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ディーラー烈士伝

「勝負の世界に魅入られて」 ―野村雅道 氏 [後編]

2011年01月26日(水)

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(中編はこちらから)

■投機参加者のナゾ

 既に述べているように、ディーリングでは、流れに沿うことが大変重要になる。テクニカル指標では、ポイント&フィギュア(以下、P&F)が、流れを捉えることに効力を発揮する。普通、P&Fは○が下で×が上なのだが、だれが決めたのか、東銀NYでは○が上だった。別に○でも△でもかまわない。○のついているときはずっと買っていればいいし、×がついているときはずっと売るというように、素直にトレードすれば利益は生まれやすい。

P&Fとローソク足の2つは現在でも重点的に使用している。P&Fは朝イチでつけないと、落ち着かないくらいだ。昔は、本もないから、自分でずっとP&Fとローソク足を研究してきて、その後、本を読むと、あまりにも自分の考え方にそっくりなので、真似されているのではないかと勘違いしてしまいそうだった。

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為替市場では、投機的な取引の方が、貿易取引によりも大きいので、貿易取引で為替を考えても意味がないという人もいるが、実際のところ、1日約4兆ドルの出来高があるといわれる為替取引の、7割方がスワップであって、純粋に為替を売ったり買ったりするのは3割程度にしか満たない。このことは日銀の資料でも公表されている。この3割は輸出入と機関投資家が大半だ。為替取引の出来高の二重計上から、出来高がかさ上げされてしまい、実際に行われている貿易為替の出来高のギャップが、ヘッジファンドのような投機筋の仕業にされているのである。

実際、私が、名だたるヘッジファンドを取引先とするヘッジファンドの専門銀行、リパブリックナショナルバンクでディーラーをしていたときに、彼らがデイトレーダーのように頻繁に取引することはなかった。損切りもきっちり行い、長期的なスタンスのヘッジファンドが大半である。投機筋は、ただ、そのときどきのセンチメントでやってきて、売ったり買ったりするわけで、ほとんど需給には関係しない。基本的に、日本の個人が考えていることとヘッジファンドが考えていることとは同じだと考えてよいと思う。

大きな銀行は需給がつかめるとしても、私も含めて、個人投資家の方の場合は需給がつかみづらい。そこで自分が利用しているのは、外為どっとコムの「ポジション比率情報」(実際の顧客の売り買いの比率)だ。これが結構ワークすると思っている。

■需給をつかむために −「ID為替」

 為替市場における投機は少ないことから、為替は需給の動きを捉えることが非常に重要になる。特に東京市場は、需給による動きが顕著なので、こういった実需の動き、つまり「パターン」というものが明確に表れる。例えば、11月は、あまりドル下がらないで戻す。なぜかというと、11月は、海外の年度末なのでドルの買い戻しとユーロの買い戻しをするからだ。

日本人は、11月はほとんど何もしない。何にもしないと、円売りになる。輸出業者は、4月からドルを売ってしまっている。そうすると、11月はあまり売りたくない。11月頃は自動車会社などは、既に輸出予約を取っているので、あまり売ったりしない。そうすると、晩秋はドルが下がらないことになる。輸出業者はとにかくドルを早く売っておかないともっと円高になってしまうトラウマを常に持っている。

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逆に、輸入業者は、ずっと円高トレンドなのでドルを少し遅目に買ったり、コンスタントに買っていったほうがいいという傾向になる。週ごとや五十日(ゴトビ)など曜日によってもおおよそのパターンが決まっているから、輸入業者がドルを買いやすい時間帯にドルを売り向かうようなことは避けた方が無難だと判断することができるようになる。こうした基本的な需給を知識として持っているかいないかで、結果は大きく異なってくる。

私は、過去の需給動向と値動きなどのデータをきちんと分析したうえで、確実性の高いポジションを張る方法を「ID為替」と称している。「ID為替」は、初めて、科学的なデータに基づく確率論をプロ野球に取り入れた、野村監督の「ID野球」(ID:Import Data)に、ちなんでいる。

野村監督は相手選手の心理を読む能力にも長けていた。野球のだまし合いのような心理作戦は為替にも活かされる。例えば、皆退社したくてイライラしている。このときにドルを売っているとする。でも下がらない。そういうとき、バーッとドルを100本ほど買うとどんどん上がっていってしまうのである。

■個人トレーダーへの転身

 新たなる可能性を求めて、東銀を退職してから、ファーストシカゴ、セキュリティパシフィック、スイス銀行、リパブリックナショナルバンクとどこもやりがいのある職場で、様々な人と大変有意義に仕事させてもらってきたが、2002年パリバでの外国為替部長を最後に、銀行ディーラーを引退した。

辞めようと考えた背景にはFXの存在があげられる。FX の手数料が10銭(当時)と聞いて驚いた。しかも、ほとんど過不足ない情報が入手できることもわかった。であれば、銀行のディーリング・ルームにいるのとほぼ同じ環境でトレードすることができる。こうして私は、個人トレーダーとしての道を歩むことになった。

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東銀NYで、偶然にも若林さんに為替に引き込まれ、外銀の為替ディーラーとしてなんとかやってこられたのも、そして現在個人トレーダーでいられるのも、東銀で育ててもらったからである。為替が私に与えてくれたもの、それは首尾一貫して自立であった。為替とそれを巡る人たちに改めて感謝の意を表したい。

為替から受けた恩に報いるためにも、私は、自分の得てきた経験から、個人投資家の方には、既に述べたような為替の本質をつかんでいただけるよう、そのお手伝いをさせてもらって、FXをやるからには、皆さんに勝っていただきたいと思っている。

まだ、勝負の世界にいる私は、野村監督の「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を常に心に刻み込んでいる。勝ちは偶然にもたらされることもあるが、負けるときには常に原因がある。勝ちを謙虚に受け止め、負けたときはきちんと原因を分析しようする。勝負に勝つために、怠ってはならないのは、やはり普段の練習(勉強)なのである。

(全編終了)

*2010年11月20日の取材に基づいて記事を構成
 (取材/文:香澄ケイト)

【前編】野球の経験、為替で活きる
【中編】自分が相場というプライド
【後編】相場の本質を知って勝つ

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>>「The FxACE(ザ・フェイス)」インタビューラインアップへ





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プロフィール

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TheFxACE(ザ・フェイス)企画チーム / TheFxACE

為替ディーラーのご経歴を持つ方々に、ご自身の生き様や相場に対する考え方などをお伺いしていきます。

[取材/文]
香澄ケイト(かすみ・けいと)/外為ジャーナリスト

米国カリフォルニア州の大学、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国後、外資系証券会社で日本株/アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事。退職後、株の世界から一転して為替証拠金取引に関する活動を開始し、為替サイトなどでの執筆の他にラジオ日経への出演およびセミナー等の講師も努める。

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