、民間部門で消化できない場合には、中央銀行を含めた公的部門が買い入れるという構図になると思います。そういう状態が続く限り、根本的な問題に手を付けることは難しく、先送りされていく可能性が高いでしょう。

問題は、こうした状態がどこまで続くのかということです。これは今になって言われ始めたのではなくて、バブル崩壊以降ずっと指摘され続けてきました。最後は政治の問題になります。構造改革などは政治主導でない限り実現できないからです。自民党から民主党に政権が交代しても、大きな変化は見られませんでした。(多くの国民が)政治に対して失望しているという状況ではないかと思います。

今の状況では、どのようにイニシアティブが出てくるのか見え難いため、先行きの見通しも明るくないという側面があると思います。これを打破するには、日本社会のシステム全体を変えなくてはなりません。それには国民のメンタリティ、つまり日本的なやり方やガバナンス(統治)を変えていく必要があるのですが、今はそのような兆しは見えません。本当に危機に直面すれば、変化していくと思いますが、そこまで至っていないが故に、危機的状況が徐々に進んでいるのだと思います。

― 近い将来、日本がギリシャのような債務危機に陥る恐れはありますか。

私は、日本はギリシャのような(国の借金が累増する)状況に既に直面していると思っています。ただ、ギリシャのように日々の生活に影響が出てきているわけではないし、日本の長期金利も上昇していません。円が大きく売り込まれているわけでもありません。外国からのファイナンスに頼らなくても国債が国内で消化できているなど、色々な要因はありますが、このような状況では日本人に本当の危機感は生まれてこないのだと思います。

2009年の政権交代が起こった際には、国民の間に危機感が生じていたのだと思います。ただ、今の状況を見ていると、残念ながらその危機感を反映する形で政治が対応してはいないように思います。

― 企業サイドでは、政治に頼らず海外へシフトする動きが加速しているように見えますが。

確かに、海外展開を積極化している一部の企業では、日本的なやり方ではなく、海外のやり方に合わせてきているように見えます。そういう形で生き残りを懸けてきているわけです。こうした企業には国家という概念はあまりなく、マルチナショナル・エンタープライズ(多国籍企業)が登場してきています。

しかしながら、そうした動きはごく一握りの企業に限られた話であるように感じられます。銀行なども最近はアジア展開を打ち出していますが、やり方は昔と変わっていないという印象を受けます。日本国内の景気の動きや取引先企業の活動に合わせて、アジア展開を出したり、あるいは引っ込めたりしているようにも思われます。

― 人口減少の日本市場で内需が減少していく中、企業は日本とアジアのマーケットを一体化して捉える必要がありますか。

そのような発想の転換が必要になってくると思います。ただ、海外進出の方法は企業によって異なります。「グローバル・スタンダードでやっていこう」という企業もありますが、多くの企業には「日本的なやり方を海外にも当てはめよう」という考えがあるようです。しかし、それでは海外で通用しないのではないかと危惧しています。

最近、モンゴルを訪れて話を聞いてみました。モンゴルは地下資源が豊かなため、日本政府・企業は友好関係を築こうとアプローチしています。しかし現地で話を聞くと、日本企業は長期的なコミットメントをしていないように見受けられます。短期的に日本的な基準で収益を上げられる投資かどうか、すなわち日本国内向けにきちんと説明できるか否かという観点から、対モンゴル投資の可否を判断している企業も多いようです。

だがそれは、モンゴルの潜在的な力を引き出す上では必ずしも妥当な基準ではないように思います。このため、鉱山の採掘権などは欧米の企業に奪われているのが実情です。(続く)

>>この続き『日米欧が直面した「ギャップ」の時代(2)』へ

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