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為替今昔物語

FX取引を貿易取引(実需為替)に有効的な活用を提案

2009年03月11日(水)

急速な円高で輸入業者が大損

 昨年、米国大手投資銀行リーマン・ブラザーズ倒産後に急激に進んだ円高で大きな損失を被った輸入業者が少なくない。「輸入業者が円高で損をだした?何故?」と不思議に思った方もいたに違い無い。

彼らは「毎月同レートで米ドルや豪ドルなどの外貨を長期間(3年/5年/7年とあるが5年が最も多い)買うという為替デリバティブ取引を締結していたのである。私が相談を受けたある輸入業者は「2007年に、1ドル112円で5年間毎月10万ドルを買う契約」をしていた。また、ある輸入業者は「2008年8月に1ドル106円で5年間毎月100万ドルを買う取引」を銀行から提案されていた。 この為替デリバティブ取引は、通貨オプションの売りと買いを合成した為替デリバティブ取引である。ドルは昨年10月24日に90円台に急落し、今年1月に87円台の安値を付けたが、2007年に1ドル112円で5年間毎月10万ドルを買うという為替デリバティブを締結した輸入業者は2012年まで112円でドルを買わなければならない。 

為替デリバティブの内容

 上記の「2008年8月に銀行から1ドル106円で5年間毎月100万ドル買う」という提案を受けた輸入業者は、円高による損失を免れることができた。

その業者は、取引銀行に為替相場リスクヘッジについて相談したところ、銀行から為替デリバティブ取引を提案された。その内容は、米ドルの市場実勢相場が109円の時に、5年間毎月106円で100万ドルのドルコール・オプション(ドルを買う権利)を買い、ドルプット・オプション(ドルを売る権利)を売ると言う取引だった。オプションを買う場合はオプション料を払い、売る場合はオプション料を受取ることになるが、この提案ではオプション料の払いと受け取りを同額にしているので、ゼロコストオプション取引である。その上、実勢相場より3円も安い相場でドルが買えるので、輸入業者にしてみれば極めて魅力的な商品に見える。

損失を免れた輸入業者の例

 この輸入業者は、この提案が為替リスクヘッジとして有効的な手段であるかどうか専門家の意見を聞きたいと考え、貿易アドバイザー協会経由筆者に相談があった。

筆者は、同社に社内勉強会を提案し、「この取引を契約すると、毎月のオプション行使日に1ドルが106円より高ければ、ドルを買う権利を行使して、実勢相場より安くドルを買うことができるが、106円より安くなるとドルを売る権利を行使され、実勢相場よりも高いドルを買わされることになり、為替相場を5年間一定相場に固定することは、過去の相場変動の歴史を見るとギャンブルに等しいこと」を説明した。さらに「輸入為替予約の締結の必要性、この商品の実質的な手数料、為替相場変動の歴史」など貿易取引における輸入予約の基本的考え方を説明した。

同社は「長期間為替相場を固定することは商品の売値を固定し急激な円高に対応できない」との結論からこの取引の契約を見送った。その2ヵ月後に急激な円高になったが、同社は損失を出さずにすんだのである。

FX業者の積極な取り組みに期待 

 筆者は数年前から「FX市場のさらなる拡大に向けて、FX取引を実需取引に活用すること」を提案してきた。その提案に賛同する複数の業者もいた。しかし、「即効的な利益」を期待するFX業者が多く、実需業務に対する取組姿勢は比較的消極的だった。

昨年12月にファミリーテストラン大手のサイゼリアが豪ドルの為替デリバティブ取引を解約して153億円の損失を確定したとの報道があったが、同社も上記の為替デリバティブ契約をしていたと思われる。多くの輸入業者が長期為替予約取引で損失を被っていることから、彼等にFX取引による為替相場リスクヘッジを提案する絶好の機会が来たと思う。FX業者の積極的な取り組みに期待する。




Posted by 佐藤利光

プロフィール

佐藤利光

ジェトロ認定貿易アドバイザー / 佐藤利光

日本信託銀行(現三菱信託銀行)で外国為替業務に20年間、資金運用業務に10年間従事。固定相場時代から外国為替ディーラーを勤める。変動相場制移行のきっかけとなったニクソンショックの数少ない経験者。経営者向けセミナーや社内研修などの講師経験豊富。外国為替取引会社代表取締役を経て、平成15年4月1日より国際投資アドバイザーとして独立。ジェトロ認定貿易アドバイザー。

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