外国為替取引ニュースサイト FOREX PRESS

会社概要

お問い合せ

ニュース受付

HOME > 為替コラム

先月

2004/2

1234567891011121314151617181920212223242526272829

来月

為替今昔物語

業界の問題点と対処法(その2)

2004年02月29日(日)

■前号のあらすじ

 当業界は、一部の悪質な業者の存在により、投資家から信頼されるかどうかの分岐点に立っている。そのためには、各取引会社が単に自社の利益を追求することでなく、外国為替市場の健全な発展のためどのような役割を果たさなければならないかを真剣に考えなければならない。そのヒントは筆者が新入社員業務研修の時に学んだ「銀行の社会的役割」と「銀行の公共的使命」にある。

■お金は魔物

 銀行はお金が余っている企業や個人からお金を預かり、お金を必要としている企業や個人へお金を貸し出すという金融の流れの中心的な位置に存在する。お金は生活する上で絶対に必要なものであるが、魔性をも秘めている。その魔性に負けて、人生を台無しにしてしまうケースは枚挙にいとまがない。それだけに、日常業務としてお金を取扱う銀行員には、与えられた使命を認識することを組織として当然のこととして求めていた。そして、それが当然の事として銀行員に受け入れられていた。

■ある取引先の事情

 銀行員になって数年経過したある日、筆者は当時の部長からある輸入会社へ毎週最低一回は訪問するように命じられた。同社は長年の取引先。従業員は二人の個人会社。社長は高齢で軽い脳梗塞を煩い体調は余り優れない。しかし、事業意欲は旺盛。長男は大手商社勤務で将来会社を引き継ぐ予定。その日社長が賀詞交換会で来社した。部長は社長の体調を慮り、後継者への引き継ぎ時期を質問した。社長の答えは下記の通りであった。

○ 長男は会社を継がずに商社勤めを継続する意思が強い
○ 従業員は女性と若者なので後継者とはなりえない
○ 輸入会社は社長一代限りで廃業

部長から筆者への指示は、(1)週に一回以上は、会社へ行き、社長の健康状態の様子を見る事。(2)輸入与信が担保額をオーバーのしているので、社長と相談し、早く在庫品を流動化し、輸入与信を預金と有価証券担保の範囲内にすること。社長に万が一のことがあった場合、相続人に全く負担がかからないようにする為の配慮である。

■筆者の役割

 最初は社長と世間話程度の話であったが、直ぐに社長は次々と新たな輸入の話をしてくれるようになった。筆者は、新たな輸入により、同社の資金繰りと在庫状況がどうなるかを社長と一緒に計算しながら、新規買いつけの是非を検討した。社長は「資金繰りは銀行から借りれば良い。あなたの仕事。」と言っていたが、社長に万が一のことがあった場合の家族のことなどを話すほど親しくなっていたので、次第に筆者の意見を聞いてくれるようになった。それから数年後、社長はその寿命を全うした。一通り終わってから、ご子息が会社整理のため訪ねてきた。「輸入にかかる与信は全て預金の範囲内です。社長はマイナスの財産は一切残していません。」と申し上げることができた。それを聞いて彼は緊張した表情がほっとした表情にかわり「ありがとうございました」と言って深々と頭を下げた。筆者は「部長が指示した筆者の役割がこういうことなのか」とその時改めて認識ことを今でも鮮明に記憶している。昨今のコスト削減優先の銀行経営からみるとこのように非効率な顧客サービスは全く考えられないに違いない。

■外貨預金12%のからくり

 いつの頃からであろうか?この国に利益至上主義が大手を振って歩くようになったのは。一昨年10月に「1ヶ月12%の米ドル外貨預金」が発売され、多くの資金を集めたと言う。米ドルの市場金利水準が1%程度であるから、12%の金利を付与することは普通ならありえない。米国内の銀行では絶対にありえない。
 
そのからくりは、銀行手数料にある。通常、自由化は健全な競争が行われ、手数料の引下げが実現する。事実、証券手数料の自由化により証券手数料は大幅に引き下げられた。しかし、外国為替業務が自由化になったにもかかわらず、外貨預金手数料の引下げ競争は余り聞こえてこない。その代わりに高金利を謳い投資家の注目を集める営業をしている。銀行は1ヶ月の米ドル外貨預金に12%の金利を付与しても、大きな手数料収入を得る事ができる。なぜなら、米ドルの外貨預金手数料は1ドルあたり2円。1ドルを110円として計算すると年率で1.8%に相当。1ヶ月の外貨預金では、手数料2円は21.6%に相当する。12%金利を払っても9.6%の儲けである。これは、外貨預金手数料の一部を金利に上乗せして高金利預金にして、高金利を謳って投資家の関心を引こうとしたものである。本来であれば「12%の高金利」と表示せず、「1ヶ月物米ドル預金、金利0.1%。手数料2円を90銭に引下げ」と表示すべきである。営業を重視するあまりに、投資家に間違った判断を与える宣伝方法はいかがなものであろうか?
 
金融自由化により、金融商品が氾濫しているだけに金融機関のリスク説明責任が重大である。通り一遍の説明でなくリスクの本質がどこにあるか正直に説明しなければならない。果たして顧客に説明する担当者が本当にリスクの本質を正しく理解しているだろうか?




Posted by 佐藤利光

プロフィール

佐藤利光

ジェトロ認定貿易アドバイザー / 佐藤利光

日本信託銀行(現三菱信託銀行)で外国為替業務に20年間、資金運用業務に10年間従事。固定相場時代から外国為替ディーラーを勤める。変動相場制移行のきっかけとなったニクソンショックの数少ない経験者。経営者向けセミナーや社内研修などの講師経験豊富。外国為替取引会社代表取締役を経て、平成15年4月1日より国際投資アドバイザーとして独立。ジェトロ認定貿易アドバイザー。

検索

最近の記事

最近のコメント

RSS1.0 [Login] powered by a-blog

当サイトは為替証拠金取引を中心とした外国為替の取引に関するニュースのみに特化しています。乱立する為替取引・サービス情報を一同に介し、わかり易くジャンル分けすることで投資家・投機家が欲しい情報を即座に入手できるようにと思ったのが立ち上げの主旨です。またこのホームページに掲載している内容が正確であるよう最善を尽くしておりますが、内容についての一切の責任を負うものではありません。その旨ご了承願います。

FOREX PRESS

キャピタル・エフ株式会社

2002/11/15より運営開始