為替今昔物語
FX業界における「両替」の意味?
2009年08月12日(水)
FX会社で両替できるか?
先日、貿易セミナー終了後、ある受講者(Aさん)から次の質問を受けた。
「あるFX会社のHPに外貨の両替手数料が、銀行の両替手数料よりも安い手数料でできると書いてあります。しかし、気になる事は現金で受取る事がどこにも書いてないことです。FX会社で本当に両替できますか?」
Aさんは、FX投資を始めて数ヶ月。海外にでかけることが多く、日本でも海外でも、銀行の両替手数料がとても高いことを実感しているとの事。FX会社で安く両替できるなら是非使いたいと考えているようだ。
筆者は「Aさんが考えている両替はできませんよ。FX会社が使っている「両替」と言う言葉の意味は、現金(お金)と現金の交換と言う意味で無く、単に円と外貨の交換を意味しているからです」と答えた。
両替の本来の意味

外国為替取引とは、二つの異なる通貨の交換を意味する。従い、日本の現金(お金)を外国の現金(T/Cトラベラーズ・チェックを含む)に交換する事は、外国為替取引の一種であるが、お金とお金の交換の場合は特に「両替」と言う。
つまり、両替とは、「ある特定の貨幣(お金)を他の種類の貨幣に交換すること」を意味する。例えば、1万円札1枚を千円札10枚に交換(円と円の交換)も、1ドル100円と仮定して、1万円札1枚を100米ドル札1枚に交換(円と外貨の交換)もお金とお金の交換だから、「両替」と言う。
外貨預金から外貨現金を払いだす場合
数日後Aさんからメールが来た。
「FX会社に問い合わせたところ、外貨預金口座で外貨を受取る事ができるそうです。銀行の外貨預金口座から現金を払いだすことができますか?」
銀行の外貨預金から外貨現金で払いだす場合、別途、キャッシングチャージ(銀行により異なるが、米ドルの場合2円、英ポンドの場合8円、豪ドルで7円など)とリフティングチャージ(銀行により異なるが1/20%、最低手数料2,500円など)を払わなければならない。これでは、投資家が、FX会社で両替し手数料を安くあげよう、としても、その趣旨に合わない。
専門用語を正しく使うべき
Aさんの質問は、専門家であるべきFX会社が専門用語である「両替」の意味を正しく理解していなかった事から生じている。投資家に無用な混乱を与える可能性がある。該当するFX会社は直ぐに訂正すべきであろう。
Posted by 佐藤利光