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為替相場と株式相場どっちのリスクが高いのか(前編)

2009年02月12日(木)

 私は、為替相場のほうが株式相場よりもリスクが高いという意見がどうしても納得できない。FXを世に出した時は「FXは株よりも危険」と言われた。CFDを出した時は「CFDはFXより危険」といわれたこともある。そうなると 危険度=株<FX<CFD、となるのだが、CFDも証券CFDであるならば、株と原資産市場は同じである。にもかかわらずこういう式が出来上がるようなコメントがさまざまなメディアソースから聞こえてくるのである。中には誤解を含む記事もあれば、果ては金融論系の大学教授でさえも、ミスリーディングなコメントに走っているケースが見られるのはどうしたことか。

▼よくあるコメント1
「為替レートは、債券や株式などの金融商品と比較しても変動が大きい」

 この例に限らず、必ずと言っていいほど新聞等でも株式市場等との比較において為替は株式市場よりも変動率が高いとかリスキーだといわれるのだが、私の知る限り、為替のヒストリカルボラはせいぜい2%から4%程度であり、一方日経平均の変動率は20%以上という認識で生きている(観察期間やインターバルにもよるが)。どうして為替のほうが、変動率が高いと断言できるのかその理由が今もってわからない。観察期間を2週間として、その間の流動性停止時間帯も合わせて考慮すれば、確実に株式市場のそれは、数十パーセントになるはずである。一方為替はせいぜい8%のはずである。BIS規制でも為替は8%を使うくらいである。

為替取引の証拠金が5%程度に対して株の信用は10%〜30%ぐらいであることもその証左である。海外でマーケットに携わる人との話の中では、為替よりも株式(指数先物)の変動率のほうが高い、という話はしてもその逆を聞いたことはない。CFD(為替と株)をやっている連中は皆そういう認識である。

さらに言えば、株式市場は日中しか開いていない。サーキットブレイクもある。一方為替は24時間あいている。したがって、あくる朝昨日の終値よりも200ポイントも下げて(窓を開けて)始まるというような株式(取引所)特有のブツ切れの流動性リスクを為替は持たない(週末は例外、これは双方に等しくある条件だから)。つまり流動性の点でも株式市場は為替よりも市場・流動性リスクが高いのである。あと、株式には分割、倒産などのコーポレートイベントがあるが、為替にはない。たとえばドル円が整理ポストに入った、なんて話はない。これも株式市場のリスクを上げる要因である。

▼よくあるコメント2
「価格変動性が大きくリスクが高いということは、上手くやれば大儲けができる分、失敗すれば大損をすることでもある。だからFXは危険なのである」

 新規上場の売り出しの株が当たった場合の話をかぶせて以上のくだりを読んだとき、株と為替の違いは見当たらない。たぶん通常では考えられないような高リターンは株のほうが起きやすいのではないだろうか。残念ながらNTT民営化の時と違って、今のご時世では望むべくもないことであるが。為替でそういうことはない。あっても、自分が最初から決めて始めたレバレッジの分だけであり、それが「考えられないようなレベル」かどうかは本人でないとわからない。これはあくまでもレバレッジの問題としてであり、市場の問題の話ではない。最近は株もFXも10倍程度のレバレッジならかけられるようになってきている。投資家にとって問題なのは、というか現実は、レバレッジの扱いかたと、その機能を「上手く使いこなす」方法と、あとは相場の運に恵まれないことである。

▼よくあるコメント3
「もともと為替は、理論的に適正と考えられる水準がない。株式投資におけるPERとかPBRなどのように、適正な水準を判断する指標がないので急激な変動を起こすのである」

 個人投資家の目線からいえば、はたして、株式の世界で使われるPERや、PBRという考え方が自分の買う株やファンドの目利きや株取引の売買手法に貢献してきたのであろうか。答えは否である。適正価格を計算するロジックがあることは理論派の蘊蓄(うんちく)のベースとして、学問の側面からは大切だが、結局実際の相場に直面して、上がれば何の理由であろうとついて行こうとするし、下がればだれよりも早く売りたいという衝動が存在するのはその株価の動きを見れば明らかである。素人が適正価格にかならず収斂すると信じて耐え続けるほうがよっぽど危険であるし、ハイレベルなスプレッド戦略に打って出るほどの知識は望めない。ノーベル経済学賞学者のマイロン・ショールズの冠を抱き、理論を実践に持ち込んでとんでもない目に世界を落しめたLTCMの例を思い出してみるといい。この株はいくらであるべきだという主張が投資家の利益となったためしはないし、保護にもなっていない。

要するに私が言いたいのは、いくらであるべきだという[べき論]と相場とは関係がない、ということである。一歩譲って関係があるとするなら、「現在の相場=べき論からでてくる理論値+市場の思惑」といえなくもないが、目先の動きには、株も為替も市場の思惑の部分のほうが影響は大きい。誰も取引しない株は市場の思惑がないぶん、理論値に収まるだろうが、誰も取引しない銘柄などそもそも誰も、誰も興味はない。だから投資家にとっては存在しないも同じである。投資家にとっては理論値から外れることが大切なのだ。そういう意味で、関係ないと私は言うのである。思惑が生み出す流動性の中だけで取引する投資家にとって、為替の適正価格など対象外なのである。その思惑の生み出す流動性は株だからとか為替だからという属性とは何の関係もない。

▼よくあるコメント4
「金融市場での経験から言えば、為替ほど怖いものはない」、「為替は短期的には、理屈通りに動くものではない」、「その動きを予測することは困難」

 このコメントの頭の「金融市場」を「株式市場」に、「為替ほど」を「株式相場ほど」に変えて何か違和感があるだろうか。私流にいえば、「相場にのめりこむことほど怖いものはない」、「無知、無謀、うぬぼれ、やけくそほど怖いものはない」となる。為替か株式かは問題ではない。要はそこに挑む側の姿勢やレベルの問題である。

個人投資家の株での投資行動と為替での投資行動には本源的な違いはないと私は思う。あるとすれば、株式相場はロングからしか入らないという古典的株取引派で、これは、信用取引や先物も取引する現代派の投資家とでは基本的に違う。古典派は、株式相場自体が下がれば、なすすべなく、いったん撤退するか、塩漬けするかのどちらかの選択肢しかない。ただし、現物取引であれば追証もMCもない。一方ドルショートからでもはいれる為替相場で、ロングからしか入らない投資家もしかりである。古典株取引派と同じである。自ら道具の一部を捨てている人であるが、それはそれでスタイルの問題として考える。

現代派で、レバレッジを効かせすぎる人はFXにおいてはMC(マージンカット)という冷酷なルールによってポジションを切らされるので、強制撤退というオプションがある。これによって傷は浅く復活のチャンスを得ることができる。これは投資家にとっても業者にとってもメリットである。そうでない古典派は、ひたすらスワップ金利受け取りのポジションを塩漬ける。今回の円高でどこのFX業者も20%以上の預かり残高(有効ベース)を減らしているのはそのためである。FX市場においては、デイキャリーをするポジションにおける比率は、なんだかんだと言っても古典派のほうが多いのである。その上澄みの部分で、デイトレーダーたちが日ばかり取引で日夜闘っている。ちなみに、全体の顧客の上澄みの約5%程度がその日の取引高の半分以上、時に80%もの取引を生み出しているというのが私の経験からくる数値である。

▼よくあるコメント5
「リスクの高い株式などの金融商品に対しては、保守的になりがちな日本の個人投資家が、為替リスクに対しては積極的に取り組むようになっている」

 為替リスクにだけ積極果敢に挑んでいるわけではない。株も為替も勇敢に戦っているのは上澄みの数%だろうと推測する。少なくとも為替においてはそうである。あとはみんな保守的である。「対峙する」といよりは「耐えている」である。上記で私が言う古典派の層は株式市場にははるかに多く、まだそこから出てきてはいない。一部の勇気があるか、好奇心が旺盛な現代派がFXに流れ込んできているのである。

80年代から90年代の前半までの個人投資家ができる金融取引のインフラは保守的にならざるを得なかった。情報はリアルではないし、取引自体もユビキタス的な利便性がなかった。また資本の効率性も持てなかった(現物取引だけ。つまりレバレッジ1倍)。ところがいまや、家庭のパソコンの前で24時間世界中の相場をモニタリングすることができるし、市場の情報もロイターやブルームバーグ並に手に入る。そしてレバレッジも効かせられるようになっている。保守的にならざるを得なかった時代から解き放たれてきているのが実際の姿だと思う。

(後編に続く)




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、米国インテグラル社の日本支店に勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXにかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)がある。。

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