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為替今昔物語

ある女性からの相談

2003年10月17日(金)

■相次ぐ相談電話

 「もしもし、北海道の○○と言います。初めて電話を差し上げるのですが、もう私はどうして良いか分からなくなって、パニック状態なんです。」50歳過ぎの女性からの電話である。急速に円高が進んだためか、最近電話での相談が増えている。共通して言えることは、予想を上回る速さの円高によりドル円またはユーロ円で買い持ちにしていた為替ポジションに、予想もしない大きな評価損が発生しどうしたらよいかわからず困っているということである。そして、もう一つ共通していることは、投資については初心者にもかかわらず、数十万通貨単位という多額の買持を保有していることである。

■リスクを認識した上で取引を」啓蒙活動

 筆者は、投資家相談というビジネスはしていない。また、何処にもそれは謳っていない。それでも、電話がきたらできるだけ相談にのるようにしている。為替取引で生活が破綻したというケースが少なくなることを願うからである。

個人が銀行の為替ディーラー並に外国為替取引ができることを知って驚いたのが2000年4月のこと。固定相場時代から30年余り外国為替業務に携わってきた筆者は、「為替取引で儲けることは簡単でない。リスクがあることを認識した上で取引するように。」ということを長年の業務経験から痛感している。為替業務の専門家として、その知識を投資家に還元する使命を感じた。その手段として、2001年6月に著書「わかりやすいインターネット外国為替取引」(日本法令)を出版し、さらに投資雑誌への投稿、証券新聞や情報サイトの連載記事およびセミナー講師などを通じで、為替取引のリスクを認識した上で取引することを啓蒙してきた。最近では、投資家同士の情報交換や勉強する機会の場として、投資家による、投資家のための、投資家の「為替クラブ」の設立を提案している。

■為替ディーリング基準

 啓蒙活動に対する使命感を感じたのは、銀行員時代の業務経験によることが大きい。バブル華やかなりし頃、多くの銀行で「外国為替ディーリング」を国際業務収益の柱の一つとしていた。外国為替ディーリングは為替相場の変動を利用して売買差益を上げることを目的としているが、反面同じ確率で売買差損を被るリスクがある。筆者が所属していた銀行でも為替ディーリング基準を定め、ディーラーには厳密にその遵守を課した。損失を限定的にするためである。基準の骨子は、持高限度額の設定とロスカット基準である。ロスカット基準には、持ち値のマイナス幅規定と損失限度額を設定した。そして、その基準を策定したのが筆者自身である。

■相談内容

 予期せぬ円高で動揺しているのか何を相談したいのか一向に要領を得ない。「大丈夫だから、落ち着いて話してごらんなさい。」と言って筆者から質問して聞き出した所、彼女の為替取引の状況は次の通り。

・ いままでギャンブルは勿論、株式投資などは主義として全くやらなかった。
・ ある会社から勧められて為替取引を始めたのが約1年程前。
・ 為替取引はギャンブルや株式投資と全く違うと考えている。
・ 取引会社の担当者はとても親切で、何も知らない私に詳しく為替取引を教えてくれた。
・ 過去担当者のアドバイスで儲かったことも多かった。
・ 為替取引の面白さを覚え、勉強する楽しさも知った。
・ インターネットの使い方も担当者から教えて貰い、情報収集方法も覚えた。
・ 現在のポジションは1百数十万ドルの買持ち。1百万ドルは売りヘッジして両建て(評価損は約1千万円)している。
・ 「為替相場はあがったり下がったりするので、50万ドルづつ上がったときは売り、下がったときは買い取引を繰り返して、損失を取り戻しましょう。大丈夫ですよ」と担当者が言っているので、そうするつもり。
・ 取引会社への預け金は、何回かに分けこつこつ貯めてきた定期預金を全て解約、退職金も合わせて合計数千万円預けた。
・ その内、約半分が実現損となっている。全て決済して評価損を実現してもなお数千万円の残高が残る。


そして、相談内容は「いつ為替相場が125円なり、預け金が元の数千万円にもどるか。それによって売りヘッジを外して、円安に期待する。」ということであった。

■筆者のアドバイス

 筆者は、「いまある残高がゼロになる可能性がありますから、直ぐに解約して今ある残額の数千万円全額を返してもらうように」とアドバイスした。
 
その理由は、

○ 初心者が数十万ドル単位で取引することは余りにもリスクが大きいこと
○ 全財産を為替取引の証拠金として預けることは全額なくなる可能性があるので絶対にしないこと、
○ 担当者が50万ドルづつヘッジを外しながら、損失も取り戻しましょうと言っているが、その可能性は低いこと、
○ 一旦解約してお金を取り戻してから、自分で取引判断できるようになるまで勉強してから再開すれば良い。今度は取引単位を1万ドル単位に減額すべき、


等である。
 
そして、「筆者の会社へきていただければ、為替取引を詳しく説明しましょう。」と付け加えた。彼女は「預かり金が全くなくなることは考えたことも無い。担当者が損を取り戻すと言っているから信じている。初心者は数十万ドル単位でなく、1万ドル単位で取引すべきという(筆者)の忠告は理解した。そのために一旦解約すべきというアドバイスも理解した。都合つけば、(筆者の)会社へ行く。」との返事であった。

それから、2週間が経った。円高はさらに進んだ。その後、彼女からの連絡は無い。上手く解約できたであろうか?心配である。




Posted by 佐藤利光

プロフィール

佐藤利光

ジェトロ認定貿易アドバイザー / 佐藤利光

日本信託銀行(現三菱信託銀行)で外国為替業務に20年間、資金運用業務に10年間従事。固定相場時代から外国為替ディーラーを勤める。変動相場制移行のきっかけとなったニクソンショックの数少ない経験者。経営者向けセミナーや社内研修などの講師経験豊富。外国為替取引会社代表取締役を経て、平成15年4月1日より国際投資アドバイザーとして独立。ジェトロ認定貿易アドバイザー。

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