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『ユーロ相場の焦点、ソブリン危機から景気後退へ』 ― 高野やすのり氏

2012年01月11日(水)

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2011年は、3月11日の東日本大震災の発生でリスク回避とレパトリエーション(投資資金の海外から国内への還流)から円高が進み、ドル円相場が約16年ぶりに戦後最安値を更新しました。直後にG7による協調介入が行われ一旦は円高が収まったものの、その後も円買い圧力は根強く、10月には連日の最安値更新で75.31円まで円高が進行しました。

そして史上最大の1日で約8兆円、その後数日の合計で約9兆円にも上る財務省・日銀による単独の為替介入が実施されることになりました。結果的にはこの介入以降、ドル円が再び最安値を更新することはなく、非常に狭いレンジでの取引に移行したことから、一定の効果は上がったと言えます。

一方、世界に目を移せば、昨年の為替市場の主役は何と言ってもユーロでした。

2010年春、ギリシャ国債が投資不適格(ジャンク級)にまで格下げされました。それをきっかけとして表面化した欧州のソブリンリスク問題ですが、2011年前半まではギリシャに対する各国や国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の支援によって一旦落ち着きを取り戻したかに見えました。

しかし昨年5月以降、ギリシャの財政赤字削減が順調に進んでいないことなどから、再び懸念が強まりました。それを受け、市場が懸念する対象はギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどに留まらず、より経済規模の大きなスペイン、イタリアにまで拡大していきました。

イタリアは、ユーロ圏第3位の経済規模を誇り、G7にも加盟している先進工業国の一角を占めています。そのイタリアの財政懸念が強まったことで、支援を受ける、または受ける可能性のある国だけでなく、支援する側のドイツ、フランスなどにまで財政懸念が波及していくことになりました。

■「計画を立てても実行できない」ギリシャ、そのデフォルトを恐れるフランス

 ギリシャなどの債務懸念国では、国内での財政再建へのコンセンサスが得られているとは言えない面があります。基礎的な経済基盤の弱さに加え、国民の納税意識の低さなどの問題も抱えており、ユーロ加盟後の放漫財政から緊縮財政への転換は国民生活に多大な痛みをもたらすことになるからです。事実これまでも、「計画を立てても実行できない」という状況が続いています。

それでもフランスは、ユーロ圏のソブリン危機対応に積極的な姿勢を続けています。政治的に、「ユーロ圏内でイニシアチブを握りたい」との思惑もあるのでしょう。しかし、自国の金融機関が南欧諸国の国債を大量に保有していたり、それらの国向けの貸付残高が多かったりするため、万が一デフォルト(債務不履行)となった場合の自国への影響が大きいことも理由の一つと考えられます。

その一方でドイツは当初、フランスなどに妥協する場面も多々ありましたが、財政懸念国への過剰な支援に対する抵抗感の強い国内世論の力もあって、たびたびフランスなどと対立する場面が目立ってきています。

こうした状況の中、昨年12月にはEU首脳会議が開かれ、「財政統合への第一歩が踏み出されるのではないか」との期待が高まりました。しかし、英国の強い反対によりEU27カ国による新条約制定への動きにはならず、これまでの規定を強化することに留まりました。

また、中央銀行として「最後の貸し手」の役割を期待されているECBは、国債の無制限買い入れなどについてはその実施を明確に否定しています。

ただ、イタリア出身のドラギ氏が総裁に就任した直後の昨年11月の理事会では、いきなり政策金利の引き下げを実施し、12月にも2カ月連続で利下げを行いました。また、3年という異例の長期資金供給オペをこれまでより担保条件を緩和して実施したため、ECBとしては「最後の貸し手」としての姿勢を最大限示したと考えられます。

■財政再建の道筋見えない欧州、「格下げラッシュ」が起こる可能性も

 このように、各国首脳とECBにIMFを加えて様々な取り組みが行われていますが、今までのところは基本的に「時間稼ぎ」を続けているだけで根本的な財政建て直しへの道筋は見えていていません。

このため大手格付け会社では、3社揃って2012年前半にはAAA格付けのフランスを含む欧州各国の格付けを引き下げる可能性が高くなっています。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は現在、ユーロ圏15カ国を「クレジット・ウオッチ・ネガティブ」(引き下げ方向で見直し)としています。ドイツなどは1段階、フランスなどは2段階の格下げの可能性があると発表しており、間もなく結果が発表される見通しです。

このほかフィッチは昨年末のEU首脳会議後に「ソブリン債危機の解決に取り組む域内各国政府への圧力を和らげる効果はほとんどない」としていますし、ムーディーズは「新たな政策がほとんどない」ことから今年初頭に欧州諸国の格付けを見直す方針を確認しています。

こうしたソブリン危機の拡大・長期化に加え、欧州では昨年末から景気後退の可能性が取り沙汰されています。このところのユーロ圏の経済指標は、全般的に弱い結果が続いています。イタリアの経済発展相は昨年12月、同国経済が「確実に景気後退入りのリスクに直面している」と述べています。エコノミストの間でも、「2011年終盤から12年前半にかけて景気が後退する」と見ている向きが多く、マイナス成長の予想が多くなっています。

これまではソブリンリスク問題に一喜一憂しても、その割には底堅い動きを続けてきたユーロ相場ですが、今後、景気後退が指標で確認されていくと格下げラッシュの可能性もあり、本格的な下げ相場に突入すると予想されます。

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