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FXダイアリー

どっちが先か、業者のレートとインターバンクのレート

2011年01月17日(月)

 前回触れたように、NFAに限らず規制当局は一般に業者の約定に使うレートの妥当性をインターバンクに求め、その具体的な証拠としてブルームバーグやロイター、EBSなどを利用することが多いようであるが、ここで私が懸念する点について話をしたい。


まず、確認するが、インターバンク取引では、各通貨の取引は、一般に対米ドルの通貨ペアの取引に収斂されがちである。つまり、ポンド円とか豪ドル円としての取引はあまりしない。それらは対ドル通貨ペアに分解され、ポンド/米ドル+米/ドル円、豪ドル/米ドル+米ドル/円としてインターバンクに出てくる。したがって、EBSなどを参照しても、マイナークロスとしての気配というのは出てこないか、出てきてもワイドなスプレッドでしか見たことがない。南ア/円とかにいたっては“存在しない”とすら言える。

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次に、インターバンクに参加する銀行は、そうしたインターバンク同士での取引に使うレートとFX業者に配信するレートでは違う質のレートを出すことがある。上記のとおり、インターバンク上では普段取引されないマイナー通貨も配信するため、FX業者向けには独自のアルゴリズムを必要とするし、取引最低額がインターバンク百万に対して業者向けは一万や、千単位に細かくなるし、各業者に対するクレジットレベル(付き合うコスト)も影響する。また、インターバンク同士では“タヌキの化かし合い”のようなことが起きるが、業者に対してはある程度の取引高(実績)が期待できるので、特定の業者にたいして自分の銀行の占有率が高いか低いかもレートの質に影響を与える可能性は排除できない。これらは各銀行の独自の判断で行われる。

さらに、これが今回一番強調したい点であるが、業者に入ってくる流動性の規模の問題である。最近は個人レベルであっても大きな資本を準備してすさまじい取引額を生み出す投資家がいる。いろいろ調べると、一日でポンド円などを1万本やる顧客もいるそうである。そんなことはインターバンクでは起こり得ない!ということがリテールFX業界では起きているのである。そうなると、『相場が最初に動くのは常にインターバンクである』という前提は成り立たないということである。言いかえると、『リテールの方が相場の動きをリードする』ことがあってもそれは自然なことであったというケースが生まれうるということである。

インターバンクでは、ビッドを出している銀行Aが何度も何度もたたかれると、だんだんそのビッドを下げ始める。そういう動きが連鎖して相場は動くし、取り組みがなくても突然入る重大ニュースの影響度を推し量り、未来を予測して、このニュースを聞いたら沢山の人が売りだすに違いないという判断から、プライスをガクンと下(左)にずらすというような判断がなされる。昔はこれをディーラーの経験値から来る判断で行っていたが最近はある程度アルゴリズムを入れているようである。これと同じことが、リテールFX業者の独自判断でなされることは店頭取引という性格上、「あり」である。例を出そう。

今、インターバンクのドル円が82.50−52ぐらいであったときに、業者Aにおいて、一人の顧客が、ひたすらドル円を売りだしたとする。この業者Aは最初82.50で買値を出していたが、毎回3百万ドルを5回売られた(買わされた)。これで計15百万ドル。あまりに何度も売ってくるので、ビッドを82.48に下げた。このレートは他の顧客にも同様に反映する。業者AはDIモデルなので、まだこの客から買った15百万ドルをCPでカバーしていない。つまり、インターバンクはこの事実を“知らない”。そしてまた、この客は執拗に売り続けて、合計一億ドル(100本)売ってきた。業者Aは82.50から最後は82.40で受けている。この時、インターバンクのレートはまだ、82.50−52である。インターバンクはまだ業者の一つが100本分の売り圧力を抱えている事実を知らないのである。ここで初めて、業者Aは100本をCPに対して売りヘッジした。パターン1として、3〜5本ずつこっそり売り始めると、インターバンクの水準に影響があまりでない。パターン2として、100本を数回で単一CPに対して売り浴びせたとすると、そのCPが今度はインターバンクで売り出したため、一時的にEBSのレートが82.43−46まで下がった。

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つまり、業者と個人の間で行われる巨額な取引もインターバンクサイドに流れ込まない限りインターバンクサイドにはその影響が出ないということである。しかし業者の立場としては本来なら、その客から受けたポジションをインターバンクに流したときにどういう影響がでるかを見越して顧客にレートを「作らねば」ならない。DIモデルあればそういうことである。そんなことが起きるのか?というのが今までだったかもしれないが、いろいろ調べると、いまや個人投資家も実力をため込んでいる人たちが活躍しており、マイナー通貨においては特にインターバンクにおける流動性よりも、何倍ものそれを生み出しているという事実があるようであり、そうなると上記の私の例も否定はできないぞ、と思うのである。

NDDモデルの場合は、逐一顧客取引がインターバンクに対してヘッジされていくのでそういうギャップは滑らかになるためほとんどずれを意識しないだろうが、DI業者によっては大きくため込むケースもあるだろうからこの流動性ギャップがリテール相場とインターバンク相場の乖離(リテールが先行するということ!)を生み出すことは“あり”と考えるべきであるといのが私の主張である。

特に、日本においては上位10社のほぼ全部がDIモデルで占められ、その取引高たるや、私の知る限りにおいて「世界一」(※)である。さらにその多くが、適宜ヘッジではなくて、ある程度ため込む式のヘッジをしているとそういうことがより起きやすいが、実際のところ、日本の本業界においては、そうした流動性に応じてインターバンク水準とは独立したプライスのこまめな“適正なる”(健全な、理論的な、といろいろな弁護のための修飾語は思いつくが)操作ということをリテール業界のシステムはしないか、できない(そこまで器用にできていない?)ようになっているので、その分のリスクは業者が“抱える”ということになる。

※欧米の方が取引高は多くないかと思うかもしれないが、米国の上位の業者の取引高の半分ぐらいは国外の非居住者から生まれるものであると推定している。欧州ともなるとそもそも「国」としての概念があいまいな気がする。一方日本の場合は、業者みずから国外非居住者を拒否しているところが多く、そのほとんどが国内居住者であるという点を考慮して、日本人による日本の取引高が世界一じゃないか!?と推測する次第である。



Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、米国インテグラル社の日本支店に勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXにかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)がある。。

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