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為替今昔物語

りそな銀行破綻と21世紀の個人投資家

2003年05月29日(木)

■りそな銀行に公的資金注入

 平成15年5月17日政府はりそな銀行の公的資金による資本注入申請を認めた。金額は2兆3千億円。国民1人当り約2万円の負担。なんとも巨大な金額だ。そして何故一私企業の経営破綻に対して日本国民全員が負担しなければならないのか?銀行の勝手な都合により貸し渋りや貸し剥がしにあった中小経営者はこのニュースに接してどのように感じているだろうか?

■経営責任・株式責任

当然のことながら株主責任・経営責任は厳しく追及されるべきであろう。しかし、減資して株主に負担を掛けることはしないという。「国民全員に負担せよ」と一方的に決定されても誰も納得しないであろう。また、新社長は銀行内部から登用するという。新体制の経営陣は無報酬で経営建て直しに注力する位の責任感があってしかるべきであろう。中小企業の経営者にとってみれば経営破綻する前から無報酬は当然のこと。破綻後はそれこそ無一文になってしまう。

■自己責任原則とロスカットタイミング

筆者は、外国為替取引をする場合「自己責任原則とロスカットの重要性」を折に触れて連載記事などで書いてきた。会社経営にも当然当てはまる。中小企業経営者は結果責任を全て負う。従って、重大な問題を先送りする余裕などない。全て自己責任で必死に会社経営をしている。破綻するまで報酬を貰っていることなど不可能だ。筆者もベンチャー企業立ち上げ経験があるから痛切に感じる。大企業のサラリーマン経営者と中小企業の経営者の違いと言ってしまえばそれまでだが・・・

公的資金注入要請タイミングも遅すぎた。ロスカットタイミングを逸したと言わざるを得ない。当初設定した水準でロスカットを実行すれば損失は限定的。淡い期待感からロスカットオーダーを何度も変更し損失を確定しなかった結果、予期せぬほど大きく負けたという事例は良くあること。りそなのケースも適切なタイミングで決断していれば国民の負担も極めて少なかったに違いない。

■銀行の公共性的使命

新社長のメッセージによると、今後同行は「・・・何よりも先ずお客様の立場に立った親身な対応と、お客様の目線で考えた積極的な行動を全役職員の行動規範として徹底してまいります・・・」とある。銀行は法人や個人から信頼されて大切なお金を預かり、お金を必要としている法人や企業に貸すという「お金の円滑な流通の仲介者として大きな役割を担っている。公共的な使命が与えられているからこそ金融秩序維持のため公的資金が注入された。りそな銀行の全役職員はもう一度「銀行の公共的使命」を認識し、メッセージ通り銀行の勝手な都合を押し付けることなく「お客様の立場に立って、お客の目線で考えた行動」を実行しているか自問して欲しい。銀行は機械化の伸展と共に「業務の合理化」を優先させて来た。その結果「お客様の立場に立って行動する」ことを二の次にしてきたきらいはある。お客さんとの触れ合いが希薄になり、その結果銀行および銀行員に対して信頼感がなくなってきたことに気づくべきである。

筆者は数年前から大手ソフト会社のSE社員向けの社内研修で「銀行業務研修」講師を務めている。その折に必ず「銀行の公共的な使命と社会的な役割」について話す。筆者が入社時に社内研修で徹底して教えられたことで「銀行および銀行員は有意義な仕事を通して社会に貢献しなければならない」という当時の講師の言葉は今でも鮮明に覚えている。銀行員時代の30数年間そのことをモットーにしてお客様に接してきた。

■為替セミナー

去る5月24日(土)に第一商品株式会社主催の為替セミナー講師を務めた。セミナー会場で約70名の参加者の前に立って少し不安な気持ちになった。いままでの為替セミナー参加者と比較して圧倒的に高齢のベテラン投資家の方が多かったからである。

参加者の興味対象・知識度合いを知るために、投資について色々と質問してみた。そして最後にちょっと意地悪く「外国為替取引で儲かっている人」と聞いてみた。驚くことに約10名の方が大きく手を上げた。「この円高局面で儲けている人はほんの一握り」と思っていた筆者の予想は完全に外れた。と同時に最初の不安は完全に解消した。

■自己責任時代の投資家

セミナー参加者は高齢にもかかわらず、知識吸収意欲が旺盛で、講義の最中から積極的な質問が相次いだ。セミナー終了後も筆者を取り囲み質問攻めにあった。中にはチャート持参で「今ユーロ円をこの水準で買持しているが、そのままにして置くのと収益を確定するのとどちらが良いか?」など具体的な質問をするご婦人もいらっしゃった。「一旦利益を確定するかまたは相場についていき最大の収益を挙げるためのロスカット注文注文をするかどちらかでしょう」と話し、その注文方法を教えた。早速活用しますと眼を輝かせていた。その表情に「銀行員に薦められて外貨預金をした。」「証券会社の担当者が薦めるから大丈夫だと思って投資した。」という過去に良く有り勝ちな投資家の姿は無かった。自己責任取れる範囲で積極的リスクを取り、高リターンを狙う21世紀の投資家の姿がそこにあった。

そして主催者の社員達ととお客さんとの和やかな触れ合いがあった。セミナー開始前に同社の投資相談部長さんが「当社のお客さんは為替取引では儲けていますよ。」と自信を持って話していた背景には、このようにお客さんと触れ合いことによる相互信頼感があるものと感じた。




Posted by 佐藤利光

プロフィール

佐藤利光

ジェトロ認定貿易アドバイザー / 佐藤利光

日本信託銀行(現三菱信託銀行)で外国為替業務に20年間、資金運用業務に10年間従事。固定相場時代から外国為替ディーラーを勤める。変動相場制移行のきっかけとなったニクソンショックの数少ない経験者。経営者向けセミナーや社内研修などの講師経験豊富。外国為替取引会社代表取締役を経て、平成15年4月1日より国際投資アドバイザーとして独立。ジェトロ認定貿易アドバイザー。

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