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大証FXが流行らない理由(ワケ)

2009年10月30日(金)

 2009年7月21日に大阪証券取引所にて取引所FX「大証FX」がスタートしましたが、先行している東京金融取引所(TFX)の取引所FX「くりっく365」と比べ、取引量は少なく、また月間の取引量も今日に至るまで伸びていません。流石に大阪証券取引所はこの現状をよしとせず、イロイロなことを模索・実行しているようですが、(そういった内容を噂で聞く限りでは)その効果も多くは望めないのではないかと思っています。今回はどうして大証FXが流行らないのかの理由(ワケ)を個人的な見解として書いていきます。

■ターゲットとする顧客層(主に個人投資家)を間違っている?

 根本的なところになりますが、そもそもターゲットとする顧客層(主に個人投資家)を間違えているのではないでしょうか。こうした印象を受けてしまうのは彼ら(大阪証券取引所)の考え(大証FXを行ううえで見込んでいた数値)が金融先物取引業協会で公開されている各通貨ペアの取引金額と日経225miniの取引金額から取引量を算出し、その取引量をもって計画を立てたのではないかと思うからです。取引所FXのほうが店頭FXと比べ、有利な点はいくつかありますが、ここで間違えてしまうのは、“取引所FXと店頭FXは似て非なるものであり、比べてはいけない”ということです。

何故か――店頭FXは取引所FXとは異なり、手数料は0円でかつ最近では低スプレッド(1pips未満)、ハイレバレッジとなっています。取引金額が多い業者ではこうしたスペックで店頭FXを提供し、顧客は1pips未満の利ザヤを狙って取引を繰り返し行う傾向があります(スキャルピング取引)。僅かな利ザヤのためにレバレッジを効かせ、大量の取引を行うわけですから、そういった顧客が獲得できていれば取引金額はそれなりに跳ね上がります(ビジネスとして利益が出るかは別として・・・)。私が知る限りではこうしたスキャルピングにより出来た取引金額は業界全体で80%は占めているのではないでしょうか。いくら取引所FXが税制優遇されていたとしても、繰り返し取引を行うことで発生する手数料と納税金額を合わせると店頭FXの納税金額を上回るケースが多く、スプレッドも考慮すると(取引所FXは1pips以上)スキャルピング取引を得意とする顧客層はまず(取引所FX)はやらないと容易に想像がつきます。そうしたことを考慮すると店頭FXの取引金額から、どれだけ大証FXに転化するのか(あるいは“させる”のか)といった考えは当てはまらないと言えます。

■ターゲットとなる顧客層(主に個人投資家)はくりっく365と同じ?

 ということはターゲットとなる顧客層(主に個人投資家)はくりっく365と“同じ”となります。“同じ”というよりは“くりっく365そのもの”と捉えたほうが良いのかもしれません。そう考えた場合、スペック上ではくりっく365のほうが優れている(通貨ペアが大証FXよりも多く、レバレッジも100倍になっている。また、マーケットメイカーの数も多く、レートが安定化されている)ので、大証FXは不利な点を改善していかなくてはなりません。少なくともレバレッジは反対意見もあると思いますがレバレッジ規制が発効するまでは同じ水準にしておいたほうが良いでしょう(現状では大証FXではなく、くりっく365に流れるだけかと思います)

■証券会社が大証FXに対してコミットメント(前のめり)しない理由

 証券会社を始めとした取引参加者が大証FXに対してコミットメント(本コラムについては“前のめり”という解釈で)していないことも大証FXが流行っていない一因ともなっています。日経225miniのように各社がこぞって先物・オプション取引の取扱いを始め、競争したのとは打って変わって、大証FXでは参加者が乏しく、また対外的にも積極的にプロモーションをかけているところはありません。

何故か――単純にビジネスとしての収益が期待できないからです。大証FXのコストは取引手数料、システム利用料で見るなら、1枚あたり数十円後半(片道分)かかります。人件費や宣伝広告費等を考慮すると、1枚あたり約150〜200円(片道分)に設定しないと、とてもじゃないですが採算に見合うものではありません。こうした状況下のなか、一部の証券会社では手数料が“無料”となるキャンペーンを行っており、また一部の証券会社では手数料が1枚あたり73円となるキャンペーンも行っております。1ヶ月か2ヶ月のサービス開始記念のキャンペーンなら分かりますが、これが何らかの理由で延長されているのが現状です。キャンペーンとは言え、当然(取引手数料やシステム利用料等の)コストは発生しますし、収益にならず赤字が拡大するわけですから、証券会社が積極的に(大証FXの)プロモーション活動を行うことはありません。ビジネスとして収益が期待できるようになって初めてコミットメントできるのではないでしょうか。

■今のままでは悪循環の繰り返し。それに気づいていない?

 時折、日本橋(もちろん、東京の日本橋。大阪ではない)の界隈を歩いていると、大阪証券取引所が大証FXの取引参加者に対し、手数料“無料”キャンペーンを行うようお願いしている、と聞くことがあります。なるほど、確かに1社は手数料無料キャンペーンを延長し、もう1社は追随するかのように手数料無料キャンペーンを開始しました(当初は手数料割引キャンペーンを開始する予定でしたが・・・)

大阪証券取引所はキャンペーンの更なる延長を期待しているそうですが、上述のとおりビジネスとして収益に期待(そもそも無料でやっては収益にならない)できないのに証券会社がコミットメントするはずもなく、ただ等閑(なおざり)になってしまう。一方、大阪証券取引所は手数料が無料でなくなってしまえば、現状の取引量よりも低下することは目に見えているので“取引参加者が増えるまでは”何とか(手数料無料キャンペーンを)延長してほしいと考えるわけです。キャンペーンとは言え、手数料“無料”でサービスしているわけですから、取引参加者が増えても手数料がもとに戻って(?)しまえば、そういった顧客は大証FXでは取引しなくなるのは当然のことであり、そうしたキャンペーン以外で施策を考えるべきではないでしょうか。

■こうした悪循環があるから参入を見送る証券会社も?

 “ビジネスとして収益が期待できない”それが大証FXの印象となっているのは確かではないでしょうか。大証FXの参入を検討している証券会社がいくつかあると聞いたことがありますが、何ヶ月か前に聞いたところによると年内に数社取扱う予定があったものの、今ではその数社も保留になっているようです。何故かは上述のとおり、ビジネスとして収益が期待できなくなったほか理由はないと思います。収益の見通しが立たない以上、わざわざリスクを背負うことはしないでしょう。

■悪循環を打開するには?

 では悪循環を打開するためにはどうすればいいのか?それは簡単なことで“ビジネスとして収益が期待できる”ようにすれば解決することができます。ただし、それは大阪証券取引所が、かつての日経225miniのように積極的な行動を取る必要があります。以前は年に2回、東京、大阪ではありますが大きなイベントを催していましたが、こと大証FXについてはそういったことはほとんどやっていません。また、証券会社各社を奔走し、まるで毎日のようにWEBセミナーで日経225miniの概要を説明していましたが、それも今はありません。

大証FXが流行らない本当に理由は大阪証券取引所がコミットメントしていないからであって、それが証券会社、引いては個人投資家にまで至っているのではないでしょうか。願わくばかつてのような情熱を思い出し、大証FX活性化に務めてほしいものです。




Posted by 葛木茂樹

プロフィール

葛木茂樹

エヴァンジェリスト&コメンテーター / 葛木茂樹

かつては証券会社や情報ベンダーに勤務していたことがあった。それらで培ったノウハウを活かし、フリーのコメンテーターとして日々を過ごしてきたが、現在では某社のエヴァンジェリスト(伝道師)として職務に励んでいるようだ。前職のこともあり、当然ながら金融業界には強い。

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