為替今昔物語
南アフリカランド/円 大幅下落についての考察
2009年11月06日(金)
円急伸の背景
11月2日付けロイター通信によると、「同日の朝方の取引でドルが一時89.18円まで下落し、2週間半ぶり安値を付けた。また、他の通貨に対しても円が上昇した。この円急伸については、南アフリカランド/円でまとまった売りが活発化したことが、円を幅広く押し上げたとの指摘が複数あった」との事。
さらに、ロイターは、「この日の市場では、「くりっく365」を運営する東京金融先物取引所(TFX)が提示する南アフリカランド/円レートが、市場実勢から大きくかい離したことが話題となった。TFXによると、「くりっく」の南アフリカランド/円は、NY市場の取引直前に当たる日本時間10月31日午前5時前に8.415円まで大きく下落。8.435円で取引を終えた」と伝えている。
南ランドランドが11円台から3円以上も急騰して終了したことが、週明けの2日朝方に円が他の通貨に対しても急騰した背景のようだ。
ロスカット取引執行
南アフリカランドの3割以上の大幅下落で、ロスカット注文が執行されたため、スワップ金利狙いで買い持ちにしていた投資家が大きな損失を被ったことがが問題になっているようだ。他のFX会社では、31日の午前5時までの相場では、このような急反落は起きていないとの事。どうも「くりっく365」だけで起きたようだ。相場が短時間で急反落するには、経済的または政治的な理由があるのが普通だ。3割以上も相場を動かした原因は何だろうか?
市場レートとは何?
南アフリカランド/円の急落に対して、TFXはHPで次のように説明している。
▼10月30日付の南アフリカランド/日本円取引について
「10月30日付けの南アフリカランド/日本円取引において、取引終了間際の4時59分についた値段は、その時点において、市場マーケットメイカーが提示した市場レートであり、システム障害等によるものではありません」
市場レートとは、一般的に、銀行間市場で取引される市場のことを言う。もし、4時59分の銀行間市場レートが8円台であれば、当然、他のFX会社でも同様に8円台の相場を提示し、ロスカット注文が執行されているのが市場の常識。しかし、他社にはそのような問題は生じていないと言う。
という事は、TFXの言う「市場レート」が何らかの理由で異常値であったのではないかとの疑問が生じる。
適切な問題解決に期待
TFXでは、「市場レートは、マーケットメイカー(TFXの取引銀行)がTFXに提示しているレート」と定義しているようであるが、筆者は、「取引銀行のディーラーが提示した相場が、入力ミスや相場提示取消などの何らかの理由で、銀行間市場の実勢を表していない場合は、市場レートとは言えない」と思料する。 TFXは、公的な取引所のFX取引は、投資家にとって有利であることを謡っている。それだけに、この問題に対して、投資家を裏切らない対応を期待したい。
[執筆後記]
本原稿は11月4日に書きあげたが、11月6日付けにて東京金融先物取引所から「10月30日付け南アフリカランド/円取引についての処置」が公表された。
▼10月30日付け南アフリカランド/日本円取引についての措置(PDF)
内容は、「本件は取引終了間際の特別なタイミングにおいて、特注菜状況における約定であり、異常な価格で約定された取引及び当該取引を直接の起因とするロスカット取引について、希望者からの申請に基づき、当該価格での反対取引を行う」との事。 速やかなで適切な対応であると評価する。
Posted by 佐藤利光



