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『「ハト派の時代」が到来した世界経済(1)』 ― 柳澤浩 氏

2011年11月17日(木)

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■ドラギECB新総裁,予想に反して就任早々の利下げ

 11月1日、ドラギ前イタリア中央銀行総裁が欧州中央銀行(ECB)総裁に就任。そして2日後の同3日、新総裁が率いた最初の金融政策理事会に於いて、ECBは政策金利の0.25%引き下げを決めました。ユーロ圏の10月の消費者物価指数(速報値)が3%に高止まりしていたこともあり、市場は据え置きを予想していましたから、新総裁はトリシェ前総裁に比べてはるかにハト派的な考えをお持ちであると改めて認識しました。

しかし、ECB執行部の顔触れを見てみると、このハト派的な「舵取り」は不思議なものではありません。現執行部の出身国はドラギ総裁がイタリア、コンスタンシオ副総裁はポルトガル、そして専任理事ではビニスマギ氏がイタリア、ゴンザレスパラモ氏がポルトガル、プラット氏がベルギー、シュタルク氏はドイツです。こうして改めて並べてみると、シュタルク氏以外は何と今回のソブリン危機で支援される側の国、もしくは、支援要請の可能性が喧伝されている国の出身者ばかりなのです。

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実は今年の2月までは、タカ派であるウェーバー・ドイツ連銀総裁がトリシェ総裁の後任と見られていたのですが、ウェーバー氏は突然、辞意を表明してしまいました。この頃から、ECB内ではハト派勢力が強まったと見てよいのかもしれません。そして9月になると、シュタルク専任理事も辞任の意向を表明しました。これで、ECBのハト派化が鮮明になったといえるでしょう。

今年末まででシュタルク氏は退任し、その後任にはドイツのアスムセン財務次官が就任します。アスムセン氏は「現実主義者」と見られていますから、ドイツ連銀出身者の様な伝統的な「超タカ派=インフレ・ファイター」になるとは考えられません。そして、ビニスマギ氏の後任はフランスが送り込むことになりますが、現在のソブリン危機の状況に鑑みて同国出身理事でも強烈なインフレ・ファイターになるとは想像できません。

現在、市場は12月にもECBが追加利下げに動くと予想しています。そして来年もソブリン危機の状況を睨みながら、ECBは金利面から景気の下支えを行うとともに、量的緩和策による金融機関の支援や周辺国の国債購入などの支援策も継続すると思われます。場合によっては、欧州金融安定化基金(EFSF)に対するECBの資金貸し付けなど新たな施策が講じられる可能性さえ考えられます。

ECBの金融政策理事会にはユーロ圏各国の中央銀行総裁も理事として参加しますが、最早がちがちのタカ派と呼べるのはワイトマン・ドイツ連銀総裁程度しか思い浮かばない状況ですから、来年のECBはまさに「ハト派の時代」を迎えそうです。

■米FOMCメンバー、来年はタカ派からハト派に入れ替え

 11月1〜2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利であるFF金利誘導水準が0〜0.25%に据え置かれた上、異例の低金利を2013年半ばまで継続することなどが決められました。

こうした施策は市場の予想通りでしたが、米国でも失業率(11月4日発表の10月雇用統計では依然9.0%)の高止まりが続いており、当面、金融緩和環境は変更されそうもありません。デフレ・ファイターとして著名なバーナンキFRB議長にとって実は、来年はハト派的な政策が更に維持しやすい環境となります。それは、FOMCのメンバー入れ替えが行われるからです。

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現在のFOMCメンバーはバーナンキFRB議長、イエレン同副議長、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁のほか、理事3人(デューク、ラスキン、タルーロの各氏)と4人の地区連銀総裁となっています。

このうち地区連銀総裁4人は1年毎の輪番制ですから、来年1月から新メンバーに入れ替わります。問題はそのメンバーの顔触れにあります。今年のメンバーはダラス連銀のフィッシャー総裁、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁、シカゴ連銀のエバンズ総裁です。フィッシャー、プロッサー、コチャラコタの3氏はタカ派であり、8月と9月のFOMCに於いては追加的な金融緩和措置に反対票を投じています。一方、エバンズ氏はハト派であり、11月のFOMCで一段の緩和措置が必要だとして唯一現状維持に反対票を投じていました。

来年、この4氏に代わりFOMCメンバーになるのはリッチモンド連銀のラッカー総裁、アトランタ連銀のロックハート総裁、クリーブランド連銀のピアナルト総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁です。

さて、この4氏の中でタカ派と見なされているのはラッカー総裁だけ。残り3氏はハト派もしくは中間派と見られています。このためバーナンキ議長としては、来年になっても米国の雇用情勢が大きく改善せず、追加的金融緩和措置が必要と判断される際には、いわゆる量的緩和第3弾(=QE3)などの比較的思い切った政策を打ち出しやすくなると思われます。

■英中銀でも「タカ派筆頭」委員が退任

 英国中銀(BOE)も10月の金融政策委員会(MPC)に於いて、資産買い入れ枠を750億ポンドから2、750億ポンドに拡大しました。この決定も市場ではほとんど予想されておらず、発表直後にはポンドが対主要通貨で売りを浴びました。実はBOEでも、今年の6月にMPCメンバーが入れ替わっています。タカ派の筆頭格であったセンタンス委員が退任し、代わって米金融大手ゴールドマン・サックスでエコノミストを務めていたブロードベント氏が就任しています。
センタンス氏は、2010年6月〜2011年1月までのMPCでは0.25%、そして、2011年2月〜退任直前となる5月までのMPCに於いては0.5%の利上げを主張するなど、一貫して現状維持に反対票を投じ続けていました。

センタンス委員の退任に伴い、6月と7月のMPCではウィール、デールの両氏だけが0.25%の利上げを主張。そして8月には、利上げを主張する委員は消えました。そして、10月のMPCでは前述した資産買い入れ枠の増額が決定され、BOEもハト派姿勢を鮮明にし始めたわけです。

キング総裁とビーン副総裁はどちらかといえばハト派的、タッカー副総裁は中間派と見られています。現在、MPCメンバーの中で、タカ派色の強い人はデール委員だけで、ややタカ派的とみられているのがウィール委員です。それ以外ではフィッシャー、ブロードベント両氏が中間派、マイルズ、ポーゼン両氏はハト派と見られており、現在の顔触れではハト派の勢力が強くなっているわけです。(その2へ続く)

>>この続き『「ハト派の時代」が到来した世界経済(2)』へ

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