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証拠金取引の功罪

2006年01月26日(木)

 外国為替証拠金取引が証拠金取引という名前を汚したという印象はぬぐえないが、2005年7月の改正金先法改施行によって、その浄化が進みつつある状況である。今日はこの証拠金取引について外国為替の枠を取り払って考えてみたい。

証拠金取引でまず頭に浮かぶのは、大証の日経225先物、オプション取引である。先物指数取引なのでその取引の担保として差し入れられる担保は証拠金と呼ばれる。では現物株はどうかというと、これは証拠金取引とは呼ばず、信用取引と呼ぶ。何が違うかというと、細かいことをいえば、先物取引は差金決済であるが、信用取引は現物の受渡を伴う取引であり、現物を購入する代金や保有しない株を売却する(空売りする)に必要な資金(株券)を借りて売買する点が違う。もっと言えば、そういう風に業務経理処理される点が違う。

現実にはどうかというと、個人投資家がネットで売買するときに、信用口座を開いて現物株を売買する感覚と、日経225先物を売買する感覚にさしたる違いはない。どちらも差金を狙った取引であり、ありていに言えば投機行為である。そういう投資家ははなから株主優待や配当を狙っているわけでなく(狙う時期もあるが)、主目的は安く買って高く売るかその逆である。それと比べると、外国為替証拠金取引もまったく同じである。取引している指数は現物(直物)なので、現物株の信用取引と同じである。信用取引の日歩がスワップ金利と呼ばれているだけであるが、外国為替証拠金取引は売買によって動かされるものが差金だけであるところが信用取引と違う点で、この点はむしろ日経225先物取引と同じである。つまり外国為替証拠金取引は日経225先物取引のような資金移動が行われながら、取引価格は現物株信用取引と同じ仕組みになっている。

こうした薀蓄は個人投資家にとってはたいした意味がない。投資家にとって大切なのは、第一に取引価格に不公平さがないかどうか、預けたお金は安全かであり、次には、取引の利便性、取引コスト、資金効率といった点にこだわりが出てくる。利便性は、インターネットの普及によって1995年以来飛躍的に向上した。それぞれシステム上の問題はでてきているが、それも成長過程のひとつとして理解されるべきものであると思う。取引コストもかなりのレベルまで引き下げられている。これ以上ムリというレベルのものも出てきている。資金効率は、現物取引に比べれば、いわゆるレバレッジが、株においては大体3倍ぐらいで、為替においては10倍、極端には200倍まで可能であり、これ以上ないところまできている。

 さてここからテーマに入るが、証拠金取引とはつまりレバレッジ取引ということである。レバレッジがかかってしまう取引ではなく、“かけられる”取引なので、かけなければいけない取引ではない点をまず強調したい。「レバレッジが高い商品は危険」という話はよく見たり聞いたりするが、正確に言えば、「レバレッジがかけられる商品を1倍より大きいレバレッジで取引するとそれだけ危険度は増す」ということになる。レバレッジが10倍かけられる商品でも1倍でやっている人はたくさんいる。そういう人には少なくともレバレッジから発生する“加速される市場リスク”はない。現物株を現金で買うのと同じレベルでの市場リスクは当然存在する。

レバレッジは、たとえて言えば車のような交通機関と同じだと思う。車がない時代で移動は自分の足しかない時代をレバレッジ1倍とすれば、そこに馬が現れレバレッジが5倍になり、自動車が現れレバレッジが100倍、1000倍になり、飛行機が現れ数万倍になってきた。その代わり昔ならありえない交通事故が出現し増えてきたわけである。これがレバレッジの功罪である。

便利なものを使えば、そこには新たなリスクが生まれることはどんなものでもあることである。それを回避するには、その使い方をよく理解することである。だから自動車を運転するには免許がいるようになっている。

話をたとえから現実にもどすが、証拠金取引は便利である。なんと言っても資金効率がいい。その代わり特殊なリスクを併せ持つ。自動車なら免許制を取れるが、個人投資家の投資商品の選択に免許制はなじまないというのが一般論である。その代替として、適合性のチェックが業者には課されているわけで、一部投資家がやりたくても業者側がそれを拒否する権限が与えられている。しかし果たしてそれだけで十分なのだろうか。

少子化等により将来の日本が悲観視される現代において、資産形成は自己責任で、業者主導の金融市場を個人投資家レベルに落としていくというのは今や国家プロジェクトである。そしてそこには、どんな金融商品でもレバレッジのかかった商品を得られる時代になりつつある。そうなると、自己責任、自助努力でレバレッジ(証拠金)取引を学びなさいというのは少々冷たくないか。社会人として生きていく上で必須の知識を学生時代に学ぶことが義務教育であるとするなら、こういうことも教科科目に入れて欲しいと思うわけで、実際そうした取り組みは始まっている。先日、私の故郷の中学でも株のシミュレーション売買が社会の授業で行われていると知りびっくりした。ただそれが社会という科目であるところが変な感じがする。小学校や中学校でも「金融」という科目があってもいい時代である。生命保険、社会保険、損害保険、個人・国民年金、株、為替、ファンド、債券などなど、社会人になったら知っておくべき金融の科目には事欠かない。またそれらは、しっかりとした体系的な授業に向いているし、耳学問が危険な誤解を生む世界である。

 証拠金取引は、便利だがリスクを伴う。リスクがあるから悪い商品だとは誰も言っていない。外国為替証拠金取引に悪いイメージがついているのは、「外国為替」の部分でも「証拠金取引」の部分でもなく、それを業として行っていた一部の業者に悪徳な連中がいたことによるものである。それとリスクの話とは別なのである。この業界の浄化が改正金先法により進むことで、本来の姿であるレバレッジとリスクの部分に議論が集約し、市場がそれを要求する限りは、それに必要な知識習得のための社会インフラが整うことが今後求められるものである。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、米国インテグラル社の日本支店に勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXにかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)がある。。

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