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為替今昔物語

見えないリスク(ドルブル外貨定期預金)

2003年09月24日(水)

■ドルブル外貨定期預金

 この連載記事を見たといってあるご婦人から外国為替について聞きたいという電話を受けた。後日会社へきていただき話を聞いた。

彼女は未亡人で、ご主人が残してくれた退職金で生活しているという。退職金を銀行預金に預けていてもいくらにもならず、退職金を取り崩して生活費に当てていた。

あるとき、銀行員から「1ヶ月で7%の利息がつく外貨定期預金があるので、どうか。」と勧められたので、少しでも高い金利がつく預金がないかと思っていたのでその外貨預金をしたとの事。その外貨預金は普通の外貨預金と違って、約束事があるという。その約束事とは、1ヵ月後の満期日2営業日前(以降単に満期日と記載する)の為替相場(銀行公示仲値)が預入時の為替相場よりも円安であれば、金利7%と預け入れた円金額が戻ってくる。しかし、円高になると7%の金利はつくが、元利とも外貨で戻ってくるということである。ここまで聞いてこれはドル外貨預金にドル・円オプションを組み合わせた「ドルブル外貨預金」であることが分った。あとで詳しく説明するが、「ドルブル外貨定期預金」で上手くいくケースは少ない。1ヶ月間7%という金利を受取る代償として無限大の為替変動リスクを負うからである。

■高金利運用のつもりが金利0.1%

 さらに彼女の話が続く。最初の2回ほどは満期日の相場が円安だったので、1,000万円がそのまま戻ってきたが、3回目にした外貨預金が満期日に円高になったので、外貨で戻ってきた。円に交換するといままで貰った金利以上の金額の損失が生じるので、外貨定期預金にした。その金利は0.1%。外貨預金であれば高金利がつくと思っていたが、期待外れ。おまけに預金期間中に円安になっても円に交換ができない。実に不便で収益チャンスが少ない。聞いてみると外貨普通預金の金利も同じ0.1%。それであれば円安になればいつでも円に交換できる外貨普通預金の方が有利。満期日がきたら外貨普通預金にしようと思うけれど、どう思うか?

■手数料が安い為替取引へ

 さらに話は続く。外国為替証拠金取引についても勉強した。外貨普通預金をするのであれば、手数料が安く、1日24時間いつでも決済が出来る外国為替取引の方が有利と思うがどうか?彼女が出した結論に筆者が否とする理由はない。ただし、一言だけ付け加えた。「そもそも資金運用で絶対儲かるという商品は無い。従って、投資資金は、例えその全てが無くなっても生活に破綻をきたすような金額を投資しないことが肝心。元本保証でない金融商品に投資する金額として1000万円が妥当であるかもう一度検討するひつようがある。」高齢のご婦人が、将来の生活を考えて少しでも有利に資金運用を真剣に考える時代。それだけに、元本保証でない金融商品に投資する場合は、その商品の仕組みを正しく理解することが必要だ。もっとも、それ以上にリスク商品を販売する金融機関が十分な説明をする義務があろう。

■特約付外貨定期預金の本質

 彼女が勧められてした外貨預金はUFJ銀行が取扱っている特約付外貨定期預金「ビッグショット」である。この商品の本質はドル・円でドルを売る権利(プットオプションという)を顧客が売り、銀行が買うというオプション取引である。1ヵ月後相場が円高になれば銀行は顧客に当初の相場でドルを売る権利を行使することになるので、顧客は銀行からドルを買うことになる。このことが、当初の説明で、満期日の2営業日前の相場が円高になると外貨で戻るという説明になっている。即ち、顧客は、満期日に例えどんなに円安になろうとも、金利7%(=1ドルに付き68銭)を受取るだけで、それ以上の為替変動相場メリットは享受出来ない。一方、顧客は満期日に円高になればその変動幅の全てのリスクを負うことになる。

■見えないリスクにご注意

 ご婦人に「この外貨預金の本質はオプション取引ですよ。」といって上記のような説明をした。さらにオプション取引であれば、コールオプション(ドル円を買う権利)を買っていれば、為替の円安メリットは全て享受でき、円高の損失はオプション料のみに限定される。最もこの場合は68銭の支払ですむわけは無い。多分、2円30銭かそれ以上の手数料を支払わなくてはならない。その差額が銀行のオプション収益なのである。

ここまで説明したとき、彼女は、「そうと知っていたらこの外貨預金はしなかったでしょうね。」と感想を述べた。当初、彼女は7%程度の高金利を二回得たが、これは1ドルにつき1円40銭程度である。そこでこの特約付外貨預金を継続しなければ、有利な資金運用となる筈であるが、大多数の投資家がそこでまた継続してしまうのである。これは「いままで上手くいったから、今度も大丈夫であろうという。」投資家心理のなせる業である。
 
冒頭に「ドルブル外貨預金は上手くいくケースが少ない。」と書いたのは、この商品は為替変動に伴い生ずる収益が限定的で、リスクが無限大という性質があるからである。金融の自由化により、ディリバティブを組み合わせた多種多様な商品が誕生している。このように見えないリスクが存在している商品も多いので、十分気をつけていただきたい。




Posted by 佐藤利光

プロフィール

佐藤利光

ジェトロ認定貿易アドバイザー / 佐藤利光

日本信託銀行(現三菱信託銀行)で外国為替業務に20年間、資金運用業務に10年間従事。固定相場時代から外国為替ディーラーを勤める。変動相場制移行のきっかけとなったニクソンショックの数少ない経験者。経営者向けセミナーや社内研修などの講師経験豊富。外国為替取引会社代表取締役を経て、平成15年4月1日より国際投資アドバイザーとして独立。ジェトロ認定貿易アドバイザー。

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