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南アフリカランド/円の異常相場取引に対する考察〜その三

2010年01月07日(木)

南アフリカランド/円取引の問題発生の原因

 東京金融取引所(TFX)が公表した12月21日付「コメルツ銀行に対する処分について」(PDF)によると、マーケットメイカーが実勢から著しく乖離した相場を提示したため、午前4時59分33秒にマーケットメイカーの買注文50枚が8,415円で約定、10秒後に同じマーケットメイカーの買注文50枚が8,435円で約定したと言う。

FX取引は、「二つの銀行の為替ディーラー同士が直接為替取引をする直取引(ダイレクト取引)の取引手法をベースにした金融商品」である。FX会社と投資家の取引関係は、直取引の取引関係と極めて似ている。その為、FX会社は、出来る限り異例取引が発生しない商品設計をする必要がある。にも関わらず異例取引が発生した場合、筆者は、「FX会社はディーラー間で暗黙的に認識されている紳士協定を考慮した対応をする必要がある」と考えている。

外国為替ディーラーの直取引の紳士協定(ルール)

 銀行間の外国為替取引は、昭和59年に銀行間の直接取引が許可されるまでは、原則として全て為替ブローカー(仲介業者)に売買注文を出して売買取引を約定するブローカー経由取引に限定されていた。

銀行間の直接取引とは、ある銀行のディーラーが他行のディーラーに直接電話して、10百万ドルあるいはそれ以上の為替取引をすることである。ブローカーに注文する金額は5百万ドル単位が最も多い取引単位なので、大口の為替取引をしたいときに直取引が頻繁に利用されていた。

電話を受けたディーラーは、即座に相手に「売相場と買相場を同時に提示」しなければならない。その時の売買スプレッドは「5銭以内」と言う紳士協定(ルール)がある。当時の外国為替相場の変動幅は最近の変動幅よりもはるかに大幅で「5銭のスプレッドは極めて狭いスプレッド」だった。5銭を超えた広いスプレッドを提示するディーラーは、他のディーラーから全く相手にされない厳しいルールである。

他のディーラー(あるいは商社やメーカーなどの大口顧客)から注文を受け、即座に売買相場(2ウエイプライス)を同時に提示するディーラーを特にプライスメイカー(マーケットメイカー)と称していた。為替ディーラーの中でも、大きな為替持高リスクを持たされるプライスメイカーになれるディーラーは少ない。なお、「重要な経済指標が発表される前後の時間帯や取引量が少ない時間帯では直取引を自粛する」と言うルールもある。相場提示を求められても、市場流動性が低い状態では、狭いスプレッドで相場提示が出来ないことをディーラー同士良く知っているからである。

大台違いは「ごめん」あり

 直取引の売買相場は、円以上を省略して「05−10(マルゴイチマル)」と提示される。相場が大きく変動すると、「05」で出来た相場を取引確認する場合「91円05銭」で成立すべき所を「92円05銭で1千万ドル当行の買、御行の売り」と勘違いして確認することがある。その場合、相手は即座に「相場は91円05銭です」と言って訂正する。双方がその場で気が付かないまま電話を切った後で、間違いに気が付いた場合でも、改めて電話して、「先ほどの為替取引は、正しくは91円05銭です」と依頼すれば、正しく訂正されるのも紳士協定の一つである。ディーラー同士では、1円の違いは明らかな間違いであることが明確であるからである。これは、外国為替取引は1対1の相対取引であるからこそ、勘違いのためとは言え、市場からかけ離れた相場で取引を成立させないための紳士協定であると筆者は思っている。

TFXがこのことを考慮していれば、例え、マーケットメイカーが実勢から著しく乖離した相場を提示しても、何らかの方法ででチェックし、顧客にそのまま相場提示をすることも、異常な相場で取引を約定することもなかったに違い無い。




Posted by 佐藤利光

プロフィール

佐藤利光

ジェトロ認定貿易アドバイザー / 佐藤利光

日本信託銀行(現三菱信託銀行)で外国為替業務に20年間、資金運用業務に10年間従事。固定相場時代から外国為替ディーラーを勤める。変動相場制移行のきっかけとなったニクソンショックの数少ない経験者。経営者向けセミナーや社内研修などの講師経験豊富。外国為替取引会社代表取締役を経て、平成15年4月1日より国際投資アドバイザーとして独立。ジェトロ認定貿易アドバイザー。

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