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『欧州は消火作業に全力を』 ― 加藤隆俊 氏

2011年10月20日(木)

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ギリシャを震源とした財政危機はユーロ最大の危機に発展し、フランス・ベルギー系の大手銀行デクシアが事実上破綻するなど、「第2リーマンショック」の恐れさえ指摘され始めている。果たして、ユーロ危機の根本的な原因はどこにあるのか。また、ユーロが困難を克服して進化を遂げるためには何が必要なのか――。かつて「通貨マフィア」として国際金融界で活躍した国際金融情報センターの加藤隆俊理事長(元大蔵財務官)にインタビューを行い、こうした疑問に答えていただいた。

― まず、ユーロ危機の原因と背景についておうかがいしたいのですが。

ユーロ圏の17カ国は一つの為替レート、一つの金融政策の下で経済を運営していますが、財政の仕組みは各国でそれぞれ違います。ドイツをはじめ健全財政を目指す国がある一方で、ギリシャのように巨額の財政赤字が発生している国もあります。財政の状況がバラバラになってしまったことが、現在の問題の根本的な原因だと考えています。

― ユーロ圏各国はインフレ率もまちまちです。そもそも、統一通貨の導入に問題があったのでしょうか。

当初は一つの通貨の下でユーロ圏内の関税がゼロになれば、(国境を越える)資本や労働力の移動を通じて各国の競争力も段々と均等化すると想定されていました。

ところが、現実にはそうはならなかった。例えば、ドイツは労働組合の賃上げ自粛で大企業の生産性が上がり、ユニット・レーバー・コスト(生産一単位当たりの人件費)はほとんど上がっていません。半面、ギリシャやポルトガルのように賃金は上がるけれど生産性が改善しない国もあります。すなわち、ユーロ圏内で競争力が均等化することはなく、かえって競争力の格差が広がってしまった。そういうことではないでしょうか。

― ギリシャ危機は昨年発生しているのに、欧州の対策が後手後手に回ったように見えますが。

ギリシャに対して支援を講じる国々がそれぞれの国民を説得するのは至難の業であり、時間がかかります。ギリシャの公務員は年金に恵まれていますし、頻繁にストライキも行っています。「ユーロ圏全体のためというが、ギリシャをなぜ支援をしなければいけないのか?」という疑問を支援国の国民が抱いているわけです。

しかしながら例えば、欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡大は17カ国全てが了承したわけですから、1年前から比べると長足の進歩と考えることもできます。ところが、マーケットの反応がそれよりも速いため、どうしても後手後手に回っている感が生じています。

― 欧州はギリシャをユーロの枠内に留められるのか、それとも離脱していく可能性もあるのでしょうか。

これははっきりしています。ギリシャをユーロ圏に留めるために、皆が協力していくということで他の16カ国の政府当局者は一致した認識を持っています。

― そうすると、ギリシャ国債についても欧州はデフォルト(債務不履行)を起こさないということでしょうか。

かつてのアルゼンチンのように一方的に債務を履行しないという事態にならないよう、他の16カ国はギリシャの国債の資金繰りが回るよう協力していくということでしょう。

― 各国が協調してユーロ共同債を発行したらどうかというアイデアも浮上していますが。

常識的に考えれば協定の改定が必要ですし、時間もかかるし相当に難しいでしょう。また、政治的な問題として、ドイツやフランスのように強い国が国民の支持を得るということでも時間がかかるでしょう。ただ、EFSFの機能拡充などではなお不十分ということになれば、将来の可能性としての共同債発行は否定されないようになってきていると思います。

― フランス・ベルギー系の大手銀行デクシアが行き詰まり、財政危機が銀行危機に発展し始めていますが。

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が2011年8月末の時点で欧州金融機関の資本不足に懸念を表明していましたから、銀行が保有する国債の価格下落で資本が不足するケースが出てくると予想していました。ただ、デクシアが破綻に至るまでのスピードには驚きがあります。

― 日本のバブル崩壊後のように、欧州各国は公的資金を銀行に資本注入するのでしょうか。

まずは中東など色々なマーケットから調達するという考えがあると思います。しかし、それでも不足する場合、常識的にはそれぞれの国が公的な資金を注入し、それでもうまくいかなければEFSFからの注入が予想されます。

ただしその点については、ドイツとフランスの間で意見の相違があるように見えます。ドイツはまず当該国の政府で対応することを提唱していますし、フランスはEFSFからの注入を考えているようです。

― 連邦制の米国では、統一通貨ドルの下で豊かな州と貧しい州が共存しています。ユーロもそういう形を目指すべきなのでしょうか。

欧州もそういう風に進んでいかないと、絶えずユーロの安定性についてマーケットから試されるという状況が出てくると思います。

米国の場合、連邦から各州への資金トランスファーがあり、銀行が破綻すれば連邦政府が資本注入するという形になります。メディケア(高齢者・障害者向け公的保険)やメディケイド(低所得層向け医療扶助)は国が運営していますから、州が財政的に破綻してもその州民は債権の補償を受けられます。欧州も当面の消火作業と共に、米国の例も参考にユーロの信認を取り戻すためには何が必要か真剣に検討すべきでしょう。

― 円が対ユーロで非常に強くなり、一時は1ユーロ=100円近くまで上昇しました。対ユーロでは円高が続くと予想されますか。

何とも言えないと思います。ギリシャ支援が軌道に乗るかどうかにかかっています。

日本にとって関心が高い問題は、ユーロの危機に伴って米国やアジア諸国の成長率がどれぐらい減速するかということです。日本は東日本大震災からの復興を抱え、国内市場ではあまり明るい話題がありません。このため、輸出のほか海外へ進出した日本企業の収益が日本経済を支えていく割合が大きくなります。米国やアジアがユーロ危機で大きなショックを受ければ、日本にも大きなマイナスになります。

― 一時、日本でも「アジア版ユーロ」のような統一通貨構想が持ち上がっていましたが。

現実的には難しいと思います。例えば、ユーロ発のショックが起こると円が強くなる一方で、他のアジアの通貨は弱くなります。そういった状況で、お互いの為替価値の共通化を目指していけるのか。大変困難な話になります。

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