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『「ハト派の時代」が到来した世界経済(2)』 ― 柳澤浩 氏

2011年11月17日(木)

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■豪州、中国でも金融引き締め局面は終了

 11月1日、オーストラリア準備銀行(RBA)が0.25%の利下げに踏み切りました。同国は2008年秋に起こったリーマン・ショック後の景気後退局面から最も早く立ち直りを見せ、2009年10月から金融引き締めを開始しました。そして、2010年の11月までほぼ1年にわたり7回の利上げを行い、政策金利を3.00%から4.75%まで引き上げました。
当然、先進国では高金利国の代表格となり、豪ドルは外貨預金やスワップ・ポイントを狙った個人投資家のFX取引でも一時、ドル円をしのぐほど人気を博しました。ところが、欧州ソブリン危機の深刻化や米国経済の停滞、中国経済の減速などを勘案してついに利下げにまで踏み込んだわけです。

その中国でも、消費者物価の上昇率がピークアウトしたと見られており、近い将来、人民銀行は金融緩和局面に移行するとの観測が強まっています。豪中両国については中央銀行のメンバー構成とは直接関係ないとはいえ、金融政策をタカ派的からハト派的へと移行する動きを見せている中央銀行とはいえるでしょう。

■日本銀行の追加緩和策と円相場の行方

 さて、日本銀行も10月27日、資産買い入れ基金を50兆円から55兆円に5兆円増額する追加金融緩和策を発表しました。
日銀は「国際金融資本市場や海外経済の動向次第で、経済・物価見通しがさらに下振れするリスクにも注意が必要」とした上で、足元の円高など市場動向にも警戒感を表明。こうした認識を踏まえて、「物価安定のもとでの持続的成長経路への移行をより確かなものとするためには、金融緩和を一段と強化することが必要と判断した」と説明しています。欧米のハト派路線に日銀も平仄(ひょうそく)を合わせた形です。
しかし市場では、この日銀の追加緩和策はあまり効果があるとは見なされませんでした。

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同日の外国為替市場では、午前中に1ドル=76円台前半で推移していたドル円相場が日銀の発表後に75円台後半まで下落してしまい、やや冷淡とも云える反応を見せました。
これは、日銀の追加緩和策が比較的年限の短い国債の買い入れ枠の増額に限られたことによるものとも思われますが、やはり「日本の実質金利の高止まり是正に、日銀がもう少し積極性を見せてほしい」という市場からの暗黙の要請なのかもしれません。

現在の日本のインフレ率は、9月の消費者物価指数ベースではゼロ%となっています。このため、政策金利のプラス0.1%からインフレ率を差し引いた実質金利では、日本の金利は、プラス0.1%となります。一方、米国では9月の消費者物価指数がプラス3.9%ですから、政策金利0.1%からこれを差し引くと実質金利はマイナス3.8%となり、日本よりもはるかに低い状況となっています。

まして、リーマン・ショック後の日本のインフレ率は最近までずっとマイナスだったのですから、実質金利はずっとプラス。これに対し、米国では2009年末からはインフレ率がプラスに転じているため、実質金利はマイナスが続いています。この様な日米間の実質金利差がドル売り・円買いの一要因と考えることは可能であり、それ故に民主党の一部議員がデフレ脱却を声高に叫んでいる状況です。
今後の日本の実質金利の見通しについても、高止まり観測が強まっています。その要因の一つが、政府の震災復興策との関係です。11月第2週、政府と与野党は震災復興財源を所得税と住民税などの10.5兆円増税で賄うことで合意しました。日本経済にとっては長期的には消費抑制をもたらし、デフレ脱却が遅れるとの見方から実質金利の高止まりを招きます。

日銀は現在、消費者物価指数をプラス1%程度にまで押し上げるとの意向は示していますが、増税路線をしのぐ程の更なる金融緩和政策にでも踏み込まない限り、インフレ率はそう簡単に上昇するとは考えられません。となると、日米両国の実質金利の関係からは、ドル相場が対円で自然に上昇基調に転ずるのはなかなか難しいでしょう。

そして、先に指摘したように欧州や中国なども今後、金融緩和姿勢を強めるわけですから、各国では実質金利が一段と低下する傾向が強まりそうです。そういう意味では日銀に対する緩和要請が益々強まる可能性は高いのですが、日銀の思惑通りに消費者物価がプラス1%程度にまで上がる局面が到来するのはかなり難しそうです。すなわち、日本の実質金利の低下も限定的にならざるをえません。

このため実質金利の面からは現時点では、ドル円、クロス円ともに本格的な上昇局面を期待するのは難しそうです。2011年内は1ドル=75〜80円でのレンジ取引が続き、2012年前半もほぼ同様のレンジでの取引継続か、あるいは欧米の景気動向次第では戦後最安値の更新を再び試す動きが続くと思われます。

特に3月の年度末が近づくと、売り遅れている実需のドル売りが強まる可能性が高く、その場合は一時、70〜72円辺りまでドルが下落する局面が見られるかもしれません。そして、ドルの下値を支えるのが当局のドル買い介入しかない状況も続くでしょう。(了)

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