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日本振興銀行の経営破たんについて思う事〜FX業界に期待

2010年09月29日(水)

開業後6年余りで経営破たん

 平成22年9月10日付けの夕刊各紙は、「中小企業向け融資に特化した日本振興銀行が、多額の債務超過に陥ったため、9月10日朝、金融庁に経営破たんを申し出た」事を報じている。6月末時点の負債超過額は1870億円と言う。同行の開業は平成16年4月。開業後僅か6年余りの経営破たんである。

銀行に長年勤務した筆者には信じられない事である。銀行に入社して直ぐに受けた新入社員教育で、銀行の社会的な役割について徹底的に教えられた事を思い出す。

銀行の社会的な役割

 銀行は、個人が将来の出費に備えて蓄えている大切なお金を預金として預かり、円滑な生産活動をするために必要とするお金を企業に融資すると言う社会的な役割がある。お預かりした預金は全額預金者にお返しする事は当然の事。安易にお金を貸し出して不良債権を作り預金者にご迷惑をかける事は銀行員として最もしてはならぬ事。この事を銀行員として決して忘れる事が無いように!

銀行は企業にお金を貸し出す場合は、過去3年間の決算書類の提出を求め、さらに将来の事業計画について詳細な説明を求めるのは、貸し出し先に対して十分な信用調査をするからである。一方、個人からお金を預かる場合は、個人に対して銀行の決算書類を提出したり、将来の事業計画を説明したりしない。

銀行の社会的な役割を自覚して銀行営業をしていれば、不用意な不良債権を作り、預金者に迷惑をかけることはありえないからである。そして、預金者は当然の事として銀行は健全な銀行営業をしているものと信じているからである。

「ペイオフ」初めての発動

 そもそも銀行業務は地道にやっていれば確実に儲かる業務である。個人からお預かりした預金金利と企業に貸し出す貸出金利との金利差が銀行収益源である。銀行は、行員が働いていない土曜日や日曜日でも金利差分の収益を稼ぐことが出来る業種である。 無理な貸し出しをして多額な不良債権を作ることが無ければ、決して経営破たんすることは無い。

日本振興銀行も設立当初は、銀行の貸し渋り政策により資金繰りに苦しんでいる優良な中小企業へ融資すると言う社会的な役割を担い、その役割を果たすことを使命として営業開始したに違いない。しかし、いつの間にか、同行は、銀行の社会的な役割を忘れ、経営目標が儲け主義に変り、無理な貸出金額の数字作りになったのではないだろうか? その結果、不良債権額が増大し、経営破たんに至ったのではないかと思料する。

同行にお金を預けた預金者には、初めてペイオフが適用され、元本1千万円とその利子を限度額として払い戻されるが、1千万円超のお金を預けた者は、1千万円を超える金額とその利息についてはその一部が戻らない可能性が大きい。1千万円を超える預金者に多大なる迷惑をかけることになる。同行からお金を借りている優良な企業にも多大な迷惑をかけている。同行の経営者は、銀行の社会的な役割をどう考えていたのだろうか?

貿易実務セミナーで良くある相談

 最近のドル/円相場は、一時82円台を付け1995年以来の円高水準にある。
貿易実務セミナーで、輸出業者から「円高対応」について相談があるのは分かるが、円高にも関わらす輸入業者からも質問が多い。その殆どが、リーマンショック以前に銀行から勧められて締結した「同一相場長期輸入為替予約」についてである。

リーマンショック以前に締結した長期輸入予約で、その内容は、長期間(例えば、5年間)毎月一定金額(例えば、100万ドル)を1ドル当り110円前後で買うと言う予約である。

この種の長期輸入予約は、毎月100万ドルの予約であるが、合計額では、100万ドル×12ヶ月×5年間=6千万ドルになる。この6千万ドルに対する収益(1ドル当り1円の収益とすれば、6千万円の収益)が、締結した決算期に計上される。銀行では当期の収益目標達成のためこの種の予約締結するのが手っ取り早いと言う理由がある。決して、輸入業者のために有効な相場変動リスクヘッジを勧めるのでは無い。この輸入予約で発生した為替差損は、輸入業者の自己責任であって、勧めた銀行ではないい。当然、銀行に相談しても相談には乗ってくれない。この種の質問が貿易実務セミナーで多い理由である。

FX業界に期待

 戦後のドル円相場の歴史を見ると、上記のような長期間輸入予約が上手く機能した事は無い。何故なら、円安が5年以上続いた期間は皆無だからである。

筆者は、「FX取引が、手軽に貿易業者の為替相場変動リスクヘッジに有効活用できる」と信じている。

従来、外国為替は銀行の専門的な業務と一般的に思われていたので、貿易業者で外国為替取引に詳しい者は極めて少数である。率直に言うと、貿易実務セミナーでいつも感じる事であるが、貿易業者が為替取引の知識に乏しいため、外国為替取引はその殆どが「銀行主導」で行われているのが実情である。

一方FX取引業界には優れた個人投資家が多い。彼ははFX取引の基礎知識を十二分に持ち合わせている。業界が、個人投資家に一からFX取引を教育した結果である。しかし、貿易業者の間にFX取引の認知度は殆ど無いと言っても言いすぎではない。FX業界が本腰を入れて貿易業者にFX取引の活用を提案/教育し、実需為替の取引拡大に取り組む事を期待する。




Posted by 佐藤利光

プロフィール

佐藤利光

ジェトロ認定貿易アドバイザー / 佐藤利光

日本信託銀行(現三菱信託銀行)で外国為替業務に20年間、資金運用業務に10年間従事。固定相場時代から外国為替ディーラーを勤める。変動相場制移行のきっかけとなったニクソンショックの数少ない経験者。経営者向けセミナーや社内研修などの講師経験豊富。外国為替取引会社代表取締役を経て、平成15年4月1日より国際投資アドバイザーとして独立。ジェトロ認定貿易アドバイザー。

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