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M2J社の特許に関する私なりの見解

2009年12月01日(火)

 先日、M2J社から興味深いプレスが出されたので、今回は同社の特許に関する見解を自分なりの言葉でまとめてみました。これは私見ですし、私は専門家ではありませんので、内容に誤りがあるかもしれません。その点、予めご了承ください。

 [参考] 特許権侵害に関する差止仮処分命令の申立てについて=マネースクウェア・J(PDF)

■特許とは

 本件に入る前に特許について、要点だけを書きたいと思います(いわば本件の論点となる部分です)
特許は、有用な発明を公開した発明者または特許出願人に対し、その発明を公開したことの代償として、一定期間、その発明を独占的に使用し得る権利(特許権)を国が付与するものとなります。特許権は、無体物である発明に排他的支配権を設定することから、知的財産権の一つとされ、日本の特許法においては、特許制度は,特許権によって発明の保護と利用を図ることにより、発明を奨励し、また産業の発達に寄与することを目的とするとされています(特許法1条)

国から特許権が付与された発明により、発明者または特許出願人は、同様の発明をもってビジネスを行う者からライセンス料を徴収したり、そのビジネスを差し止めしたりすることができます。世間一般的には“取ったもん勝ち”と思われるこの特許ですが、実際には何でもありの万能権利ではありません。

■特許請求の範囲

 特許はその内容に国内・海外において、新規性・進歩性があった場合に認められる権利です。そして、その特許を構成する要件として“特許請求の範囲”があります。特許庁のホームページに特許電子図書館があり、同サイトの初心者向け検索から本件の特許に関する内容を閲覧することができます。その内容の“請求の範囲”が特許請求の範囲となります。本件において、請求項の数は8つということになります。

■権利一体の原則

 権利一体の原則とは、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に記された全ての構成を備えた物または方法のみに限られるとする原則となります。本件の場合において、請求項8つ全てに該当しなければ特許侵害とは言えないことになります。

■本件の発明内容

 それでは本件に入ってお話を進めたいと思います。本件の発明内容の詳細については上記特許電子図書館で検索すれば知ることができるので割愛させていただきます。また、内容が専門用語で書かれていることから、本件では私なりに要約しておりますので、認識に誤りがあるかもしれません。その点、重ねてご了承ください。
※()内は独自の解釈。また、装置をサービスとして位置づけています。

【請求項1】
・顧客にインターネットを介して金融商品を取引できるサービス
・そのサービスには顧客からの注文を受け付ける手段(取引画面)を有する
・そのサービスには顧客から受け付けた注文の情報を(サーバー上で)記録する手段を有する
・そのサービスは顧客から受け付けた注文の約定を(サーバー上で)行う手段を有する
顧客から入力された注文に基づき、同一種類の金融商品を複数の指値注文を生成し、その注文の情報を注文群として(サーバー上で)記録し、かつ(それらの情報に基づき)約定を行う手段を有する

請求項1では基本的なインターネット取引システムのサービスのほか、一つの注文で複数の指値注文を生成し、(注文群として)入力できる手段とその情報に基づき約定を行う手段を記載しております。

【請求項2】
上記の注文に基づき、複数の指値注文を生成する際、それらに第一順位、第二順位と順位を付け、第一順位の注文が約定した場合、第二順位の注文を有効にすることを特徴とする

請求項2では上記複数の指値注文を生成する際の動作について記載しております。

【請求項3】
上記の注文に基づき、複数の指値注文を生成する際、取引数量が一定であること、また、上記の注文に基づき、複数の指値注文を生成する際、値幅が一定であることを特徴とする

請求項3では複数の指値注文を生成する際の取引数量と値幅(指値の設定)が一定であることを記載しております。

【請求項4】
このサービスには一つの注文で複数の指値注文を生成し、発注することができるが、その注文を生成する際のバリデーションとして、最低値幅を記録する手段を有する
複数の指値注文を生成する際、最低値幅を確認し、その値幅が最低値幅よりも狭い場合は注文を受け付けないことを特徴とする

請求項4では注文発注時(あるいは確認時)におけるバリデーションについて記載されております。

【請求項5】
・このサービスには入力された注文の情報に基づき、その注文額と現在の相場価格との差額を記録する手段を有する
・顧客から入力された注文の取消を要求された際、上記により記録された差額情報に基づき適切な処理を行うことを特徴とする

請求項5では注文の取消時におけるバリデーションについて記載されております。約定と同時に取消を受け付けた場合の処理を明確にしていることが分かります。

【請求項6】
上記注文に基づき、複数の指値注文を生成し、発注している場合において、顧客から取消を要求された際、上記注文だけではなく、それらに基づき生成された複数の指値注文も含めて取消処理を行うことを特徴とする

請求項6では注文の取消時に、その注文に基づいて生成された複数の指値注文においても同様に取消処理することを記載しております。

【請求項7】
・金融商品はFXであることを特徴とする請求項1ないし6の何れかが含まれるサービス

請求項7ではサービスの範囲がFXであること。また上記請求項1ないし6の何れかが含まれていることが書かれています。結局のところ、FXの場合においては請求項1が焦点になる、ということになります。

【請求項8】
・顧客に提供するサービスにおいて、請求項1ないし7の何れかを有し、機能を特徴としていること

請求項8では最終的にはFXに限らず、金融商品全般であることを記載しております。

■結論

 M2J社がどこの金融商品取引業者(プレスではFX業者であるA社としていますが)に対して、サービスの差し止めを請求するのかは分かりませんが、仮にまったく同じ内容であれば侵害していると言えます。しかし、そのFX業者であるA社がサーバー上ではなく、クライアントPCで複数の注文を生成した場合。またサーバー上での注文管理を行ううえで、注文群として管理せず、従来どおり個々の注文として管理していた場合は侵害には当たりません(この部分だけで請求項1ないし6が除外される)

本件では“酷似した注文方法”として申し立てを行っているので、逆に言えばFX業者であるA社が上記の特許に侵害していないことを証明すれば、その申し立ては不成立となります。

■特許は無効になることも・・・

 先に書いてあるとおり、特許は万能権利ではありません。いくら国が認めたと言っても国自体がその分野に特化した専門家ではありませんので、手続き上、問題(最低限、提出した資料から新規性・進歩性が認められれば)がなければ特許として認められるケースが多々あります。しかし、その発明が出願日よりも前に世に出ている場合、あるいは新規性・進歩性がなく誰にでも容易に考え得た場合においては、特許そのものが無効になることもあります。海外ではこうした動き(出願された特許のチェック&無効にする動き)が盛んで認められた特許のうち、70〜80%は無効審判によって無効になると言われています。

■M2J社の成行OCOは特許出願中だが・・・

 本コラムを執筆中、同社のHPを見ていたのですが、成行OCOという注文方法においても特許出願中と記載されていました。思いついた方には申し訳ないですが、これは海外では当たり前にサービスしている内容であって(FXCMではマーケットオーダー時にリミットとストップを同時設定することができる)、HPの説明を読んでも操作が同じだったので新規性・進歩性はないと思います。仮に特許として認められたとしても無効になるリスクは大きいので、もしこれを読んでいましたら十分にお気をつけください。

■引用・参考文献

Wikipedia:特許
Wikipedia:特許請求の範囲
マネースクウェア・ジャパン社HP




Posted by 葛木茂樹

プロフィール

葛木茂樹

エヴァンジェリスト&コメンテーター / 葛木茂樹

かつては証券会社や情報ベンダーに勤務していたことがあった。それらで培ったノウハウを活かし、フリーのコメンテーターとして日々を過ごしてきたが、現在では某社のエヴァンジェリスト(伝道師)として職務に励んでいるようだ。前職のこともあり、当然ながら金融業界には強い。

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