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多極化する金融世界

レバレッジ規制の影響とそれぞれの思惑

2010年06月17日(木)

 レバレッジ規制の実施も“いよいよ”になってきたところで、取引会社各社に動きが出てきた。金融庁から同規制の発表があった当時は騒然としたものだが、今年に入ってからは落ち着いたようにも見えるが果たしてどのような影響があるのか。取引会社、取引所等の思惑を織り交ぜながら私見を述べたいと思う。

■レバレッジ規制の影響

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 実際に規制されてみないと何とも言えないのが“レバレッジ規制の影響”だが、これまでの流れから以下のような考えに辿りつく。

◎取引高の減少
◎ユーザーの海外流出
◎M&Aを含めた業界再編

▼取引高の減少
これは確実に起こることであるが、取引会社各社によってはその影響度合が異なる。レバレッジを大きく設定しているところであればあるほどその影響は大きいと言えよう。規制後、ユーザーは取引量を少なくするか、ある程度の入金を迫られるワケだが、FX自体をやめるユーザーも出てくるだろう。そうしたユーザーを囲い込むべく1000単位で取引できるサービスを開始する取引会社も増えてきているが、私個人としては大して収益性のないサービスを手掛けるのもいかがなものかと思っている。そういった資力のないユーザーはもともと投資をするものではないと考えているからだ。取引会社の収益性についての議論もあるかと思うが、これも取引会社各社によって異なってくると思われる。この場で多くを語ることはできないが純粋にカバー取引している取引会社にとってはむしろ改善されるのかもしれない。

▼ユーザーの海外流出
一年前はこれを懸念する方もいたと思う。確かに海外の取引会社を案内するアフィリエイトは増えたが、それはごくごく一部に限られると思われる。その理由は至って簡単で、海外の取引会社には国内ほどの低スプレッドで提供している(さらに原則固定で)ところはなく、また入出金においてはかなりのコストを要するからだ。投資家保護においても国内のような過保護になっているワケでもない。アパートやマンションの引越しでもそうだが、少なくとも現状と同等か、多少のプラスがないと決断はしにくいものである。そう考えるとレバレッジは大きいけど、得体の知れない取引会社で、入出金でトランザクション毎にコストが数千円かかるのであれば、スプレッドが多少ナローであっても考えものではないだろうか。繰り返しになるが私はそう思っている。

▼M&Aを含めた業界再編
FXの取引会社は現在100社ほどある。大なり小なりあると思うが、レバレッジ規制後はM&Aを含めた業界再編があってもおかしくないと思う。まぁM&A的な動きはさほど活発にはならないと思うが、今まで店頭FXを専業として行ってきたところが取引所FXや証券取引を開始するといった動きはそこそこあると思う。そうなるとそれなりの資産があったり、システム開発力を有している取引会社が優位になるワケだが、ことシステム開発については畑を耕していた関係上、個人的にすごく注目している。

■取引会社、取引所・・・それぞれの思惑

 次は取引会社、取引所等それぞれの思惑について書いていきたい。これは某所で聞く噂レベルと個人的な関心でしかないので真偽は定かではない。インターネットによる取引会社各社の動きも含めてとなるが、彼らは彼らなりの考えと思惑で動いているのだろう(傍で見ていると理解に苦しむのだが・・・)

▼取引所の思惑・・・
“レバレッジ規制後は店頭FXの取引高の全ては取引所FXの取引高になる”
いきなりズレていると思われるが、つまりはこういうことなのだろう。レバレッジが規制されれば店頭FXと取引所FXのスペックは横並びとなり、税制面や信頼性で有利となる取引所FXにユーザーが集まる、といった思惑である。確かに取引所FXは伸びているように見えるが、実際はキャンペーン手数料による一時的なものでしかないと私は思う。1枚あたりのコストはどう安く見積もっても50〜60円である。採算性を考慮するならばユーザーに提示できる手数料は1枚あたり100円前後が妥当だろう。それなのに1枚あたり50円以下で提示している取引会社が(キャンペーンとはいえ)少なくない。彼らがそうする理由については後述するが、そうした流れから“これからは取引所FXだ!”と言うのも微妙だと思う。ユーザー視点で言えば店頭FXほど短期売買に向いているものはない。取引所がいくら税制優遇を謳ったとしても、短期売買を主とするユーザーは取引所FXには行かないだろう。それは繰り返し行う売買の手数料が支払う税金よりも多くなってしまうからで、売買回数が多ければ多いほど店頭FXのほうが有利になる。売買回数の少ないスワップ狙いのユーザーだったら取引所FXのほうが向いていると言えるが、トランザクションを生業とする取引所にとってはあまり収益には結びつかない。上述のような思惑が事実であるならば、未だにこのズレを(取引所は)理解できていないのだろうと私は思う。

▼大手証券会社の思惑・・・
“レバレッジ規制後は店頭FXを中心とした取引会社のユーザーは全て難民となる”

今年に入ってから、大手証券会社のFXに対する姿勢が変わった。単純にレバレッジ規制後はFXを中心とした取引会社の大半は経営難となることを想定し、その受け皿として名乗り出たようなものである。自社の信頼性を打ち出すことでこれらのユーザーを囲い込むのが狙いだが、店頭FXではスプレッド、取引所FXでは手数料と採算を度外視したキャンペーンや広告展開をしているのが現状であろう。こうした動きは規制後しばらく続くと思われるがビジネスにならなければまた元に戻る可能性が高い。そうした意味では彼らも取引所と同様、どこかズレているのではないかと思う。

▼FX取引会社の思惑・・・
“レバレッジ規制後、取引高減少は否めない。収益性確保に努める必要がある”
ちゃんとしたところでは共通の思惑だと思う。もっとも“確保”という部分においては各社によって考え方が異なるので、この動きを見るのは非常に興味深いところではないだろうか。今回の規制での対応として思いつく限りでは以下のことが挙げられる。

(1)取引単位を10000単位→1000単位に縮小する
(2)法人口座対応
(3)他商品への参入(取引所FX、証券への参入)
(4)従来のサービスの枠組みを超えた付加価値の提供
(5)BtoBビジネスの展開

取引会社各社の対応状況を見てみると、@Aが多く、次いでBCとなっている。Dを展開しているところも1、2社見受けられるが、どの対応もスタートするまでにそれなりの時間とコストをかけているので、その対応の成否はあると思うが、規制後を見据えている点から全うにビジネスをやっていくのだろうと窺い知ることができる。逆に言えば、FXに対して一番密接に関わっているのだから、規制に対して一番冷静に考えているとも言える。これまでのFXにおけるビジネスモデルは低スプレッド・高レバレッジによる薄利多売を主としてきたが、これに代わるビジネスモデルが必要(正確には低スプレッド・中レバレッジ+「α」のビジネスモデル)だということを正しく認識している取引会社が生き残ると思う。

そう考えるとレバレッジ規制はそういた業界の姿勢、動きを見るに十分な契機となるのは確かであり、業界やユーザーにとって必ずしもデメリットばかりではないと私は考えている。今までFX業界は必要以上のコスト競争をし過ぎてきた。その歪みとして低スプレッド・高レバレッジのビジネスモデルが成立し、その歯止めが利かない市場になってしまった。レバレッジ規制は確かにユーザービリティという面ではマイナスになってしまうが、“歯止め”という点ではかなり機能する規制である。そういった“歯止め”により、これまでのビジネスモデルを見直し、真にユーザービリティに優れた商品設計及び提供に取り組んでほしいと願っているのは私だけはないと思う。

■規制後、競争はさらに激化する

 レバレッジ規制後、“低スプレッド・高レバレッジのビジネスモデルが破綻することから、低スプレッドでの提供は不可能になる”との見方もあるが私はそうは思わない。むしろ、以前よりも低スプレッドになる可能性が高いと思う。また、それにより見かけのスプレッドよりも不利なレートで約定するケースが増えることを危惧している。店頭FXにおいては提示するスプレッドの他に約定実績を監督官庁指導のもと公表する義務を負うべきだろうと思う。まぁ可能性の範疇なので実際にどうなるかは見てみないと分からないが、この点だけはどうしても気になってしまうものである。




Posted by 葛木茂樹

プロフィール

葛木茂樹

エヴァンジェリスト&コメンテーター / 葛木茂樹

かつては証券会社や情報ベンダーに勤務していたことがあった。それらで培ったノウハウを活かし、フリーのコメンテーターとして日々を過ごしてきたが、現在では某社のエヴァンジェリスト(伝道師)として職務に励んでいるようだ。前職のこともあり、当然ながら金融業界には強い。

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