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『新興国と争うな、米欧の土俵で勝負せよ!(2)』 ―松谷明彦 氏

2012年02月21日(火)

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― なぜ日本企業は低収益体質になってしまったのでしょうか。

よく言われるのが、「新興国が伸びてきて価格破壊が起こり、日本企業の収益率が落ちている」ということです。もし原因がそれだけであれば、日本だけではなく他の先進国も収益率が低下してくるはずです。ところが、現実には日本だけ収益率が落ちてきています。

日本は他の先進国とは違う“土俵”で勝負していることが原因ではないかと考えています。日本が勝負しているのは、中国や韓国、インドといった新興国がひしめき合う激烈な市場なのです。戦後一貫して日本は、米国や欧州で開発された製品をロボットなどを使い、大量に安く作るということを得意にしてきました。この日本のビジネスモデルを、今や中国、韓国、インドが同じように実践しています。人件費が安い新興国に日本が勝てるわけはありません。

これに対し、米国や欧州の先進諸国は異なる土俵にいます。米アップルに象徴されるように新しく製品を開発しながら、それを高く売っています。自分で開発するから高く売れるわけで、そのような市場には、新興国も容易には参入できません。
日本は中国や韓国、インドといった新興国を相手にした競争をもう止めるべきです。他人が開発した製品を作るといった後進国のビジネスモデルでは、新興国には絶対に勝てませんから。日本は、米国や欧州の先進国と競い合う土俵に移るべきです。

かつては、米国や英国のビジネスモデルも今の日本と同じようなものでした。ところが日本に追い付かれてしまい、日本がキャッチアップできないような製品を開発するという方向にシフトしたわけです。あるいは、欧州などは大量に普及品を作るのではなく、「職人技」を活かした高級品に特化しながら、ソコソコの経済になってきたわけです。
日本企業も画期的な新製品を生み出すか、高級な製品に特化するような大改革を断行しない限り、収益率の低下はますます進むでしょう。その結果、日本の金融・株式市場も魅力が乏しくなってしまいます。

― 具体的には日本企業にどんな取り組みが必要なのでしょうか。

日本が後進国モデルから抜け出すためには、2つの方法があるのではないかと思います。一つは製品開発についてです。日本企業はロボットなどの技術開発(プロセス・イノベーション)は得意なのですが、新しい製品を生み出す製品開発(プロダクト・イノベーション)についてはまだまだ未熟です。いかに付加価値率の高い、プロダクト・イノベーションを起こすかがカギになります。

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日本では「受験教育のせいで独創的な発想のできる人材がいない」「ゆとり教育の影響で優秀な技術者が育たない」といわれていますが、そんな寝言を言っている先進国は他にありません。製品開発の基本原則は、自分の国で伸ばしたい産業がある場合、その分野で世界で一番すぐれた研究者をどのように確保するか、つまり世界中からの人材獲得なのです。「自国民の中から…」と悠長なことを言っている国はどこにもありません。優秀な外国人を日本に連れてきて、それを核としながら企業の製品開発能力を強化していくべきなのです。

ただ、日本には米国のシリコンバレーやボストンのような研究開発コミュニティーがないため、優秀な外国人を引っ張ってくるのは至難の業です。そこで船(=企業)ごと日本に誘致するといった施策を行う必要があると思います。
コミュニティー自体が日本に移ってくるわけですから、それと一緒に優秀な人材も日本にやって来ます。日本が本気で取り組むなら、資本の自由化によって外国企業を取り込んでいかなくてはなりません。それで初めて、研究開発分野で国際競争ができるようになるでしょう。海外の有力企業がどんどん日本にやってきくれば、日本の金融・証券市場も当然、極めて国際化した市場に変化していくはずです。

一方、「職人技」など人間力を磨いていけば、製品が高級化する分野が日本には少なくありません。ロボットにはできない、デザインやモノづくりの分野に特化していく方法です。「職人技」を習得するには、100〜200年単位の時間を要します。試行錯誤を繰り返しながら、代々積み重ねてきた経験則は新興国も簡単には真似できません。そのような「職人技」を持っているのはアジアの中では日本だけです。熟練の技を活かしながら、機械力と人間力の絶妙な融合を図った新しい製品を生み出すことが大事なのです。成功すれば、日本企業の独壇場になるかもしれません。

日本の各地に昔から蓄積された技術が眠っており、それを活用して近代的で超高品質な製品を作ることができれば、地方の活性化にもつながります。もし、こうした技術がない地域なら、職人学校のようなものをつくって職人を育てるべきです。優秀な職人が出てくれば、企業が立地するかもしれないし、地元で会社を設立する動きも生まれてくるでしょう。いまの日本は外国企業を誘致しないし、熟練技やノウハウの蓄積も大切にしない。だから、ジリ貧の状況になっているのです。

― 人口減少が加速していくと、円相場にはどのような影響があるのでしょうか。

もともと為替相場はその国の物価水準で決まってくるものです。その物価水準は、人口減少に対して中立です。人口が減少するから、物価が上がる、あるいは下がるということにはなりません。人口が減少すると買う人は減りますが、作る人も減ります。需要と供給のどちらも減るからです。

しかしながら、日本企業の収益率が回復してくると「日本株を買おう」という動きが出てきますから、その場合には円高に振れるでしょう。逆に構造改革が行われず、企業収益力がさらに低下していく方向であれば、円安に振れていくのではないかと思います。(了)

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