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ディーラー烈士伝

「投資のダイナミズムに魅せられて」 ―向坊洋之 氏 [中編]

2011年07月20日(水)

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(前編はこちらから)

■マーケットの変化を捉えてトレード

 GS時代にディーリングで厳守していたことは、1対3の割合でトレードをすることだった。これはオプショングループでいつも言われていたことで、1のリスク(損の可能性)を取って3のリターン(予想利益)を取るようにする。そうすると、3回勝負して負け・負け・勝ちで若干プラスに収まる。このスタイルはどちらかというと、古き良き時代のインベストメントバンクのプロップディーラーがやるような大きなトレードで、30%の確率を狙うことになり、だいたい5割勝ちだったら、十分残っていけることになる。

また多くのトレーダーが、チャートの指標の自己ルールで、ブレイクアウトしたら積極的に乗り、反転したらすぐやめるブレイクアウト手法をとる。10回やって2勝8敗でいい。大きなトレンドに当たって2回大勝ちすれば、あと8回は小さな損で収める。デイトレーダーもしくはスキャルピングならば、毎日多分7勝3敗でいかないと無理だろう。

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昨今の相場では、トレンド自体がそこまで行かない前に戻ってきてしまうので、以前は正しいと言われていた、トレーディングスタイルとそのリスクリターンや勝率の関係が、変化してきているから難しくなっている。前述の1対3にしても、最近はなかなか容易ではなく、3まで到達しない。マーケットのこういった変化を常に感じ取って、自分の手法もそれに応じて変えていくことが必要になるのではないか。チャートの手法もFALSE BREAK(フォルス・ブレイク、ダマシ)が多くなっているのではないか。日々の中でも乗りにくい状況のようだ。

何とはともあれ、トレーディングでは生き残っていくことが最も重要だと信じている。そのための最低限の条件は、とにかく大損しないことに尽きる。大損しなければ、続けられる。全財産をたいてやるような考え方では、いつかゲームオーバーになってしまう。ゲームオーバーにならないために、何とか勝ったり負けたりを繰り返していれば、その間に情報はどんどん入ってくるし、マーケットのテーマが何処なのかを常に感じることになる。勝っていても負けていようともである。この感覚が大切なのである。

■トレードの基本の考え方と投資のリスクリターン分析

 FXで10万円儲かったとして、この10万円使ってしまうと、マージンが元に戻るわけなので、そこから負けたら今度はマイナスになってしまう。(確率的にはもう既に一回サイコロを投げてしまっているのに。)投資したお金は、引き出さずに、50%の確率で、勝ち負けでいけるのであれば、トレードをやり続けることによって、儲けるというよりも、情報を常にアップデートすることが大事である。そして、いつかどこかで大きなチャンスが来たときに儲けられる可能性が高い。

逆に、いっぺんゲームから押し出されたならば、もうそこで情報は入ってこなくなり、相場を見なくなってしまう。そこに自分を常に置いていけるようにすることのほうがもっと大事で、自分自身を高めることになる。ひと財産つくってやろうという野心、トレードで飯を食っていく、とかまともではないと思う。それよりも、情報を取りつつ、常にマーケットに対してのアンテナを張って、投資のみならず自分の仕事、能力、総じては人生にも大きなプラスにしていくのが大事なのではないか。

為替のボラティリティはそれほど大きくはない。特に2000年を越えてから、ボラティリティは低下傾向にあり、実際の変動も安定的に推移していない。たぶん平均で10-15%程度であるが、実際の動きは5-20%と不安定なように思う。一方、株は20-30%、コモディティの40-50%で 為替は相対的に低い。世の中で、為替のディーリングで大金持ちになった人は自分が知っている限りではいない。大金持ちは大体、土地、事業(起業)、そしてたまに商品か株で資産を築いたはずだ。そしてこの30年間忘れてならないのは金融デリバティブ長者であろう。特に営業とトレーディング幹部で財を成した人は大勢いる。

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金を稼ぐために、途上国で土地に投資するのも、新技術等を持って起業するのも、ボラティリティーの高い流動性の少ないもので投機するのも、マージンで高いレバレッジでFXをするのも、競馬で稼ごうとするのも、自らのアイデアで起業するのもいいかもしれない。ただリスクは何か、そしてそれに見合う収益性を狙えるのかを問うのが、正しい投資判断のプロセスだと思う。

03年からAktis Capital Advisory (アクティス キャピタル アドバイザリー)という香港のファミリーオフィスで、資金を、グローバルマクロやクラブディールとして様々な投資に関わってきた。香港の不動産、中国の製薬会社、フィリピンの高速道路、重慶でのホテルの運営、金融子会社、不動産開発、そして現在中国中西部ファンドを立ち上げた。また重慶政府とRMB ツーリズムファンドの認可を取ったばかりだ。

自分の場合は、キャッシュフローが狙える事業のプロジェクトで、年率25〜35%の利益を生み出せるのであれば、トレードだけで、現在のように5〜15%の利益(昔はもっと高いが)を狙うよりも、投資期間とリスクの査定という問題はあるにしても、はるかにおもしろいと考えるようになった。決してトレーディングを軽んじているのでない。分散を追及していくと、やはり、実業がポートフォリオに入ってくることになるという考え方だ。

グローバルマクロは、現在、僕を入れて3人のトレーダーで行っているが、マルチストラテジーファンドにプロスペクタス(目論見書)を変えて、アジアでの投資機会に資金を向けていくつもりだ。途上国の金利も上がってきているし、途上国のクレジットは先進国並みになりつつある。成長性もやはり途上国が断然高い。マクロでは途上国にまだまだ投資機会やビジネス機会があるのは明らかだ。一部の資金を株かメザニンで運用するのが、正しいと考えている。

■中国重慶市のプロジェクトに注力中

 重慶は、たぶん最後の直轄都市として、中西部経済開発の中心と位置づけられている。先に述べた中西部ファンドでは当然ながら、金融事業と不動産開発に重きをおく。同時に重慶市の旅行局も出資する形でRMB ツーリズムファンドをスタートする。私は、日本企業をパートナーとして、JV等でキャッシュフロービジネスの展開を進めている。不動産投資というリスクを取らないで、ソフト面のキャッシュフローのビジネスの一つであるホスピタリティ案件を担当している。

北京市、上海市、天津市を含めた4直轄都市の中で最も開発が遅れている重慶市では、日本企業のブランドは知られているが、未だ存在が非常に低い。中国市場でそういった日本のブランドを組み込んで、中国人相手のビジネスをするというのが同プロジェクトのコンセプトだ。

当方は投資資金と中国国内でのパートナーの協力を提供し、日本のソフトブランドには、その技術経験を生かしてもらうオペレーターとして参加してもらう形だ。そこで必要不可欠となるのがアクティスのプロジェクト管理者としての役割である。そしてそのためには、語学が大変重要な役割を果たす。中国語がしゃべれて、英語がしゃべれて、日本語がしゃべれることが当グループの価値となる。今では、日本人、上海人、英国人、香港人の4人のスタッフでプロジェクトを進めている。

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アジアにおいて、これからの5〜10年間に成長が見込めるのは重慶のような中国中西部である。中国での最後の重点投資地区である事は間違いがない。しばらくメインの投資先となり、その後、その他アジア諸国、インド、ロシアになっていくのだと予想している。

アクティスグループのCEOはGS時代のボスである。もう25年ほどの付き合いである。のりしろが厚い中国中西部では、政府の案件を手がける事がまず中心となる。また、差別化のできる、国内需要の急速な増加の見込める分野で、キャッシュフローのビジネスをすればいいというのが彼と私の共通の認識だ。それがひいては、RMBツーリズムファンドにつながっている。

(後編に続く)

*2011年06月06日の取材に基づいて記事を構成
 (取材/文:香澄ケイト)

【前編】通貨オプションの全盛期を経て
【中編】グローバルファンドからマルチストラテジーファンドへ
【後編】自分の世界観でビジネスがおもしろい

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>>「The FxACE(ザ・フェイス)」インタビューラインアップへ





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TheFxACE(ザ・フェイス)企画チーム / TheFxACE

為替ディーラーのご経歴を持つ方々に、ご自身の生き様や相場に対する考え方などをお伺いしていきます。

[取材/文]
香澄ケイト(かすみ・けいと)/外為ジャーナリスト

米国カリフォルニア州の大学、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国後、外資系証券会社で日本株/アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事。退職後、株の世界から一転して為替証拠金取引に関する活動を開始し、為替サイトなどでの執筆の他にラジオ日経への出演およびセミナー等の講師も努める。

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